f第二話
色白の少女は朱莉に気が付いた。するとただでさえ白い顔がもっと青白くなった。
「お金ならあげます!ほら、財布!それでも不満ならこのバックも差し出し…」
朱莉はあわてて棒を手放し。
「大丈夫大丈夫!私、物取りじゃないから!」
「じゃあ、なんで襲おうとしたの!」
「それは…ごめんなさい。怖がらせたりして。悪気はないの。」
少ししたら少女は落ち着いた。朱莉も隣に座った。朱莉は体育座りをして顔を膝に沈ませた。朱莉の心は呆然としていた。朱莉は音楽の子とすら考えられなくなっていた。
10分してから朱莉が顔を上げると少女がヘッドフォンで曲を聴いていた。朱莉は話しかけるが一向に気づいてくれない。
「ねえ、ねえ。」
「…」
「ちょっと聞いてるの!」
そういって朱莉は少女のヘッドフォンを取り上げた。取り上げるとヘッドフォンから大音量で音楽が聞こえた。
聞いたことのない曲だった。朱莉は曲がりなりにも人よりも音楽のことは知っていた。でも、今世に出ている曲ではなかった。
「返して!」
少女は乱暴に朱莉からヘッドフォンを奪う。その顔はまるで閻魔のようだった。
また少女がヘッドフォンをつけると朱莉は外そうとする。それを少女は手を頭に添えて防ごうとする。
「あんた、ちょっと!」
「ん~!ん~!」
「いいかげんに、しなさい!」
朱音がヘッドフォンをとるとそれを頭に付けた。
その曲を聴いて驚いた。プロでも通用するものだった。つないでいたIpodを取ってほかの曲を聞いてみた。
「これ、あんたが書いたの?」
「う、うん。」
「すごいじゃない!こんなにしっかりした曲が作れるだなんて!」
「褒められるようなものじゃありませんよ。」
「謙遜しなくていいわ。これでも私プロの端くれよ。」
「それは、気晴らしに作っただけ。それに私の声聞いた?」
朱音はAメロ聞いてみた。
「これは、ひどい…」
そこから音程などどこかへ飛んで行った歌声と小学生が書いた作文よりもひどい歌詞が流れてきた
「それが私の曲。私ね、それで自分のダメさ加減を聞いているの」
朱音は思った。何とも惜しい。ここまで曲が作れるのに、歌と歌詞がダメだなんて…
「いい加減返してくださいよ。もういいでしょ。」
「そうか!ねえ、私とコンビ組みなさい!」
その提案に少女は困惑した。