お出かけ編(母ちゃん視点2)
義父母にギターを買ってもらって以来、哲夫はすっかり引きこもるようになっちゃた。どうにかして連れ出さないと、そう思っていたらマリちゃんが哲夫の様子を見に来た。
マリちゃんは、少しおませな美幼女幼稚園児。公園では哲夫の面倒を見てくれる子なんだけど、お姉ちゃんというよりは親分て感じ。
今日も、最近公園に来ない哲夫に怒ってやってきたよう。無理やりにでも連れ出してくれるかしら。
結局、ミイラとりがミイラになって哲夫のギターで歌いまくっている。マリちゃん歌うまー。
二歳児のギターで美幼女と仔猫が歌い踊る。何のファンタジーこれ。けれど残念だけど、マリちゃんのママから電話があったので、やめさせた。また見たいなぁ。
その数日後、やはり家でギターを弾いていた哲夫をマリちゃんが誘いに来た。公園のみんなでカラオケに行くらしい。
今まで子供が小さいので、行きたいのに行けなかったから本当に嬉しい。まぁ子供メインだから歌えないだろうけど、雰囲気だけでも嬉しい。
なんてことを考えていたので、うっかりいつも通りトラを連れてきてしまった。だって哲夫とトラが一緒にいるのが普通なんだもの。
カラオケ店の受付の女性が哲夫の頭に乗ったトラを見て固まった。ダメだったら、私たち親子だけ帰ることになるけど哲夫愚図らないかな。聞き分けの良い子ではあるけど、音楽関係にはこだわるからなぁ。
結果からいうと、問題なく私たちは入店できた。受付の女性は目をキラキラさせて私たちを通してくれた。何だか鼻血出しそう。
ママたちがドリンクの注文をしているうちに、子供たちは歌いたい歌を入れていく。慣れたもんだわ。けど、うちの哲夫はカラオケは初めてだから、私が入れてあげないと歌えないわ。何にしようかしら。
私が悩んでいると、マリちゃんがやってきた。
「哲ちゃん、ギター弾いて。」
マリちゃんは皆にカラオケの予約を取り消させ、哲夫のギターで歌いだした。やっぱり可愛いわ。それまで退屈そうにしていたトラもテーブルの上で踊っている。
「哲夫ちゃんギター上手ね。」
マリちゃんママが哲夫を褒めてくれる。私もそう思うわ。
マリちゃんのポップな歌と哲夫のギターに興奮した他の子供たちも、一緒に歌いだす。ママたちも楽しそうに手拍子している。
先日よりもスケールアップしたファンタジーな光景を眺めていると、部屋のドアが少し開いて砂の入ったトレーが差し入れられた。見るとさっきの受付の女性が、わざわざトラのために用意してくれたようだ。
私がお礼を言おうとしたのだけど、女性はマリちゃん達をスマホで撮影するのに夢中になっていた。仕事はしなくていいのかしら。
この日はとても楽しかったし、店員の女性は色々割引もしてくれた。でも子供たちの映像がYouTubeにアップされてたのは困るわ。




