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心からの叫びは、僕に何を伝えるのか。

「何だよ・・・・・・」

 俺はシルクハットボーイ―――――人和を茫然と見送る事しか出来なかった。

 人和が、シルクハットボーイだったのか。はっ、騙されたぜ。

 正体は隠し、爆弾は嘘。

「・・・・・・・あいつ、虚言ばっかじゃねえか」

 ――――でも、正体が人和だと分かった今、これまでの行動に悪意があったとは、俺には到底思えなかった。

 一緒に酒を飲んだ中だ。人和がただの狂人じゃ無い事位は分かる。

 何となくだが、人和は本当に世界を救うヒーローになろうとしているんじゃないのか?

 ただ、人々に構って欲しいだけなんじゃないか?

 だが、それにしては人和は――――危うすぎる。

 人和の正体に気付けなかった俺が思うのも何だが、あいつは周りが何も見えていない。

 止めてやるべきだろう。

 取り返しのつかない失敗をこれ以上する前に。

 きっと、人和は自分が今までに犯した大きな罪に、気付いてすらいないだろう。

 あいつはそんな――――馬鹿みたいに純粋な目をしていた。

 人和がそれに気づいた時、あいつの心が無事で済むかは甚だ疑問だった。

「・・・・・・仕方ねえ。助けてやるか」

 人和を追いかけて、ぶん殴ってでも止めてやろう。

 元よりその為にここに来た訳だし。

 止める理由が一つ増えただけだ。

 俺は手錠で繋がれた手すりに足を掛ける。


「磁力制御――――――オン」


 まるで紙切れの様に手すりはひしゃげ、潰れた。



 * * *



 長い階段を上り切り、やっとの事で僕はグラビティツリーの頂上、高さ六百三十四メートル地点に到着した。

 急いで梯子を登り、外に顔を出す。

 それだけで、吹き付ける強風が僕を襲った。

 普段であれば恐怖を覚えるだろうが、今の僕に恐怖は無い。

 彼女の為になら、恐怖を覚える事などあり得ない。

 彼女を視界に収めた僕の口元には、自然と笑みが毀れた。

「――――雫、無事だったかい?」

「・・・・人和」

 振り返った雫は、僕が無事なのを見て安心したのだろうか。

 その顔に笑顔を浮かべた。

 っく~~~~!!かわいいな~~~~!

