強いの意味
僕は、あの後泣きながら家に帰った。
母の前では涙はこらえるつもりだったが、こらえきれなかった。
「また虐められたの?
何か言い返したりしないの?できないの?
ああ・・情けない。」
母の意見はもっともだ。
僕は何も言えなかった。
「あんたは本当に死んだ父さんの子供?
父さんは強くて、弱いもの虐めを許さなかったんだよ。
だまって虐められてる人も許せない人だったんだよ。
これがあの人の子供?」
僕はいつもよりも、まして泣いていたのできつく言われた。
涙の量がどんどん増加していく。
泣いているとより一層情けなくなる。
「母さん・・・。
僕、強くなりたい・・。
強くなりたいんだ。」
「少しは似ているとこはあるのね。」
「どうやったら強くなれるの?」
母はなぜかあきれた様な表情をうかべた。
「おまえは強いって意味わかってない。
強いってのはどういう意味か知ってる?」
「喧嘩に強い。
僕が喧嘩に強かったら弱いもの虐めを止めさせられる。」
僕がそう言った時、母は激怒した。
「馬鹿たれ!」
僕の頬を叩いた。
ビシッ!その音が頭から離れない。
「強いってのはね、
正しいと思った事に立ち向かっていける事だよ。
おまえはだから強くない。」
僕は、確かに正しいと思った事に向かっていけない。
でも、そんな強い人っているのか。
弱いものが強いものに立ち向かっていく。
そんな人・・・。
死んだ父の事を思い出した。
そうだ、父さんだ!