第20話 月へのお弁当 その1
この作品はpixivとカクヨムに登校した物です。
さくらは月と約束したお弁当作りをしますが、前日におかずを仕込みます。
約束したとおり、わたしは月ちゃんのお弁当を作る準備をする。
夕飯を食べ終わり、家族も寝始めた22時ぐらいから、わたしは調理を始める。
月ちゃんは甘い物が好きで、辛い物と苦い物が苦手なのはわかってる。
ただ、お弁当に入れる辛い物や苦い物って何だろうって思った。
思いついたのは、麻婆豆腐やキムチ、カレーかな。
でも、お店で売るならともかく、学校に持って行くお弁当には入れないかな。
キムチは匂いがするし、カレーはルーがこぼれるかも。
麻婆豆腐は火を通しても傷むと思う。
苦い物は何だろうって考えたけど、山菜ぐらいしか思いつかなかった。
魚の内臓もあるけど、これはわたしも苦手。
なので、月ちゃんが好きな甘い物を考えるぐらいでいいかな。
ただ、お弁当に入れる甘い物って何だろう。
すぐに思いついたのは、煮物かな。
味以外に苦手な物があると、月ちゃんは言ってなかったし、アレルギーもない。
だから、ジャガイモやニンジンの煮物なんかでいいかな。
でも、煮物はなんかお年寄りっぽい感じがするけど、月ちゃんはそんなこと気にしないか。
煮物はお母さんがよくお弁当に入れてくれてるけど、わたしも好き。
ただ、うちの味付けは、出汁が利いた塩味やしょうゆ味で甘くはない。
だから、月ちゃん用は別に作ることにする。
少量を作るのは難しいけど、月ちゃんのために作ることにする。
わたしはジャガイモとニンジンをちょうどいい大きさに切る。
そして、水と出汁を入れた鍋に入れて、火にかける。
沸騰して、火を弱めて、ジャガイモとニンジンに火が通ったのを確かめると、味付けをする。
まずは砂糖を入れて、月ちゃんに合わせて甘めにするが、調理する量自体が少ないので味を見ながら入れていく。
「うーん、甘いけど、よくわからない」
普段の味付けよりも十分に甘いけど、これでいいのかわからない。
ただ、これにみりんとお酒を入れるので、こんなものにしておく。
普段は6人分を材料も調味料も、目分量で入れているから具体的なグラム数はわからない。
だから、1人前となると、逆に作るのが難しい。
あと、月ちゃんの好みに合うかもわからない。
コロッケの時はきっと、月ちゃんが気を利かせてくれたかな。
でも、10個も食べたから、本当に美味しかったとは思うけど。
今回のお弁当は、月ちゃんの好きな味を知るため、月ちゃんに合うように作ることにした。
しかし、いざ作ると、月ちゃんの好みがわからない。
甘いのが良いと言っても、お菓子が好きって意味で、料理はそこまで甘くないのかもしれない。
わたしは料理も甘い方が良いという前提で作ったけど、もし違ったらどうしよう。
その時は仕方がないとして、甘いのは煮物だけにして、
あとはウインナーや卵焼きといった定番の物にしよう。
卵焼きとウインナーは朝焼くことにして、夜は煮物だけを作ることにする。
砂糖を入れたら、お酒、みりん、醤油で味付けをして煮込む。
量が少ないので、常に見ておかないとならないけど、その分早くできる。
煮汁の残りが少なくなったところで、火を消し、粗熱を取るとタッパーに移す。
そして、タッパーを冷蔵庫に入れるが、こうすることで味が染みて美味しくなる。
「さくら、出来たの?」
寝る準備をした、お母さんがわたしの様子を見に来た。
「うん、できたよ」
「そう。ちゃんと片付けておいてね」
「わかってるよ」
台所はちゃんとわたしが片付ける。
「さくらが友達にお弁当を作るなんて、好きな子なの?」
お母さんはニヤニヤしながら聞いてくる。
「好きな子というか、友達だよ」
わたしが友達だと言うと
「さくらがなこるちゃんにお弁当を作るとは思わないから、月ちゃんだよね」
とお母さんはこう言うけど、月ちゃんのことはお母さんにも話してある。
「そうだよ」
「さくらがお弁当を作ってあげるなんて、そんなにかわいい子なんだ」
「かわいいっていうか、美人かな」
わたしはこう答える。
「そうなんだ。そんなに美人なら、1度会ってみたいから、連れてきてね」
お母さんはそう言ってニヤニヤしている。
「そのうちね」
わたしはこう言うけど、まだ家族に月ちゃんを会わせる気はない。
恥ずかしいのもあるし、月ちゃんも緊張すると思う。
うちの家族は気さくな性格だけど、月ちゃんが会いたいと言うまでは待つことにする。
「お母さんは女の子同士でも、別にいいわよ」
お母さんはこう言うけど、わたしが月ちゃんと付き合ってると勘違いしてる。
「別に月ちゃんとは付き合ってないよ」
「わかってるわよ」
「だったら、何でそんなこと言ったの」
わたしは少しむっとする。
「もう、冗談よ。ただ、女の子を好きになっても、さくらが選んだことだから、構わないわよ」
とお母さんは言う。
「月ちゃんとはそんな関係じゃないって。この前、コロッケを作ってあげたから、お弁当も作ってあげただけだよ」
「そういうことにしてあげるわよ♪それじゃ、お母さんは寝るからね」
お母さんは嬉しそうにこう言うと、台所を出ていった。
「もう、からかうんだから……」
わたしはこう言って、息を吐くけど、これだからまだ家族に会わせたくない。
ただ、お母さんの『女の子を好きになっても構わない』という言葉は、わたしに安心感を与えた。
お読みいただきありがとうございます。
高校生のお弁当に煮物はどうなのかなって思いましたが
さくらがそれだけ母から料理を教わっているということです。
煮物以外は朝に作ることにします。
さくらの母は、月との関係は恋愛的な意味もあると感じています。
ただ、さくらは親の手前もあて、否定はしています。
さくらの母は、さくらが選ぶなら、女の子同士でも大丈夫と言っており
これがさくらにとっては、安心材料となります。
ツイッター
@shiizu17




