第21話 月へのお弁当 その2
この作品はpixivとカクヨムに投稿した物です。
朝、いつもより30分早く起きると、お弁当に詰めるおかずを作ります。
さくらは卵焼きの味を、月に合わせるか悩むが、母親に「さくらの味にすれば」と言われ
いつもより甘めではあるが、自分の味に合わせます。
さくらは元々早起きで余裕があるので、30分早く起きて料理をしても十分余裕です。
翌朝、いつもよりも早く目が覚めると、布団から出て朝の支度をする。
もともと早起きの方ではあるけど、今日はさらに30分早く目が覚めた。
月ちゃんへのお弁当を作るため。
それだけ月ちゃんにわたしのお弁当を食べて欲しい、という気持ちが強いんだなって自分でも思った。
(月ちゃんとの約束だからね)
わたしはこう心の中でつぶやくと、布団をたたんで部屋を出て、歯磨きと顔を洗い、トイレを済ませる。
部屋で制服に着替えると、わたしは台所へと行く。
「お母さん、おはよう」
台所では朝ごはんの準備をしているお母さんに、朝の挨拶をする。
「おはようさくら、今日はいつもより早いじゃない。それだけ、月ちゃんが好きなんだ」
お母さんは早速からかうけど
「約束だからだよ」
と冷静に返す。
「好きだから約束を守るんでしょ」
お母さんはさらにからかうけど
「誰が相手でも約束は守らないとダメでしょ」
と返すと、さすがにこれにはお母さんには何も言えないようで
「それもそうね。月ちゃんのお弁当箱も用意したわよ。夜作った物は、そこに出してあるからね」
と言って、これ以上は言わなくなった。
「ありがとう」
わたしはお礼を言うと、昨日の煮物をお弁当箱に入れていく。
「おかずはそれだけでいいの?」
お母さんが聞いてくるけど
「卵焼きとウインナーでもいれるよ」
と答える。
「卵焼きなら、すぐ作らないと時間がないわよ」
お母さんがこう言うけど
「時間はまだまだあるから大丈夫。冷蔵庫から卵を出してくるから、ボールを用意しておいて」
とわたしはお母さんにボールを用意してもらい、冷蔵庫から卵を出す。
その卵を割り、ボールにいれてといていく。
そして、味付けをするけど、いつもは出汁と塩、少量の砂糖を入れるけど
今日は月ちゃんにあわせてちょっと甘めにする。
といた卵に砂糖を多めに入れるけど、月ちゃんの甘さにあわせるとわたしには甘すぎる。
でも、少しだけ多いと、月ちゃんの口に合わないかもしれないから、思わず手が止まる。
「さくら、手が止まってるけど、味付けに悩んでるの?」
家族の朝ご飯を用意するお母さんが、わたしの様子を見てこう言う。
「うん、月ちゃんは甘いのが好きだけど、わたしには甘すぎるからどうしよかなって」
わたしがこう言うと
「煮物はさくらと月ちゃんので分けたけど、卵焼きはあえてさくらの味に合わせたらいいんじゃない?」
とお母さんは、わたしの味にあわせたらと言う。
(確かに、それもありかも……)
月ちゃんの味にばかりに合わせるんじゃなくて、わたしの味にあわせるのもありかな。
コロッケもいつもよりは甘めにしたけど、どちらかというとわたしの味だった。
それでも、月ちゃんはコロッケを全部食べたけど、無理した訳でもなさそう。
だったら、卵焼きはいつもより少し甘めにはなるけど、わたしに合わせてみることにした。
「お母さん、ありがとう」
わたしがお礼を言うと
「伊達に母親じゃないわよ」
と言って笑い、朝ごはんを作る。
(もう、素直じゃないなぁ)
わたしはこう思うけど、わたしも素直じゃないかなってふと思う。
月ちゃんは好きだけど、きっとこの好きは……。
わたしはこれ以上は考えないことにして、卵焼きを焼きはじめた。
卵焼きは難しく、今もあまり上手くできないけど、ひとまずは焼けるようになっている。
そして、どうしても焦げ目がついて、綺麗な色には焼けない。
でも、見た目よりは味が良ければいいかな。
「ひとまず完成かな」
卵焼きが焼き上がり、簡単だけどウインナーも焼いて、ご飯とおかずをお弁当箱につめていく。
おかずは煮物に卵焼き、ウインナーだけど、最初はこんなものでいいかな。
あとは月ちゃんの口に合うかどうか。
卵焼きは味見をしたけど、わたしにとってはいつもよりも甘め。
でも、食べられないほどでなく、好みの問題かな。
そして、少し冷ましてからお弁当の蓋をし、包んで通学鞄に入れる。
「これでよし」
わたしが準備を終えると
「さくら、準備ができたなら朝ごはんを用意してあるから、早く食べなさい」
とお母さんが言う。
「わかった」
わたしは、テーブルのお母さんが作ってくれた朝食を食べると、家を出た。
家を出ると、わたしは月ちゃんの家へと向かう。
すっかり月ちゃんを迎えに行くのが日課になっているけど、わたしも早く月ちゃんに会いたくて少し速くなる。
しかし、国道の広いバイパスに出ると、長い信号待ちとなる。
通勤時間で車の交通量も多いので、信号が青になっている国道側も車が進んでいない。
なのにこちらの信号もなかなか青に変わらない。
(早く信号が変わらないかな……)
わたしがこう思うと、思いが通じたかのように偶然であるが、信号が変わり青になる。
わたしは他に信号待ちをしていた人たちと一緒に、横断歩道を渡る。
そして、桜並木を月ちゃんの家の方へと向かう。
時間はまだ余裕があるけど、自然と歩くのが速くなる。
お弁当を作って来たのもあるけど、食べるのはお昼だから、まだまだ時間もある。
なのに、わたしの歩く速さは少しずつ速くなり、いつもより少しだけど早く月ちゃんの家に到着する。
そして、チャイムを鳴らすと、陽さんの声がして玄関が開いた。
お読みいただきありがとうございます。
さくらと月の味は、さくらは濃い目であまり甘くなく、月は甘めです。
卵焼きは少し甘めではありますが、月からしたら甘くないです。
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