 心でそう叫ぶものの、僕は口に出してそれを言わない。

 今はそんな事を言って雫から軽蔑の眼差しを頂いている場合ではない。それくらいは分かる。・・・・・まあ、それも悪くないな、とは思うけど。

 気を取り直し、ふと横を見ると、先ほど不覚にも雫の元へ行かせてしまった杉林が氷漬けになっていた。

 四つん這いの状態で見事にカチコチになっている。

「・・・・・まあ、何だ。僕が助けるまでも無く、一人で大丈夫だったみたいだね」

 何ともバツが悪い。

 僕はあれほど苦労して石神さんを倒した訳だが、恐らく雫は杉林を瞬殺である。

 だが、雫はそれを誇る事もせず、首を振った。

「・・・・でも、『氷塊』を使ったせいで、『氷結世界』の発動に使う妖力が足りなくなっちゃったわ・・・・。準備自体は終わってるんだけど」

 ふと、空を見上げると、不思議な幾何学模様が雲で描かれていた。

 あれこそが、『八角氷雪陣』を発動の基準として行う雪女一族最強の秘術『氷結世界』なのだろう。

 一生物が起こしている現象とは信じられないほどのスケールだ。

 その幾何学模様はどこかもう出来上がっている様に感じる。

 雫が言う様に、もう本当に発動するだけなのだろう。

「そっか。でもまあ、それなら大丈夫でしょ。いずれ妖力は回復するだろうし、もう敵もいない。これで世界は凍り付いて、雫の住みやすい世界になるよ」

 そして、それだけじゃない。人間にも、他の生き物たちにも住みやすい世界になるんだ。

「・・・・ん。そうだね」

 僕の言葉を聞いて、雫は笑った。

 ―――――何故か、どことなく悲しみを感じる儚い笑みだ。

 雫は笑顔なのに何故悲しく見えるのか、僕にはまるで分からない。

 でも、まあ、いっか。

 これで雫の願いは叶うんだから。

 それだけで僕は満足だ。


 ―――――そうして僕らは、笑いあった。


「うおわああぁぁああ!!!?」

 突如、その僕らの空間を切り裂いたのは、ある警官の叫び声――――

 声の主はあろうことか、グラビティツリーの外に広がる空、その下から吹っ飛んできた。

 空を切り、グラビティツリー頂上よりもさらに上に飛んでいく。

 が、頂上から、数十メートル付近で動きを止めた。

 いや、違う。

 落ちて来る。降って来る。

 凄まじいスピードでこっちに来てる来てるきてるうわあああああっ!!


 ドズウッン!!


 間一髪、今まで僕が這いつくばっていたその場所に弾丸とかした一人の人間が降り立った。いや、違うか。突き刺さった。

 男が突き刺さった地面は抉れ、陥没している。

「あ~~、くそ!マジで使いづれえなこの靴!」

 ぶつぶつ文句を言いながら男はめり込んだ自分の足を一本ずつ引っこ抜く。

「あ・・・・」

「お!」

 男の正体は―――――石神さんだった。

 ・・・・・・・・え!?石神さん!?

 いやいや、おかしい。さっき間違いなく手すりに繋いだはずなのに。

 僕が慌てて石神さんの手首を確認すると、あった。手錠はしっかりと石神さんの手首にはめられている。

 が、二つの輪の内、手すりに繋がれているべきもう片方には、何も繋がれていない。

 どうなってんだよ!?

「よう、人和。さっきぶりだな」

「どうも、石神さん。動けない様にしたつもりだったんですけど、僕なにか失敗しましたかね?」

 僕は至って冷静な風を装ってみる。内心はかなり困惑してるんだけどね!

「はっ!まあ、いいぜ。教えてやるよ。これだ」

 言って、石神さんは自分の足元を指さす。

 そこには、先ほどから気になっていたちょっと歪な形をした黒い靴がある。

「これは東京警察独自開発電磁力制御靴試作機――――グラビティコントロール、プロトタイプ00だ。見たまんま、俺はグラビティシューズなんて呼んじゃいるが。こいつで磁力を起こして、手すりをひん曲げたのさ。あと、磁力の強さを調整して、反発作用で空を飛ぶ事も出来る」

「いや、空を飛ぶってなんだよ!!」

 そんなの聞いた事も無い。

 それに今はグラビティツリーの磁力制御システムが機能停止をしているはず。

 簡単な機構の磁力器具ならまだしも、人間の体に取り付け、磁力制御で空を飛ぶなんて装置、グラビティツリーのアシストなしでは到底考えられない。

 だが事実、石神さんは階段から現れたのではなく、空から現れた。

 グラビティツリーの外壁の向こうの空から、飛び出してきた。

 理屈でなく、事実が石神さんの言葉の信ぴょう性を雄弁に語っている。

「こいつはグラビティツリーが何らかの理由で、機能不全に陥った際に使う奥の手として作られたのさ。内部に内臓されたナノチップで磁力を演算制御し、グラビティツリー無しで武器にも移動手段にもなる様に作られてる。といっても、今回は勝手に試作機を持ち出しただけだから、磁力操作が不完全みたいだけど」

 ああ!だから石神さんはグラビティツリーの展望台に、外からガラスを蹴破って入る事が出来たのか。

 でも、武器にもなるって・・・・。

「じゃあ、何で僕との戦いの時にはそれを使わなかったんですか?」

「言っただろ?不完全で制御が上手く効かないんだよ。ただ使うだけで俺は命がけなのさ」

「意味が分かりませんね。何で命を懸けてまで、僕らを逮捕しようとするんですか?」

「俺自身の正義に従ってるだけだったんだがな・・・・。さっき、もう一つ理由が増えた。何も考えようとも、見ようともしないバカな人和をほっておけなくなっちまったんだよ」

