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僅かな疑問を残しながらも、俺はシルクハットボーイを連衡する

「石神さん、お疲れ様です」

 シルクハットボーイをパトカーに詰め込んだ俺に、杉林が話しかけて来た。

「おう、お疲れ、杉林。ま、まだこれからだけどな」

「そうですね。署までの連衡。気を緩めずに行きましょう」

「・・・・ところで、杉林」

「はい?何ですか?」

「・・・・・・俺の顔はそんなに厳つくて、角ばってて、エラはってて、五角形なのか?」

「・・・・シルクハットボーイに言われた言葉、気にしてたんですね・・・・・」

「あ、いや、忘れてくれ!」

 っと、そんなしょうも無い事気にしてる場合じゃ無かった。

 パトカーの周囲では遠巻きに野次馬共が見物している。

 見世物じゃないってのに、ったく。

 これ以上野次馬が増える前に、さっさと署に戻った方が良さそうだ。

 俺はパトカーの荷台を開け、シルクハットボーイから押収したステッキや、マント、シルクハット、他にはトランプとかコインとかこまごましたものまで全部突っ込んだ。

 正直、犯行をしたり、警察から逃げたりするのにどう使うんだというものばかりだったが、純粋に、よくもまあこれだけ隠し持ってたもんだと感心する。

 ま、でもこれでシルクハットボーイは何も出来ないだろう。

「ふう・・・」

 荷台を閉めて、俺は短いため息を付き、空を見上げた。

 夜だというのに、遠くまではっきりと見える真東京の空。

 ビル群の窓から漏れ出す光が、夜でも街を明るく照らしている。

 当然、シルクハットボーイが飛び降りたビルの屋上も、俺は視界に捉える事が出来た。

 その高さはどう見積もっても百メートルは下らない。

 明らかに人間が落ちて、生きていられる高さじゃ無いよなあ。


「・・・・何であの場所から飛び降りて無事だったんだ?」


 ・・・・・まあ、俺の疑問に答える奴は誰もいない。

 誰も聞いていなかったんだから、当然だけど。

 仮に、聞いていたとしても、シルクハットボーイ本人以外に答えられる者はいないだろう。

「ま、あのシルクハットボーイの事だ。何か仕掛けがあるんだろ・・・。それは署に着いてからゆっくりと聞いてやるか」

 俺は一旦疑問を胸にしまい、パトカーに乗り込んだ。

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