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精霊戦争記 ~異世界に転生した私が世界を救う話~   作者: aki.
第5章「学校生活と剣術の師」
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剣聖武闘大会3





 剣聖武闘大会。準決勝。


 準決勝は、バトルロイヤル方式で行われる。予選Aグループと予選Bグループで勝ち残った出場者はトールさんたちを含めて八人。その八人が一同に集まり、時間無制限で残り二人になるまで戦い続ける。最後の一人が倒された時点で実況者がストップをかけ、そこで準決勝は終了する。協力するにしても孤軍奮闘するにしても準決勝にいたっては何をするにもルールに反していなければ問題はなく、これまでの大会では"獲物狩り"という戦闘方法が勝ち残った人たちの中で行われていたと師匠は言っていた。


「獲物狩り?」

「ああ。獲物狩りは、自分が勝ち上がるために邪魔になる者を執拗に狙い続けて蹴落とす事を言う。おそらく今回も何人かはその方法で戦ってくるだろう」

[獲物狩り! 獲物狩り!]


 師匠の言葉を聞いて、眉を下げる。トールさんの方に顔を向けると、彼は謎の仮面ゼットさんと一緒に居た。それでは、準決勝始め! との実況者の声が会場内に響き渡る。それを合図に出場者たちは一斉にトールさんたちの方へ走り出した。

 準決勝で勝ち残った八人中六人が全員トールさんたちに剣を向けている。それを見ただけで今回の"獲物狩り"の標的はトールさんたちだという事がわかった。


「うっわ。なんかいっぱい来たけど!?」

「何人来たところで結果は変わらん。行くぞ」


 トールさんと謎の仮面ゼットさんはそれぞれ剣を構え、此方に向かって走ってくる出場者たちを迎え撃つ。数の差など関係ないとでも言うように彼らは他出場者たちの攻撃を交わし続け、隙を見て攻撃を食らわせていった。

 力の差は歴然。トールさんと謎の仮面ゼットさんの攻撃は他出場者たちの攻撃をいとも簡単に弾き返していく。一人、また一人と連携を取りながら難なく返り討ちにしていくトールさんたちの姿に私は目を見開いた。


「はあぁ。凄いわねトールちゃんたち。初対面なのに何であんなにコンビネーション完璧なのよ」

「キャー! ゼット様すてきー!」

「ほぉ。あいつの動きに付いてこられるとは。あの仮面の男、なかなかやるな」

「……」


 トールさんたちの動きには、一切の無駄が無かった。トールさんが相手の攻撃を受けそうになれば謎の仮面ゼットさんがその攻撃を受け流し、逆に謎の仮面ゼットさんが相手の攻撃を受けそうになったらトールさんがその攻撃を受け流す。それを繰り返しながら、時には二人で同時に一人を攻撃して息を合わせつつ、他出場者を翻弄していた。あの二人、ここで会ったのが初めてのはずなのに、…まるでずっと一緒に戦ってきたかのような雰囲気でちょっと不思議。


 そして早くも残りはトールさんと謎の仮面ゼットさんとあと一人の三人だけとなった。あと一人の出場者。茶色い髪の男の人は剣を握る手を震わせて怯えた表情を浮かべながらトールさんたちを見つめている。


「な、なんなんだよこいつら…」

「よっし。あと一人! …せやけど、なんかあの人、戦う気失くしてるっぽい?」

「関係ない。剣を向けている以上は敵だ」

《おおっとこれは凄い! トール選手とゼット選手、迫りくる怒涛の攻撃をいとも簡単にすり抜け、ほぼ無傷で乗り切った!》

「こ、の…っ! うああああ!」


 一か八かで走り出し、トールさんたちに攻撃を仕掛ける茶色い髪の男の人。何の計画もなしにただ突っ込んでくるだけの攻撃にトールさんは息を吐いて、向かってきた男の人に素早い動きで一撃喰らわせた。トールさんの放った鋭い一撃が男の人の腹部に当たり、彼はその場に倒れる。


《決まったああ! 準決勝終了おおお! 勝ち残ったのはトール選手と謎の仮面ゼット選手! 決勝に足を進めたのはこの二人だあああ!》


 わー! と、観客席が盛大に盛り上がる。倒れている出場者たちが救護班の人たちに運ばれていくのを見ながらラーフェイさんと師匠は喜びを分かち合った。スイさんとメイドさんもホッと胸を撫で下ろして一安心している。仮面の女の子は言わずもがな"ゼット様すてきー!"と両手をあげていた。


 トールさんと謎の仮面ゼットさんは互いに顔を見合わせて何やら話し合っている。健闘を讃え合っているのか。眉をひそめてその様子を見つめていると、師匠が話し掛けてきた。


「どうだアメリア? トールの戦いぶりは?」

「…凄かったです。とても」

「あんな風になりたいか?」

「? …なれるんですか?」

「まぁ、なれるかどうかは頑張り次第だが…。お前は私の弟子でもあり、トールの弟子でもある。これからもお前が私たちの背中を目指して追い掛けてくるのであれば、いずれはお前もあんな風に強者の仲間入りをするのかもしれないな」

「背中を目指す…?」


 師匠は言う。

 予選と準決勝でのトールさんの戦いぶりは、ついこの間まで大怪我を負っていた人とは思えないくらいの立ち回りだった。


 まだ少しだけ傷が残っているにもかかわらずあの華麗な動きと剣捌き。凄いとしか言い様がない。


「……」


 私が、目指すべき背中。


 トールさんと師匠の背中は私にはまだまだ大きすぎるから目標にするのはさすがに無理だけれど、でも、いずれは私もトールさんや師匠みたいな"どんな事にも動じない強い人"になれたらいいなと思う。



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