螺旋と階段
不気味な足音・・・・
「ドールって事は序列25位以上、しかも生徒会室から来たって事は。」
あまりそれ以上の事は考えたくなかった。
「たすけて。は、速く!!」
黒乃の黒いドール、それは西洋の騎士が黒い鎧を着けながら前かがみの姿勢をとっている人形のような形だった。
「この威圧感、半端じゃない。」
尖った5本の爪それはどんな物でも貫き抜けそうに見える。
「北条さん、しっかりしてください!」
ピエロのマスクの中からは鋭い眼光が光る。
「た、頼む・・・・ま、マスクを!!」
そう叫ぶ夜乃の声がまた変わる。さらにドールが俺を狙う。
「まず・・・・・貴様からだ。こ、殺す。」
不気味に光るドール爪が俺に威圧感を送る。
「出てくれ! キャッチ!!!」
俺は腕に力を込めた。そして勢いよく刀を引き抜こうとしたのと同時だっただろうか。夜乃のドールの鋭い爪が俺に襲いかかる。
「間に合え!!」
刀を鞘から抜こうとした瞬間、夜乃のドールが姿を消す。
「残像。」
「・・・・・・・」
たしかに手ごたえはあった。 ただ、それと同時に俺の心臓に激痛が走る。
「遅いんだよ。お前。」
どうやら俺が攻撃したのは残像だったらしい。俺の体に冷たいものが突き刺さる。
「ク、クソ。」
だんだん意識が薄れていく。体から暖かい血が体から流れていることを感じる。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
北条さん叫び声が耳元で聞こえる。俺の体にはなにか重たい感触が残る。
「あは、はははは。見ろ!! 血まみれだ!!」
不気味な笑い声と叫び声が交差する。夜乃のドールの爪が俺の腹を貫通していた。
>> し、死ぬのか。俺。 <<
痛みがだんだん鈍くなってくる。さらに鋭い眠気が襲う。
>> もう駄目なのか。死ぬのは・・・・いやだ。 <<
俺がそう思った瞬間だった。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
いったい俺は・・・・
次の瞬間俺は白い雪が降り積もる広い場所に倒れこんでいた。
「・・・・・・・・」
「ここが・・・・・天国?」
「・・・・・・・」
「俺・・・・死んだのか?」
「・・・・・・・」
広い雪の積もる世界。そこには大きな木が1本立っているだけだった。だがその木はなにかおかしかった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あの木・・・・雪が積もってない・・・・・」
まるでここは止まった世界。 積もる雪。そして・・・・・・
俺は死んだ。