 言いながら、石神さんは雫を睨みつける。

 そして、そのまま視線を横にずらし、カチコチに凍った杉林を見た。

「杉林・・・・・」

 石神さんは僅かに目を見開く。

「・・・・・・おい、女。一様、聞いてやる。杉林を凍らせたのはお前か?」

「そうだけど、何?あなたも私の邪魔をしに来たの?」

 雫と石神さんは互いに互いを睨み合う。

 石神さんの表情はまるで親の仇でも見る様な・・・・・

「ど、どうしたんですか、石神さん?いつも以上に怖い顔してますよ?ほ、ほらもうこれ以上の戦いは無意味です。僕らはこれから世界をよりよくしますから、石神さんは杉林を連れてもう帰って下さいよ?ね?」

「人和・・・・・・」

 石神さんはとても、そうこれ以上ないほどに哀れな者を見る顔で僕を見つめて来た。

「もしかしたらと思っていたけど、お前、本当に気付いていなかったんだな・・・・・。しょうがねえな。教えてやるよ。俺の命を懸けて」

 そして、石神さんは一歩前に踏み出した。


「じゃあな。勘違いヒーロー」

 

 その顔には、どんな感情が渦巻いているのか。僕にはまるで分からない。

 ただ、常軌を逸した覚悟だけはひしひしと伝わり、僕は何も言う事が出来なかった。


「・・・・・もう人和との話は終わったかしら?」

「何だ、待っててくれたのか?優しいじゃねえか。・・・・・・まあ、俺はお前に優しさなんて期待してないし、してほしくもないが」

「勘違いしないで。あなたじゃなく、人和が話していたから邪魔をしなかったのよ」

「そうかよ。それを聞いて安心した。じゃ・・・・、やるか」

 石神さんは大きく息を吸い込む。

 そして、腹の底から、いや、心の底からの叫び声を上げた。


「よくも杉林を殺しやがったな!!!!この人殺しが!!!!!!!!!!」


「・・・・・・は?」

 何を石神さんは言っているんだ?

 石神さんが何を言っているのか、理解出来ない。

 だって、杉林は凍り付いてるだけで―――――

「うおおおおおおお!!!!!」

 石神さんは足に手を伸ばし、グラビティシューズを起動させる。

 瞬間、反発作用なのだろう。

 石神さんは雫に向かって吹っ飛んで行った。

「これでも喰らいやがれ!!」

 吹っ飛びながらも石神さんは体をひねり、空中回し蹴りを雫に浴びせようと――――

「邪魔」

 が、その足が雫を捉える寸前で―――石神さんの足は吹き飛んだ。

 ボトリと。

 僕の前に足が転がる。

「ギャアアアアアアァァァアアアア!!!!!」

 グラビティツリー頂上に石神さんの叫び声が響き渡る。

 空中で片足を失った為にバランスを崩し、雫の前で足を押さえて倒れていた。

「・・・・・私の邪魔をしなければこんな事にはならなかったのに・・・・・」

 呟く雫の手は凍り付いていた。

 それは、細く、長く鋭く凍り付いて雫の腕を覆っている。

 ―――――氷の手刀だった。

 あれで石神さんの足を切り飛ばしたのか。


「クソッ!化け物がああアアァアア―――――――――――――――」

えーと、はい。言い訳になるかもしれないんですけど、それでも言わせて下さい。

すいませんでしたーーー!!(号泣)

いや、別に書くのがめんどくさくなったからここまで投稿が遅れたとかじゃないんですよ!?

単純に暫くパソコンがインターネットに繋がらなくなってまして・・・・。

今後はまたはぼ毎日の投稿に戻ると思いますので。はい。

まあ、また繋がらなくなったら分かりませんけど。(汗)

ホント、すいませんでした!


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