表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45歳DTPデザイナーは36協定違反で異世界出向  作者: 洋蔵
異世界でもDTPなのか
18/21

レイヤー17 生成と拡張


循環は、止まらなかった。


回収された結果は蓄積され、

分析は繰り返され、

再設計は精度を増していく。


だが、ある時点で変化が起きる。


「間に合っていません」


研究員が言う。


「再設計が追いつかない」


報告書の束は増え続けている。

配置判断も複雑化している。


用途が分かれ、

条件が細分化され、

例外が増えていく。


人の手だけでは処理しきれない。


洋蔵は紙を一枚抜き出す。


「なら、生成させます」


静かな声。


「生成?」


「評価結果から直接、術式を組み上げます」


研究員が眉を寄せる。


「自動化か」


「半自動です」


即答する。


紙に線を引く。


評価項目が並ぶ。


・性能

・効率

・運用

・感情


それぞれに数値と傾向。


「この組み合わせを条件にします」


「条件?」


「必要な性能域、許容負荷、運用レベル、心理的許容」


一つずつ指す。


「それを満たす形に術式を再構成する」


研究員は腕を組む。


「そんな都合よく組めるのか」


「完全ではありません」


短く答える。


「ですが、候補は出せます」


別の紙を出す。


そこには複数の案。


同じ目的。

違う構造。


「パターン化か」


「はい」


洋蔵は頷く。


「過去の成功例と失敗例を素材にします」


「成功は残し、失敗は制約にする」


紙の端に小さく書く。


“禁止条件”


「これにより、破綻しにくくなります」


研究員は小さく息を吐く。


「設計じゃないな」


「生成です」


言い切る。


一拍。


「人は選びます」


「選ぶ?」


「候補の中から、用途に合うものを」


机の上に並ぶ術式案。


前線用に尖ったもの。

安定性を重視したもの。

扱いやすさを優先したもの。


「一つでは足りません」


「状況が違うからです」


研究員はゆっくり頷く。


「だから“拡張”か」


「はい」


洋蔵は新しい紙を広げる。


そこには枝分かれした図。


中心に基準術式。


そこから分岐していく。


・高出力型

・低負荷型

・簡易運用型

・長時間維持型


「派生させます」


「同じ系統で?」


「核は共有します」


指で中心を叩く。


「ですが、外側は変える」


「環境に合わせて」


研究員が図を見つめる。


「これ……増え続けるな」


「はい」


否定しない。


「ですが、整理します」


線を引く。


似たもの同士が束ねられる。


「系統化します」


「分類し、管理する」


一拍。


「無秩序にはしません」


研究員は少しだけ笑う。


「完全に開発部門だな」


「運用部門でもあります」


即座に返す。


「生成して終わりではありません」


洋蔵は最初の円を指す。


回収。

分析。

再設計。

再配布。


そこに新しく書き加える。


生成。


その横に、もう一つ。


拡張。


「ここに組み込みます」


線はさらに太くなる。


循環は複雑になる。


だが、止まらない。


「……制御できるのか」


研究員の問い。


洋蔵は少しだけ考える。


「完全にはできません」


正確な答え。


「ですが、方向は決められます」


紙の中心を指す。


「基準をここに置く」


「逸脱は検知する」


「戻すか、切り離すかを判断する」


静かな説明。


研究員は頷く。


「それなら回るな」


「はい」


短い返答。


魔法は作られるものではなくなった。


条件から生まれ、

用途に応じて枝分かれし、

結果によって淘汰される。


残るものだけが次に繋がる。


後美洋蔵、45歳。

異世界出向中。


仕事は変わらない。


ただし規模が変わった。


一つを作る仕事ではない。


増やし、

選び、

整え、

回し続ける。


終点はない。


生成される。


拡張される。


そしてまた、評価される。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