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小さいギタリスト(音楽プロデューサー田所視点)

 シンガーソングライターの下山さんはデビュー20年の大物アーティストだ。今回、俺がプロデュースを頼まれたのが、彼の20周年記念アルバムの制作だ。

 企画としては「V.S.下山」と銘打って、他のミュージシャンとのコラボアルバムになる。下山さんの曲をセッションしたり、提供された曲を下山さんが歌うコンセプトだ。

下山さんからの要望やアイデアをふんだんに盛り込んだ作品なのだが、レコーディングを始めてから新たなリクエストがあった。正直、スケジュールが押していることを思えば、煩わしい。

 下山さんのリクエストは2歳児のギタリストとの共演だ。なんでもYOUTUBEで話題になっている子供だそうだ。

 そういう最近の話題性もあって良いだろうと、その子供のプロフィールを見て驚いた。

 律夫の甥っ子だ・・・

 律夫の葬儀のあとに生まれた子か。2歳の幼児に何ができるとも思わないが、奴の甥っ子なら会ってみたいと思った。


 下山さんと甥っ子哲夫君のセッションの日、下山さんの事務所がカメラを入れていた。俺が知らないだ

けで、哲夫君のギターは大分話題になっているようだ。ミュージックビデオの特典映像にするらしい。

 レコーディングが遅れているのにカメラまで入っているので、スタッフはかなりピリピリしている。下山さんは自分のリクエストだから場を和まそうと、いつもよりテンションを挙げている。しかし余計にスタジオは変な空気に包まれている。幼児が来たら泣き出すんじゃないか。

 「山下哲夫くん、入られました。」

 スタッフの1人が三輪車バギーを押した女性を連れてきた。三輪車の子供は寝ているようだ。

 「すいません。この子ったら昨日から興奮してて、力尽きちゃったみたいで・・・」

 お母さんは申し訳なさそうに言うが、頭にのせた仔猫ともども眠っている子供に、スタジオの緊張感が少し緩んだように思えた。

 「それじゃあ、哲夫くんが起きたらリハから始めましょうか。」

 俺がそう言うと、女性スタッフがお母さんと哲夫くんを奥に案内していく。少し空気が良くなったせいか、女性スタッフの表情も落ち着いている。良い雰囲気でレコーディングできそうで、少しホッとした。

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