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精霊戦争記 ~異世界に転生した私が世界を救う話~   作者: aki.
第5章「学校生活と剣術の師」
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鍛冶屋・テッセン






「この中から好きな物を選べ」


 そう言って、師匠から渡されたのは剣のカタログだった。カタログを開いてみると、刀身と柄と鍔の鞘の四種類のパーツがそれぞれの専用のページにて色々と紹介されていて、私はそれらを眺めながらページをペラペラと捲り、眉をひそめる。


 私が今居る場所は応接室。学校から帰ってきた瞬間、ポータルの出口で出待ちをしていたメイドさんに捕まって、強制的にここまで連行されてきた。なのでまだ鞄を持ったままだ。連行するならせめて部屋に行ってから連行して欲しかった。出待ちされてた時ちょっと吃驚したよ。


「どれでもいいぞ。気に入ったものを買ってやる。剣術を学ぶにはまず自分に合った剣を見つける事からだからな」

「好きな物と言われましても…」


 ペラペラとページを捲り続ける。


 刀身だけで何ページあるんだろう。数がありすぎてとてもじゃないけれど選ぶに選べない。


「……」


 うーん。と、顎に手を添える。

 トールさんの魔法の師でもあったエーデリア師匠は剣術の達人としても有名だった。年に一度このフォージアムで行われる剣聖武闘大会では何度も優勝をかっさらっているほどの実力者で、そんな人から剣術を教われるなんて、なんて素晴らしい事なんだとラーフェイさんから何度も聞かされていた。


 もしかしたら、トールさんはそれで私に師匠を紹介してくれたんじゃないだろうかと最近になって思っている。中間試験という名の謎の試練を介して。


「多すぎて選べない時は、己のセンスを信じて"これだ!"と思ったものを指差せ。剣というものは扱い方次第では一生の付き合いとなる代物だからな。ビビっと来たものがあれば、それがお前の運命の得物だ」

「センス、」


 刀身のページを開いたまま、師匠の話を聞く。センス。ビビっと来たらそれが私の運命の得物、か。


「……」


 目を閉じて息を吐き、人差し指を動かす。

 少し考えて、私は"これだ"という物に指を差した。目を開いて指差したところを見る。


 二十八番・ライデン?


「師匠、これは?」

「おお。ライデンか。良い物を選んだな。これはライデンという刀鍛冶が二十八番目に完成させた名の知れた刀身だ。刃こぼれしにくくて折れにくい。まさに扱いやすく初心者向けの刀身だな」

「はあ」


 剣の事はからっきしわからないけれど、なんてわかりやすい名前の刀身なんでしょう。ライデンという人が二十八番目に完成させた刀身って…。覚えやすくていいけれど。


 この方法で他の三つ、柄と鍔と鞘も選んで剣選びは終了。あとは剣を持った時の感覚を調べると言って、師匠は私を屋敷の地下に案内した。いや、先に部屋に戻らせてください。


+



「光よ照らせ。ルクト」


 地下に降りて、光の魔法で辺りを照らす。今は物置になっているが、ここは昔、師匠が修行部屋として使っていたらしい。

 奥へ行くと、壁に木製の剣が左から小さな剣、中くらいの剣、大きな剣と大きさ順に綺麗に飾られていた。師匠はそこから小さな剣を手に取る。


「まずはこれを持ってみろ」

「あ、はい」

「どうだ? 正直な感想で頼む」

「…とても軽い剣ですね。振ったらすっぽ抜けそう」

「そうか。じゃあこれはどうだ?」

「…これは、少し重いです。振ると腰に来そう」

「なるほど。ならこれは?」

「…あ、これはちょうどいい感じです。振っても大丈夫かと」

「ほう。そうか。お前にはこの大きさと重さの剣が一番なんだな。…よし、わかった」


 私がちょうどいいと感じたのは、中くらいの剣。剣を元の位置に戻して師匠は満足そうに頷いた。

 地下の部屋から応接室に戻り、師匠は忘れないようにメイドさんに紙とペンを用意させてペンを走らせる。そしてしばらくすると師匠は私に"鍛冶屋へ行くぞ"と言った。


「鍛冶屋? こんな時間にですか?」

「ああ。明日は鍛冶屋が休みだからな。これから行って、お前の剣を打ってもらえるよう交渉をする」

「…剣を打つ?」

「鞄を部屋に置いてこい。玄関で待ってる」

「え、ちょ、ちょっと師匠!?」


 言うと、師匠はそそくさと部屋を出ていってしまった。それを私はポカンと見つめる。


 剣を打つって、どういう意味……?


+


 鞄を部屋に置いて、玄関にて待っている師匠のもとへ。屋敷を出てしばらく歩くと師匠の言っていた鍛冶屋があった。


 ハンマーが描かれた看板が目印のその店の中に入ると、四方の壁には沢山の剣と盾が飾ってあり、いかにもここは鍛冶屋って感じだった。


「おい、テッセン! 居るか?」

「ん? その声は、…ああ、やっぱお前か。エーデリア」


 カウンターに腕を乗せて、師匠は声を出す。

 声を聞いて店の奥から出てきたのは緑色の髪の男の人だった。首にはタオルを巻いていて、何故か額と両腕には汗を掻いている。


「こんな時間にお前が訪ねてくるなんて珍しいな」

「ああ。…それより、凄い汗だな。何かしていたのか?」

「これか? 今朝方、お得意様からの依頼で盾を頼まれてな。鉄を溶かしていたんだ」

「なるほど」

「…ん? そいつは?」

「!」

「紹介するよ。この間から私の屋敷に来て修行しているアメリアだ」

「は、初めまして…!」

「ほう。お前の新しい弟子ってとこか? 俺はテッセンだ。よろしくな」

「よ、よろしくお願いします」


 ニカッと歯を見せて、テッセンさんは笑う。師匠曰く、テッセンさんは見た目は怖い感じだけれどとても良い人なんだそうだ。


「で、今日は何の用だ?」

「ああ。お前に剣を打って欲しくてね。この子の」

「剣? エーデリアの頼みならお安いご用さ。それで、どんな剣だ?」

「えーと、…詳細はここに」

「なになに? …ふむふむ。二十八番・ライデンに三十五番・ツィート、五十四番・ヒーダ、百三番・リムースド。なかなか面白いチョイスだな」

「この子がセンスで選んだんだ。きっと良い剣になるだろう」

「センス…。はは、エーデリアらしいな。わかった。少し時間が掛かるがこいつを最高の剣にしてみせるよ。楽しみにしてな」

「よろしく頼む」


 言って、テッセンさんは店の奥へ戻っていく。出来上がりは、少なくとも二週間以内だろうと師匠は言っていた。


 センスで選んだと言ってもほとんど適当に指差したものだから、果たしてどんな剣が出来上がるのか楽しみな気持ちよりも不安な気持ちの方が大きい。


「さて、帰るか。何処か寄り道するか?」

「スパイスパンが食べたいです、師匠」

「パン屋か。よし、そこに寄って帰ろう。メイドへの土産にもなるしな」


 そして、私と師匠は屋敷に戻る。


 戻る途中でパン屋に寄り、スパイスパン2つとパンを3つ買ってから帰った。剣術の修行は剣が出来上がってから始めるとの事です。


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