潮風
すっ、と吸い込んだ
一気に
懐かしい場所へ飛んでくよ
特別なものは何も無かった
眩しい日差しと
永遠の青だけ
高台の家から眺めたら
それはシャッターチャンスになった
カモメが鳴いている
主人を無くしたその家の姿を
嘆いているのか
ツンと刺さる潮の香りは
センチメンタルを連れてくる
わたしはここに居るんだ
道の真ん中を悠然と歩く猫
誰にも驚いたりしないと
踏み締める一歩一歩
主張してる
瞼を開くとそこは寂れた港町
小学校のチャイムの音
水飛沫をあげる漁船
今でも変わってはいないんだね
太陽の熱も
永遠の青も