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45歳DTPデザイナーは36協定違反で異世界出向  作者: 洋蔵
異世界でもDTPなのか
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レイヤー18 評価と実績


生成は続いていた。

拡張も止まらない。


だが、その中で差が生まれ始めていた。


「残っているものと、消えるものがあります」


研究員が言う。


机の上には二つの束。


使われ続けている術式。

使われなくなった術式。


洋蔵はその両方を見る。


「理由は出ていますか」


「はい」


即答。


一枚の紙を差し出す。


「使用継続率」


「継続?」


「一度きりではなく、繰り返し使われているかどうかです」


洋蔵は目を落とす。


数値が並ぶ。


高いもの。

低いもの。


明確に分かれている。


「成功率とは違うな」


「はい」


研究員が頷く。


「成功しても、使われないものがあります」


「逆も?」


「あります」


一拍。


「成功率は低いが、使われ続ける」


洋蔵は小さく息を吐く。


「理由は」


次の資料。


・扱いやすい

・判断が単純

・失敗しても致命的でない


「運用側の都合か」


「はい」


さらに別の紙。


「こちらは逆です」


・高性能

・高成功率

・高負荷

・高ストレス


「……使われない」


「継続率が低いです」


静かな説明。


洋蔵は頷く。


「評価が分かれたな」


「はい」


紙に線を引く。


縦軸に“性能”。

横軸に“継続率”。


点が打たれている。


右上。

左上。

右下。

左下。


「四象限で見ます」


研究員が覗き込む。


「右上が理想か」


「理想ですが、少数です」


「左上は?」


「高性能・低継続」


「扱いづらい」


「はい」


「右下は」


「低性能・高継続」


「現場向きだな」


「はい」


最後に左下。


「切り捨て対象です」


淡々とした声。


研究員は腕を組む。


「これで評価は終わりか?」


「いいえ」


洋蔵は首を振る。


「ここからが実績です」


一枚の紙を新たに出す。


そこには時間軸。


「期間で見ます」


「短期使用」

「中期運用」

「長期定着」


「時間で分けるのか」


「評価は瞬間です」


「実績は継続です」


静かな区別。


研究員は小さく頷く。


「確かに違うな」


洋蔵は続ける。


「さらに、環境別に見ます」


紙が並ぶ。


前線。

後方。

訓練。


同じ術式。


だが、数値が違う。


「……別物だな」


「はい」


「実績は環境依存です」


一拍。


「だから統合しません」


研究員が少し笑う。


「また総合点を出さないのか」


「出せません」


即答。


「意味が変わるためです」


洋蔵は別の資料を開く。


そこには名前が付いている。


「実績タグです」


・前線実績あり

・長期運用済み

・訓練適性高

・低負荷安定型


「ラベルか」


「はい」


「数値を要約します」


研究員は頷く。


「現場が判断しやすい」


「それが目的です」


紙を一枚めくる。


「そして、これを残します」


そこには一覧。


実績を持つ術式だけが並んでいる。


使われなかったものは、ない。


「淘汰したのか」


「はい」


迷いはない。


「記録は残します」


「ですが、運用からは外します」


静かな決断。


研究員はその紙をしばらく見ていた。


「……実績が、価値になるな」


「はい」


洋蔵は頷く。


「評価は可能性です」


「実績は証明です」


一拍。


「次に使われる理由になります」


机の上の円。


回収。

分析。

再設計。

再配布。

生成。

拡張。


そこにもう一つ加わる。


実績。


円はさらに重くなる。


だが、安定する。


「これで、選ばれるな」


研究員の声。


「はい」


短い返答。


魔法はもう、試行ではない。


使われ、残り、証明される。


数字だけではない。

感覚だけでもない。


積み重なった結果。


それが次の選択を決める。


後美洋蔵、45歳。

異世界出向中。


仕事は続く。


評価するだけでは足りない。


残す。


証明する。


そしてまた、回す。


終わりはない。


実績が、次を作る。


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