「色と能力」
「そう、地獄で経験したこと、それとどうやって現世に戻ってきたのか・・・とかね。でもその代わりに『お土産』をくれるのよ。」
「お土産・・・ですか?」
「そう、そのお土産はね、記憶の最深部に埋め込まれるのよ。それはね、今の言葉で言うと『呪い』に近いものなのかなw」
そう言う北条さんの顔が一瞬曇ったように見えた。
「呪い?ですか。」
そう言うおれもなんだか沈んだ気持ちになった。
「このお土産には使い方があるのよ。あなたが『見えないはずの物』を見ることが出来るのもそのおかげよ。じゃあ手帳の4ページを開いてみて。」
4ページにはライセンスの使い方が書かれていた。
ライセンスには3つの使い方があります。
1、個々人が持っている能力によって色が変わります。
2、近くに能力者がいると共鳴振動を起こします。
3、生徒手帳に差し込むことでPCモードに移行します。
「読んだ?」
笑いながら北条さんが聞いてくる。
「じゃあライセンスを取り出してみてw」
驚いたことにカードの色が変わっていた。
「色が赤になってます。」
「やっぱりね。 君見たときにそうじゃないかと思ったのよね。」
すかさず北条さんの顔から笑みがこぼれた。
「どうゆう意味ですか?」
「赤、つまりあなたの能力は戦闘に優れているってことなのよ。」
「そうなんですか?」
「そうなんです! ちなみに私のは青、つまり回避と回復に優れているの。」
俺は昔やったことのあるRPGを思い出していた。
「まあ、論より証拠! ってことで今日はもう遅いから明日、授業が終わったらまた部室にきてね。てか・・・来いよなw」
その時の北条さんの笑顔はとてもかわいらしかった。
時計に目をやると時刻は6時を回っていた。
「じゃあ私、職員室にカギ届けに行かないといけないからまたね。ちなみにライセンスと手帳のことは秘密だからね。」
俺の肩を叩くと彼女は校舎のほうにすたすたと歩いていった。旧校舎はもとの静けさを取り戻していた。