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45歳DTPデザイナーは36協定違反で異世界出向  作者: 洋蔵
異世界に出向になったわ
11/18

レイヤー10 情報収集


納品の翌日。


洋蔵は同じ机にいなかった。


魔導師ギルドの奥。


資料庫と呼ばれる部屋にいる。


棚一面に並ぶ魔導書。


年代も体系もばらばらだ。


「……揃っていない」


一冊を取り、めくる。


記述方法が統一されていない。


用語も、順序も、基準も曖昧。


別の一冊を開く。


「同じ術式なのに、書き方が違う」


小さく呟く。


後ろから研究員が声をかける。


「何をしている」


「確認です」


振り返らずに答える。


「何の」


「現状の把握」


ページを閉じる。


「今のままでは、再現性が低いです」


研究員は腕を組む。


「だが、それが普通だ」


「普通でも、効率は悪いです」


即答。


机に数冊を並べる。


「問題は三つあります」


指で順に示す。


「一つ、記述形式が統一されていない」


「二つ、使用条件が曖昧」


「三つ、結果のばらつきが大きい」


研究員は黙って聞いている。


「これでは属人化します」


「……属人化?」


「使う人によって結果が変わる状態です」


短く説明する。


「強い魔導師しか扱えない」


「弱い者は失敗する」


「それでは戦力として不安定です」


研究員はゆっくり頷く。


「確かに、そうだ」


洋蔵は紙を取り出す。


「なので、集めます」


「何を」


「成功例と失敗例です」


淡々とした声。


「誰が、どの条件で、どう使って、どうなったか」


書き出していく。


「ログを取ります」


「そんな記録は……ほとんどないぞ」


「だから取ります」


迷いはない。


「現場に行きます」


研究員が顔を上げる。


「前線か?」


「必要なら」


短い返答。


「机の上だけでは限界があります」


紙をまとめる。


「実際にどう使われているかを見ます」


沈黙。


やがて研究員が言う。


「危険だぞ」


「承知しています」


間を置かずに返す。


「ですが、正確な情報がないと改善できません」


それは事実だった。


研究員は小さく息を吐く。


「……わかった。許可を取る」


「お願いします」


洋蔵は軽く頭を下げる。


魔導書を作る前に、

使われ方を知る。


そのための準備。


後美洋蔵、45歳。

異世界出向中。


次の仕事は、調査。


感覚ではなく、記録で捉える。


ここで一区切り

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