日が落ちて
多分・・・俺はあの時の夢を見ていたんだと思う。あの恐ろしい夢を、だが思い出せない。
いったいどうして。
俺は起き上がる。
「あーーーーーーーーーー!! 気が付いた!!!。部長!部長!!」
まだぼやけた目で周囲を見渡すとそこには知らない顔の女の子が怒鳴っていた。
「おお、ごくろう!綾瀬川くん。下がっていいよ。」
(綾瀬川・・・・誰だ?) やけに腕がダルイ。
「だいじょうぶ? 2時間気絶してたんだよ!! まったく。」
ため息交じりの声で北条さんは言う。
「すいません。心配かけて。」
そんなことはミジンコなみに思っていない俺だった。
「ところであの加減の効かない「ハハ」って笑う副部長さんは?」
まだ頭がくらくらする。
「ああ、あいつなら帰ったわよ。眠いって。」
「そうですか。」
一発殴ろうと思っていた俺をだれが攻められよう!!
「ところでそこのうるさい人、誰ですか?」
「ああ、綾瀬!。チョットカモン!!」
髪の毛を後ろで縛った女の子だった。
「どうも!! 2年C組の綾瀬川恵で〜す! 宜しく。」
また新キャラか!!
「またバトルですか?」
恐る恐る聞いてみた。
「それもいいけれど・・・もう7時よ!」
時計に目をやる。
「こんな時間!」
つい口に出してしまった。
「明日は資料室集合ね。今度は部員集合させとくから。」
部員?そういえばま全員見てないんだっけ。
「じゃあまた明日ねw 遅刻はだめでござるよw」
ござる? まあいいか。いつもの笑顔で部長が手を振る。
「おつかれさまで〜す。」
つられて綾瀬川さんも手を振る。帰り道が部長と同じなのだろうか?部長と綾瀬川さんはしゃべりながら同じ方向に歩いてゆく。
「もうすぐ完全下校時刻だ。 明日もこんな日々が続くんだろうな。」
辺りが少しずつ黒にそまってゆく。教室や体育館にはまだ部員がいるのだろうか。ポツポツだが明かりが灯っている。 空には明るい月が電気の消えた教室を照らしている。
俺は学校を後にした。