私のお茶目なミスで、パトカーは吹っ飛んじゃった
―――――二十分前―――――
シルクハットボーイがパトカーに無理やり乗せられている。
どうしよう。
助けるべきだろうか。
――――いや、もう私の中で答えは決まっていた。
「・・・・・助けよう!」
私は近くの裏路地に駆け込んだ。
今、人間達はパトカーの回りに集まり、この裏路地には人っ子一人いない。
背中に背負っていたリュックを下ろし、中から白装束を取り出す。
この白装束こそ、雪女の証だ。
これを着る事で大気中の精霊の加護を格段に受けやすくなる。
言うなれば妖力増強衣、といったところだろうか?
まあ、あくまで白装束なので人間の世界ではとても目立ってしまうから、あんまり着たくは無いんだけど。
とにかく、私は手早くそれに着替えた。
私は全速力でビルの階段を駆け上がる。
そんなに高いビルじゃ無かったんだろう。すぐに屋上に到着した。
この服に着替えた以上、もう人前に出る事は出来ない。
にも拘らず、パトカーは走り去ってしまった。
―――――だから私は、ビルの屋上を飛び移りながら追いかける事にした。
「雪の精霊よ!私に力を貸して!!」
私が叫ぶと屋上はその全てが凍り付いた。
そして、屋上の淵は反り返って凍り付き、スキーのジャンプ台の様になっている。
次に飛び移らなければいけないビルは、今いるビルよりも高いが、これならいけそうだ。
目一杯助走をつけ、私は走り・・・・、いや、滑り出した。
「・・・・っえい!!」
勢いよく、飛ぶ。
すぐに足元には次のビルが現れる。
「雪の精霊!もう一度、お願い!!」
そして、私が着地する前にビルの屋上は凍り付く。
凍り付いた屋上に私は着地し、その勢いを殺す事なく、次のビル目掛けて滑り出す。
このスピードなら・・・・・いける!!
しばらくビルからビルへ飛び移るのを繰り返していると、やがてパトカーが見えて来た。
ここまで近づけば、もう私の射程圏内だ。
「雪の精霊!あのパトカーのタイヤを凍らせて!!」
・・・・っあ!
雪の精霊にお願いしてから気が付いた。
あのパトカー、タイヤが無いじゃない!!
あれあれ?
この場合どうなるんだろう?
雪の精霊は一体何を凍らせるんだろう?
――――――そして、パトカーは思い切り吹っ飛んでいた。




