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精霊戦争記 ~異世界に転生した私が世界を救う話~   作者: aki.
第5章「学校生活と剣術の師」
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体力測定・長距離






「よーし! じゃあこれから新入生の体力測定やるぞー!」

『おー!』


 朝のホームルームが終わり、午前の部の授業が始まった。本日は予定を変更して、新入生…つまりトウマくんの体力を見極めるためのテストを行う事になり、私たちは全員訓練場に集まる。


「第一測定! 長距離ー!」

「長距離?」


 長距離専用レーンのスタート地点に立ち、トウマくんは首を傾げる。体力測定の種目は二種類あり、その一つ目がこの長距離走だ。一周400メートルのトラックを体力の限界が来るまで走り続け、最終的に何周走れたのかを計測する。この種目の最高記録は、私たちのクラスでは確か8周か9周。誰が記録したのかは覚えていない。


 ちなみに、私の記録は2周だった。最後から三番目の記録だ。


「準備はいいか?」

「はい。いつでも」

「じゃあ、…。よーい!」


 スタート。と、先生の掛け声と共にトウマくんは走り出す。

 私たちは邪魔にならないように訓練場の外でその様子を見守っていた。


「あの新入生、何周くらい走んだろ?」

「さあ。見た目ひょろい感じだから2周も行かねぇんじゃねぇの?」

「でも今回も"妨害"はあるんだろ? 1周行くかどうかじゃね?」


 後ろに居る男の子たちが、ひそひそと喋る。"妨害"というのは、そのままの意味だ。


「は、…は、…、ん?」


 クラスの中で立候補した者が、魔法を駆使して走っている人の邪魔をする。邪魔をする理由は、走っているだけではつまらないから。これは先生が決めた事ではなく、クラスの男の子たちが全員で決めた事だ。


「っ、うわ!?」


 走っているトウマくんの目の前に二人の男の子が立ちはだかる。白い髪の男の子と赤と黒の二色髪の男の子。彼らは互いに目配せをして息を合わせて同時に魔法を放った。


 二本の鋭い雷がトウマくんの足元に落ちて、トウマくんはそれを間一髪のところで避ける。足は止めない。


「チッ、外した!」

「避けんじゃねぇよ転入生!」

「っ、何するんだいきなり!」

「先生に言われただろ? おれたちはお前を邪魔するためにここに居るんだよ!」

「邪魔? …! そうか! これが"妨害"!?」

「気付くの遅ぇよ! 地の力よ! ビッグウォール!」


 次に、白い髪の男の子…サンゼルくんが自分たちの背後に大きな壁を出現させる。足元から震え上がる大きな地響きを鳴らしながら現れたそれは私たちの身長の何十倍も高く、それを見てトウマくんは目を見開いた。


「ちょっと! あたしたちのトウマくんに意地悪しないでよ!」

「そーよそーよ! そんなの登れるわけないじゃない!!」

「さっさと引っ込めなさいよ!」

「うるせぇブス! これはあくまで"妨害"なんだよ! ぼ う が い!! 意味わかんねぇ野次飛ばしてんじゃねぇぞブス!!」

「だからブスって言わないでよ傷付くから!!」


 女の子たちとサンゼルくんが揉める。まぁ、あの大きすぎる壁は私もちょっとやり過ぎな感じはするなとは思うけれど、あくまでこれは"妨害"だし、先生も何も言わないから問題はないのだろう。


「トウマさーん! 頑張ってー!」


 隣に居るアンジェラが、声を出してトウマくんを応援する。でもその応援は女の子たちとサンゼルくんの揉めてる声で消されてしまっていた。


「トウマ! お前も出来るんなら魔法使っていいんだぞー!」

「え? いいんですか?」

「この体力測定はルールに外れてなければ何をしてもいい! だから大丈夫だ!」

「……」


 スタート地点から先生が叫ぶ。

 その言葉を聞いたトウマくんは、眉をひそめて徐々に近付いてくる壁を見つめた。


「魔法がありなら、越えられるか…」


 トウマくんの足は止まらない。

 それどころか少しずつ速くなっているような気がした。


「…なぁ、何であいつ止まんないんだ?」

「あのままだと壁に激突するぞ」

「壁に穴開けんのかな?」

「マジかよ! あの壁どんだけ分厚いかわかってんのか!?」


 男の子たちが騒ぐ。壁とトウマくんとの距離がだんだん短くなってきた。本当にどうするんだろうかと首を傾げる。するとトウマくんは、そのまま迷う素振りも見せずにトントンと軽快なステップで壁を登っていった。あっという間に頂上をひょいと乗り越えて壁の向こう側へ行き、魔法を使って地面に着地して何事もなかったかのように走っていく。


 それを見てサンゼルくんは目と口をポカンと開いて、女の子たちは歓声をあげた。



「な、…なっ!」

「おいおい、この壁何メートルあると思ってんだよ! 軽々突破していきやがった!」

「ぐ、ぬぬぬぬっ! な、なかなかやるじゃねぇか! こうなったらとことん妨害してやる! 行くぞアストル!」

「! お、おう!」


 どんどん先を走っていくトウマくんを悔しそうに見つめて、サンゼルくんは出現させた壁を消す。そして彼は赤と黒の二色髪の男の子…アストルくんと一緒にトウマくんを追い掛けた。そこから彼らとトウマくんの追いかけっこが始まり、それはトウマくんの足が止まるまで続いた。


 トウマくんの体力測定。

 長距離。記録・6周。



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