第3話 学校の月
この作品はpixivとカクヨムに投稿した物です。
翌日、さくらは学校に行くと月のクラスを確認すると、昨日と変わって寝癖のままの月を見かけるが
時間が無いので、放課後に再び月の様子を見にいくのだった。
翌日、学校へ行くと月ちゃんのクラスを確かめる。
1年生の教室は、自分の教室へ行く通り道。
ちょっと不自然だけど、教室を覗きながら歩ていたら
……1年2組に月ちゃんの姿があった。
ただ、髪は寝ぐせがついたままで、ぼさぼさだけど……これで学校に来たの!?
物凄く面倒くさがりと言ってたけど、寝ぐせを整えるのも
面倒なぐらい面倒くさがりみたい。
でも、桜の下に居た時や、昨日はちゃんと髪は整えられてたよね。
ということは、誰かにやってもらっているって事かな?
気になるけど、そろそろ自分の教室に行かないとならないし、
2年生用もないのに1年生の教室を覗いてるのは変だからね。
なので、月ちゃんのクラスを確認するだけにし、自分の教室へと向かった。
「おはよう、さくら。昨日話してた女の子と事わかった?」
なこるが話しかけてきたから、わたしは昨日の事を話した。
「そうか、もうわかったんだ。一応、1年の新入部員に聞いたけど、その子は同じクラスって言ってたよ。
でも、名前もクラスももうわかったんだ」
「そうなんだ。こっちから頼んでおいて、自分でわかったちゃったけど、ありがとね、なこる」
「別にいいって。その子、とってもかわいいというか、綺麗な子みたいだね」
「綺麗だけど……ちょっと変わった子かも」
「そうなんだ。それはそれで、面白そうだね」
なこるは面白そうっていうけど、月ちゃんは変わってて面白いのは確かな。
昨日の事を話そうとしたら、先生がきたのでなこるは自分の席に戻った。
月ちゃんの事は休み時間に、なこるに話した。
*****
放課後、再び月ちゃんの教室へ行ってみたけど、月ちゃんはまだ帰ってなかった。
月ちゃんは自分の席に座ったまま、ただただ上を向ているだけであった。
そして、月ちゃんは朝見た時と変わっている所があった。
寝ぐせでぼさぼさだった髪が、ちゃんと整えられていた。
多分、クラスメイトが見かねてと整えてくれたのかな。
わたしがクラスメイトだったら、間違いないくそうしてる。
月ちゃんの髪は、綺麗で艶のあるストレートなので、
ブラッシングをするだけで綺麗になりそう。
でも、朝はその綺麗な髪が台無しになるぐらい、寝癖が酷かった。
しかし、あの髪で登校してくるのは、すごいというか、変わっていると言うか……。
それはともかく、わたしは月ちゃんに声をかけるか悩んでいる。
月ちゃんの教室には月ちゃんの他に、男の子が3人、女の子が2人残っている。
行動力がある割に、知らない人がいると、意外と躊躇するわたしだったりする。
それに、自分のクラス以外の教室って、なんて言うか、
アウェー感がしてなんか苦手。
でも、どうにかして月ちゃんに声を掛けたいが、2年生が入学して
間もない1年生に声をかけるのも変かな。
いや、声をかける事よりも、陰から教室を覗いている方がよっぽど変か。
それは自分でもわかっているけど、いざとなったら怖気ついてしまう。
「あの、誰かにご用ですか」
突然、後ろから声をかけれ、驚いて声が出そうになったが、
声をかけて来たのは女の子だった。
リボンの色から1年生というか、月ちゃんのクラスメイト。
「あ、あの、飯塚 月さんに用事があるのですが、声をかけにくくて……」
1年生に対して何故か敬語で、わたしが女の子に言うと
「そうでしたか。確かに、飯塚さんは声をかけにくいですよね。わたしが呼んできます」
女の子はぺこりと頭を下げて、教室に入ると月ちゃんに声をかけと
月ちゃんはわたしの方を見る。
すると、鞄を手に取って立ち上がり、女の子と一緒にわたしの元に来たのであった。
「斉藤さんに……さくらさんがいると言われたので……来ました……」
斎藤さんとはさっきの女の子の事かな。
「斉藤さん……でいいのかな?ありがとうね」
「はい、そうです。別にいですよ。わたしは先に帰ります」
斎藤さんはまたぺこっと頭を下げて、帰っていた。
「さくらさん……何にかご用ですか?」
「用ってほどじゃないけど、帰ってなかったら、桜並木の所まで
一緒に帰ってもいいかなって思って」
「はい……大丈夫です。桜さんが来なかったら……帰るのが面倒で……しばらくはあのままでした……」
