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精霊戦争記 ~異世界に転生した私が世界を救う話~   作者: aki.
第5章「学校生活と剣術の師」
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魔法使用OK! 全力鬼ごっこ!3






「え!? スイさん、どうしたんですかその傷!?」

「師匠にやられた」

[スイ。スイ。傷だらけ。傷だらけ。ボロボロ。ボロボロ!]

「やっぱり師匠には敵わない。手も足も出なかった」

「いや。スイもなかなか手強かったぞ。あと少し手数が少なかったら負けていたかもしれない」

「そうは言うけれど、師匠さんピンピンしてるのよね。恐ろしいわ」


 鬼ごっこが終了し、この勝負はラーフェイさんのチームが勝利をおさめた。屋敷の庭に置いてある牢屋に収容されて、私たちは先にそこへ入ってくつろいでいたスイさんと再会。


 スイさんは、捕まりそうになった時に師匠と激しい攻防戦を繰り広げたらしく身体中傷だらけだった。ぴょんとコロタマが足の上に乗って、淡い光を放ちながら彼の傷を治していく。コロタマ、治癒魔法使えたんだ。


「それで、牢屋に入れたらそれからどうするの?」

「反省会じゃないのか?」

「メイドちゃん。トールちゃんから何か聞いてないの?」

「……」


 ラーフェイさんの言葉を聞いて、メイドさんは首を横に振る。

 ここからどうするかは聞いていないようだ。


「おーい!」


 するとそこで、屋敷の門がある方向から誰かが歩いてきた。牢屋の中から柵越しにそれが誰なのかを確認すると、歩いてきたのは鍛冶屋のテッセンさんだった。テッセンさんは肩に布を巻いた剣らしきものを担いでいた。


「おお。テッセンか」


 声に気付いて、師匠はテッセンさんの方を向く。


「こんにちは、テッセンさん」

「おうアメリア。…何で牢屋なんかに入ってんだ?」

「鬼ごっこで捕まったからよ」

「鬼ごっこ? …ああ、そういややけに外がドンパチ煩かったが…なるほどな。あれはお前らだったのか」

「それで、何か用なのか?」

「ん? ああ。剣が完成したから届けに来たんだよ」


 言って、テッセンさんは担いでいたものを師匠に渡す。布を外すと、ピカピカに光った剣が姿を見せた。


 それを見て、おー、と師匠とラーフェイさんは揃って声を漏らす。


「どうだ。完成させるのは簡単じゃなかったが、我ながら最高の出来になったと思うぜ!」

「とっても綺麗な剣ね。これは師匠さんの?」

「いや。これはアメリアのだ」

「まあ。アメリアちゃんの?」

「アメリア。そこから出てきて持ってみろ」

「あ、はい…!」


 お許しが出たので、牢屋から出る。


 師匠から剣を受け取り、まじまじとそれを見つめた。ラーフェイさんが言っていた通り、とても綺麗な剣だ。これが、私の剣。


「どうだ、アメリア。お前だけの剣だ」

「凄いです。凄く気に入りました! ありがとうございますテッセンさん!」

「はは。そんな喜んでくれると徹夜して打った甲斐があるってもんだ」


 よし。それじゃあ牢屋に戻れ。

 そう言って、師匠は私の背中を押して牢屋へ戻す。外に出るのを許されたのは一時的だけだったようだ。


「アメリア、剣頼んでたの?」

「うん。師匠が頼んでくれたの」

[剣。剣。名前。名前]


 スイさんから離れて、コロタマは私とアイシクルの足元で飛び跳ねる。名前?


「おお、そうか。アメリア。今のうちにその剣に付ける名前を考えておけよ」

「名前ですか?」

「ああ。名は体を表す。それは剣も同じだ。名を付けると愛着も湧くしな。…ちなみに、私の持つ剣の名は"ジャンヌ"だ」

「あら。師匠の剣ってそんな名前だったの?」

「ああ。こいつの名前を考えている時にトールがアドバイスをくれてな。気に入っているよ」


 口元を緩ませて、師匠は言う。

 名前…。名前か。


「うーん…」

「時間はたっぷりある。ゆっくり考えればいい」


 剣を見つめて考える。

 適当な名前じゃ駄目だよね。剣は一生ものだって言っていたし。

 今の私のネーミングセンスで考えるよりは、将来的に言いやすいものにした方がいいのかな。


「ぬぬぬぬ」

「…アメリア、凄い考えてる」

[ピピピピ。考える。考える。頭プシュー。煙。煙]


 考える私を見て、アイシクルとコロタマは顔を見合わせる。


 こういうのはさっさと決めておいた方が良い。あとで苦しむよりは断然楽だからだ。夏休みの宿題みたいなものです。


[ピ! ポータル反応! ポータル反応!]


 その時、突然コロタマが叫び出した。ピーピーと大きな音を鳴らして、コロタマはその場でぐるぐると転がり始める。


 スイさんはそんなコロタマを抱き上げて、柵に手を置き辺りを見渡す。それを見て、師匠たちは顔を見合わせて頭の上に"?"を浮かべた。


「ぽー、なんだって?」

「?」

「おい、あれは何だ?」


 テッセンさんが何かを見つける。


 テッセンさんが見ているのは屋敷の玄関付近の壁。そこには楕円形にぽっかりと開いた穴があった。その穴は私が学校に行く時に使っている穴によく似ている。…というか、それそのもの?


「おい何だあの穴は。私はあんな変な色をした穴は知らんぞ」

「待って! 誰か出てくるみたいよ」


 ここからでは遠くてわからない。魔法で双眼鏡を生み出してラーフェイさんが見てみると、どうやらその穴から誰かが出てくるみたいだ。


 少し待って、その人はゆっくりと穴から出てくる。そこから出てきたのは。


「兄さん…!?」


 アイシクルが叫ぶ。

 穴から出てきたのはトールさんだった。

 地面に足を付けると、トールさんはそのままうつ伏せに倒れて動かなくなってしまう。その様子を見て、メイドさんは一目散に彼に駆け寄った。


 遠目からでもわかる。

 トールさんは傷だらけだった。


「トールちゃん! しっかりして! トールちゃん!」


 師匠とラーフェイさん、テッセンさんも倒れているトールさんの傍に駆け寄り、傷の多さと大量に流れる血を見て目を見開く。早く治療しないと命が危ないかもしれない。そう言って、師匠はメイドさんにトールさんの介抱を頼む。頷いて、メイドさんは彼を担いで屋敷の中へ入っていった。これは、牢屋で反省会をしている場合ではない。


「師匠! 私たちをここから出してください!」


 大声で師匠を呼ぶ。

 師匠は私たちの方に顔を向けて、眉をひそめながら戻ってきた。


「…駄目だ。お前らはここに居ろ」

「どうしてですか!? トールさんは私の魔法の師ですし、アイシクルは弟です!! 私たちが行っても、」

「だからだ」

「え、…?」

「万が一という事もある。トールの無事が確保出来るまではここに居ろ。わかったな」

「師匠!」


 そう言って、師匠は離れていく。

 "だからだ"って、どういう意味?


「…仕方ない。俺たちはここで大人しくしていよう」

[果報は寝て待て。寝て待て]

「……」


 スイさんの方に顔を向けて、眉を下げる。

 ふとアイシクルの方にも顔を向けると、彼は柵に頭をくっつけて唇を噛み締めていた。



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