雪の降る世界
どこからか鼻歌まじりの笑い声が聞こえる。
「この唄、たしか・・・。」
そう、あの曲だった。
「そう、この曲は、『ジュラシックパーク』のテーマだ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ちげーよ!!」
強烈なツッコミが入る。
「久しぶりだね。と言っても君は覚えていないはずなんだけどね。」
なぞの声が俺に囁く。耳を澄ますと木の方からだ。
「・・・・そうだな。君にあげたお土産、どうやら君に合っていなかったようだね。」
周りを見渡すと1人の少年が木の下で笑っている。
「お前はだれでここはどこだ?」
この時俺は意識がぼんやりしていかすこし混乱していた。
「僕? そうだな、じゃあ『ミスト』とでも呼んでもらおうか。」
少年はにやりと笑う。
「ここは夢と意識の間だよ。」
少し自慢げに少年は話す。
「・・・・・つまり俺はまだ死んでないってことか?」
俺はテスト返しの時ぐらいに緊張していた。
「うん、そうだよ!!」
そう答えると少年はにっこり微笑む。
「まあ時間が無いから手短に話すよ。あのピエロのマスクは13種類の魔神具の一つなんだ。」
少年の声はどこかで聞いたことがあるような、なにか懐かしい感じがした。
「魔神具?」
つぶやく俺に少年が答える。
「そう、魔界の王が作った13個の道具。地獄にはね13個の国があるんだよ。でね、その国々が争いを始めた。争わないように神が1つの提案をしたんだよ。」
しぶしぶ語る少年。どこかであったような気がする。
「提案?」
「そ、簡単に言えば。『ゲーム』かな。」
少年が微笑む。
「ゲーム?」
その瞬間急激な眠気が俺を襲う。
「ルールは人間界に13個の魔神具を落とし、自分が選んだ人間にそれを回収させる。単純だろ。」
まさかと思った。
「単純って。じゃああのマスクも?」
どうやら予感は的中したようだった。
「そのとおり。あれを回収してほしい。」
まじかよ。
「そんな、現に今殺されかけたじゃないか!!」
眠気を振り切ろうと力をいれようとするが力が入らない。
「まあまあ、落ち着いて。その代わり君に五つの能力を与えるよ。」
怪しい笑みが俺のほうを向いている。そして俺は思い出した。
「能力? そうか、君が俺に昔お土産を渡したのか。」
過去の記憶がよみがえる。
「冊子がいいね。そう、君にその力を託したのは僕だ。」
「やっぱり・・・・だがなんで俺に?なんでこんな力を?」
「君は1つ誤解しているね。その能力は元々君が生まれつき持っていた能力なんだよ。僕が渡したのはそれを開放するための能力。そしてこれから君にあげるのは・・・・悪魔の力。」
少年の顔が強張る。
「悪魔?」
いったいどんな能力を。
「さ、そろそろ時間だ。」
少年がボケットから時計を取り出す。
「それは?」
見たこともないような形の時計だった。
「これは時間を操るための道具さ。これで君を事件が起こる前に引き戻す。」
さあ帰れ旅人よ。使命を果たした後、また会おう。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
時刻は9時30分。 時間は巻き戻った。