第24話 月の感想
この作品はpixiとカクヨムに投稿した物です。
今回でお弁当編は終わりです。
さくらはベンチに座り、月にお弁当の感想を聞きます。
月はおいしかったいいますが、さくらはそれぞれのおかずの味について尋ねます。
わたしと月ちゃんはいつものベンチに座る。
このベンチは初めて月ちゃんを見て、話し、仲良くなった場所。
そして、月ちゃんのお気に入りと言うか、わたしたちの定番の場所になっている。
桜が咲いている頃は桜が綺麗だった。
けど、桜が散って、緑の葉だけになった後だと、交通量の多い国道端なのでいい環境とは言えない。
でも、それにより人が少なく、近所の人が散歩や買い物で通るぐらい。
だから、話がしやすい場所でもある。
なのでわたしは
「お弁当どうだった?」
わたしが月ちゃんに尋ねる。
「おいしかったです……」
と答えるけど、それはわかっている。
わたしはそれぞれのおかずの味が、月ちゃんに合ったかどうかを知りたい。
「弁当箱が空っぽだったから、全部食べたことはわかるよ。ただ、おかずの味を聞きたいかな」
「そうですね……煮物は甘めでしたが、ちょっと甘めだったかもしれません。ただ、味自体はおいしかったです……」
煮物は月ちゃんに合わせたけど、月ちゃんでも甘めだったみたい。
「卵焼きはどうだった?」
わたしは卵焼きについて尋ねる。
「卵焼きは……甘くはなかったですが……卵焼きとしておいしかったです……」
卵焼きは月ちゃんにとっては甘くなかったけど、卵焼きとしてはおいしかったと答えた。
「そうなんだ。煮物は月ちゃんに合わせたけど、量が少ないから甘すぎたかな。
卵焼きはどちらかというと、わたしの味にしたけど、わたしの味としてはちょっと甘めだったけどね」
わたしは月ちゃんに味付けについて教えてあげる。
「そうでしたか……煮物はわたしでも甘めでした……。卵焼きは……甘くなかったです……。
でも……さくらさんが作ったならなんでもおいしいです……」
月ちゃんはこう言うと、目線をずらして頬を染めていつもの照れ方をする。
「わかった、次からはもう少し味の調整をするよ」
次はもっと月ちゃんの味に合わせるというけど、月ちゃんは何も言わない。
月ちゃんはまた食べたいと言ってないから、わたしが勝手に言っていることになる。
でも、月ちゃんがわたしのお弁当を嫌がっているわけではないと思う。
ちゃんと全部食べたからね。
だから、わたしはしばらく月ちゃんの様子を見る。
すると月ちゃんは
「次と言わず……何度でも作ってください……」
とさらに頬を赤くして、月ちゃんはわたしに頼む。
そして、目線だけでなく、顔もわたしから逸らす。
「うん、わかった。週1回ぐらいだけど、月ちゃんの分も作ってあげるね。
そして、今度はちゃんと月ちゃんの味に合わせるよ」
わたしはうれしそうな口調で月ちゃんに伝えるが
「あの……わたしの分だけ作るのは……大変だと思います……なので、さくらさんと同じ味にしてください……」
と月ちゃんはわたしと同じ味にしてほしいと言う。
確かに、月ちゃんの味に合わせると、別に作らないといけない。
特に少量となると、焦げやすいし、味付けも難しくなるので、むしろ面倒になる。
なので、わたしの味に合わせて、一度に作る方が楽ではある。
でも、わたしと月ちゃんの好きな味は、正反対と言ってもいいぐらい違う。
「わたしはその方が作りやすいけど、月ちゃんはいいの?うちの味付けは、月ちゃんの好きな味とは違うよ」
わたしがこう言うと
「さくらさんが大変なので……かまいません……。それに……お母さんの味は……そこまで甘くないです……」
と恥ずかしそうに月ちゃんは答える。
(え、そうなの!?)
わたしは月ちゃんの家の味が甘いと思ってた。
でも、実はそこまで甘くないらしい。
なので、わたしはちょっと驚いた。
「わたしが……甘いのが好きなだけです……。甘さは……この前のコロッケぐらいの甘さです……」
月ちゃんはわたしが作ったコロッケの味が、月ちゃんの家の甘さだという。
(だから、10個も食べたんだ……)
月ちゃんがあまり甘くないと言ってたけど、あれが月ちゃんの家の味だったみたい。
「そうなんだ。だから、いっぱい食べたんだね」
わたしが笑いながら言うと
「それもありますが……さくらさんが作ったからです……」
と月ちゃんが返すけど、月ちゃんは顔を横に向けるどころか、身体ごと横に向ける。
「そうなんだ、ありがとう。月ちゃんがそう言うなら、週に1度だけどお弁当を作ってあげるね。
でも……一緒に食べられないのが残念だね……」
お弁当を作ること自体はいいけど、一緒に食べられないのが残念。
「わたしも一緒に食べたいですが……さくらさんが……1年生の教室に入る訳にはいきません……なので、我慢します……」
月ちゃんも本音はわたしと一緒に食べたけど、理由が理由だけに我慢すると言う。
「そうだね。でも、お弁当は一緒に食べられないけど……スーパーのたい焼きなら、一緒に食べられるよ」
お弁当は無理だけど、スーパーのたい焼きなら一緒に食べられると言う。
すると、月ちゃんは
「たい焼きですか……今すぐ食べたいです……」
と言ってすくっと立ち上がる。
「え、今食べるの?」
わたしが聞くと
「はい、食べたいです……」
と月ちゃんはごくりと唾をのむ。
(そんなに食べたいんだ……月ちゃんらしいな)
わたしはこう思うと、わたしもベンチから立ち上がる。
そして、月ちゃんの手を取ると
「それじゃ、わたしのおごりで買ってあげる。でも、2つまでだからね?」
と月ちゃんがお弁当をおいしかったと言ってくれたので、わたしのおごり。
でも、さすがに5つは無理だから、2つまでと言っておく。
わたしは立ち上がると、自然に月ちゃんの手を取り、スーパーへと歩き出す。
「はい……2つで我慢します……」
月ちゃんもこう答えて、わたしと一緒に歩く。
そして、月ちゃんはわたしが握った手をぎゅっと、握り返してきたのだった。
お読みいただきありがとうございます。
月の家の味はさくらが思っていたほど甘くはなかったです。
月が甘い物好きなだえけでしたが、コロッケの甘さは家の味と一緒だったです。
そして、さくらのことを考えて、月はさくらの味でよいと言います。
これにより、月はさくらの味を選んだこととなります。
一緒にお弁当を食べられないかわりに、月の好きなたい焼きを一緒に食べることで穴埋めています。
次回からは月との勉強編です。
ツイッター
@shiizu17