昨日、学校から帰るのが面倒って言ってたけど、本当だったんだ。
わたしだったら、学校に来る方が面倒で、帰る時はすぐ帰るぐらいなのに。
「それは良かった。では、行こうか」
「はい……」
下駄箱で靴に履き替えるけど、さすがの月ちゃんでも
靴を履き替えるのが面倒ではないようだ。
「履き替えるのは面倒じゃないんだね」
「いえ……面倒です……。ただ……小学校の時に……土足のままだったのを
先生にしかられことがありますが……しかられる方が面倒です……」
流石と言うかなんというか、靴に履き替えるのも面倒とは。
でも、先生にしかれられるのはそれ以上に面倒に感じるんだ。
どうやら、すべての事が面倒というより、さらに面倒と思う事が
あれば面倒じゃないんだな。
学校から家に帰るのも、お化けが怖いからって言ったけど、
月ちゃんにとって、家に帰る事よりも、お化けが出る方が面倒くさいって事か。
「月ちゃんって全ての事が面倒じゃないんだ」
「流石に全部ではありませんが……大半の事は面倒です……。
でも...…最近は少しづつ減っています……」
今の状態で減ったと言う事は、今まではもっとひどかったのか。
「そうなんだ」
「はい……小さい頃は服を着るのが……面倒だったみたいです……」
「そ、そうなんだ」
「はい……服が着るのが面倒で……裸で外に行こうとして……
親になんども止めれた事をうっすら覚えています……」
はっきり覚えてないということは、2,3歳ぐらいの時の事かな。
2,3歳でも流石に裸で外に行くのは駄目だし、危ない人もいるからね。
「流石に……それ以降は服をちゃんと来てしたが……今度はパジャマから……幼稚園に行く服に着替えるのが面倒でした……」
着替えるのが面倒だったけど、それでも幼稚園の頃は、
親が着替えさせたからよかったそうだ。
小学校になってもそれが続き、着替える事もあったけど、
パジャマ姿で何度か学校へ行こうとして、ていつも玄関で慌てて止めれたとか。
ただ、何度も親にしかられたから、着替えるようになったそうだ。
「他にも色々ありますが……これ以上は恥ずかしいこともあるので……」
現時点でもかなり恥ずかしいけど、これよりさらに恥ずかしい事があるんだ。
「下着を履かないで学校に行ったとか?」
「それは無いですが……ブラジャーをしないで行った事はあります……」
流石に下着を履かない事はなかったようだけど、ブラジャーは確かに面倒かも。
特に朝はブラジャーをするのが面倒だけど、わたしは胸が大きい方だから
しないと胸が揺れて、不快だから仕方なくだけど。
「ただ……わたしはブラジャーをするほど……胸がありませんが……」
月ちゃんはわたしの胸を見た後、自分の胸を見て言うけど
胸の事を気にしてるのかな?
でも、月ちゃんは大きくはないけ、どぺったんって訳でもないけどね。
「大きくはないけど、ちゃんと胸があるからしないとダメだよ」
「……そうですか?」
「そうだよ。大きくなくても、ブラジャーをちゃんとすれば大きくなるかもだから。
あと、女の子としてのマナーだからね」
「さくらさんがそういうなら……」
なんか月ちゃんは納得してくれたようだから良かった。
胸のサイズに関わらず、女の子としてブラジャーはしないとダメだよ。
「月ちゃんは背が高くてスリムで、綺麗だから、背が小さくて
普通なわたしからしたら羨ましいかな」
「そうですか……でも、さくらさんはかわいいですよ……」
月ちゃんにかわいいと言われて、思わずドキッっとしてしまったけどお世辞だよね。
でも、かわいいと言われるのは嫌ではない
「ありがとう、月ちゃん」
「はい……」
そんな事を話したら、桜並木についた。
今日は、このまま月ちゃんと別れて帰るか、
それでも今日もベンチで話すかちょっと悩む。
「桜並木につたけど、今日はどうする?」
「今日も……さくらさんと一緒にしたいです……」
月ちゃんはそう言って、わたしの制服の袖をつまんで引っ張るけど、かわいいな。
それに、月ちゃんが一緒に居たいと言うので、
わたしもそれに応える事にして、月ちゃんとベンチに座ったのだった。
お読みいただきありがとうございます。
月は面倒くさがりですが、ランクがあって一番面倒な事より面倒でなければやるんです。
ただ、身だしなみについてはそこまで気にしてないので、寝癖を直さなくても平気だったりします。
また、面倒を見てくれる人はとても大好きです。
ツイッター
@shiizu17