月と共に。
今から約3時間前、午後4時27分。
「生徒会役員、集合完了したか?」
メガネをかけた身長の高い男が問いかける。
「はい日向会長。すでにメンバーは生徒会室のほうに集合しています。」
書類に目を通しながら寝癖頭の小柄な少女が答える。
「今月に入って奴らの出現状況は?」
「3体です。そのうち2体は夜乃君が、後の一体は私がw。」
そうしゃべる少女はなにか楽しげであった。
「そうか・・・。 で、先輩達の手掛かりは?」
「今のところは何も・・・・」
少女の顔から笑顔が消える。
「そうか・・・ あの日からもう3年・・・・か。」
うつむきながら日向がぼやく。
「会長。そろそろ時間です。」
明るい声が日向に突き刺さる。
「分かった。行こうか湯坂くん・・・・。」
そう喋る日向の顔がなぜか暗い。
午後4時35分、生徒会室。
「会長、今日はどのようなメンバーでいきますか?」
先ほどとは打って変わり彼女の表情はなごやかだった。
「今日は夜乃、と一之瀬。」
メガネをふきながら日向が答える。
「了解。」
冷めた表情で夜乃が答える。
「右に同じ。で、今日のミッションは?」
「行方不明者の捜索と・・・ 『眼帯のドールの撃破』。」
一瞬周囲が沈黙する。
「眼帯ってあの危険レベルAランクの?」
一之瀬があたふたしながら質問する。
「そうだ、今日こそ奴をこの世から・・・消し飛ばす。」
全員の表情がひきしまる。
「分かったよ。じゃあ俺は・・・・・。」
「お前は後方支援。」
「え・・・・・。」
一之瀬は目を丸くしている。
「よし、行くぞ!」
午後4時47分。 地下13階・第19区画。
「湯坂!扉を開けろ!」
日向が怒鳴る。
「了解しました。」
湯坂は扉のロックを外す。
「全員準備はいいか?」
日向が問いかける。
「OKだ。」
夜乃が答える。
「こっちもだ。 生徒会のトップの実力、みせつけてやるぜ。」
軽い口調で一之瀬も返答する。
「ギィィィィィィィ!!」
そして扉が開かれる。 この後に起こる惨劇を彼らはまだ知らない。
そして・・・事件は起こった。