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精霊戦争記 ~異世界に転生した私が世界を救う話~   作者: aki.
第4章「時は戻り、幼少へ」
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いてもたってもいられず ※アイシクル視点






「さて、次はお前の番だ。アイシクル」


 アメリアを部屋の中に閉じ込めて戻ってくると、兄さんの師匠・エーデリアさんは俺の方を向いてそう言った。


 次は俺の番。言葉の意味がわからなくて頭の上に"?"を浮かばせていると、エーデリアさんは俺の顔を両手で掴んで顔を近付けてくる。


「!?」


 ちなみに、アメリアを部屋の中に閉じ込めたのは"アメリアの能力を試すため"らしい。兄さんがアメリアに魔法を教えてから三年の時が過ぎたため、中間試験という形で彼女には内緒で計画していた事なんだとか。


 中間試験を行うために、あらかじめ兄さんの師匠であるエーデリアさんに連絡を取り、彼女に俺の婚約者を紹介するという名目で、アメリアをこの屋敷に連れてきたんだそうだ。それならそうと早く言ってくれ。


「な、なんれすか?」


 顔をがっしりと掴まれているためか、上手く言葉が出ない。


「悪いが、この包帯を取るぞ」

「え? あ、…!」


 言って、エーデリアさんは俺の右目を隠している包帯を取る。見られないようにすぐさま俺は片手でそれを隠し、彼女から離れようとした。


 しかし、力が込められているせいで離れられない。


「こら、隠すんじゃない」


 右目を隠している手が掴まれる。


 強引に引き剥がされ、俺の右目の深い青がエーデリアさんの姿を映した。その瞬間、エーデリアさんの顔全体がパキパキと音を立てて七色の宝石に覆われる。


「!? ご、ごめんなさい!」

「ん、…ああ、大丈夫。こんなの」


 パキパキと音を立てて、宝石を手を使って取り除く。

 その取り除いた宝石を見つめて、エーデリアさんは口元を緩ませた。


「なるほど。これが私の魔力か。なかなか綺麗じゃないか」


 キラキラと輝くエーデリアさんの顔型の宝石。記念に取っておこうと言って、彼女はケラケラと笑った。


 俺は眉を下げて、右目を閉じて兄さんの方に顔を向ける。兄さんは俺の視線に気付き、楽しそうに笑うエーデリアさんを見ながら腕を組んで肩を竦めた。


+


 そして、しばらくエーデリアさんは俺の右目を観察する。顔を覆い続ける魔力の宝石を何回も剥ぎ取ってはそれを部屋に招き入れたメイドに預け、エーデリアさんはその度にふむふむと頷く。


 エーデリアさんが何をしているのか俺にはよくわからない。兄さんにはわかっているみたいだけど、聞いた所で教えてはくれないだろう。


「…アメリア、大丈夫かな?」


 あれから二時間ほど時間が経ち、アメリアはどうしているのかと考える。


 そんな俺の様子に、エーデリアさんは何個目かの顔型の宝石をメイドに預けながら口を開いた。


「なに。心配する必要はない。二十四時間もの猶予を与えたんだ。どんなにトロくさい奴でもそれだけの時間があれば必ず脱出出来るだろう」

「もし、それでも脱出出来なかったら?」

「脱出出来なかったらそれまで。資格がなかった。それだけの事だ」

「……」


 脱出出来なかったらそれまで。それとエーデリアさんは、もしアメリアが二十四時間以内に脱出出来なかったとしても助けには行かない。とも言った。


 それを聞いて、俺は目を見開く。


「助けに行かないって、…」

「二十四時間以内に脱出出来なかった時点で、私は彼女を見限るからな。そのあとで彼女がどうなろうが関係はない」

「…、あの。俺、アメリアがあの部屋から出てくるまで扉の前で待ってちゃダメですか?」

「それは構わないが。彼女はあの部屋からは出てこないぞ」

「え?」


 エーデリアさんの言葉に首を傾げる。

 部屋からは出てこない。とは、どういう意味なのか。


「彼女が出てくる予定の場所は、ここより離れた地下道の入り口。あの部屋の扉は強力な結界で守られていて、一度入ってしまえば二度と出られない仕様になってしまっているからな」

「地下道って、…それ何処に?」

「街の外れにあるが、行くのはオススメしないな」

「…アメリアが、そこから出てくるんですか?」

「無事に生き延びられればな」

「……」


 街の外れにある地下道。

 行かない。なんていう選択肢なんてどこにもない。


「このままここでじっと待ってるなんて出来ません。俺、地下道の入り口に行ってきます!」


 そう言って、走り出す。

 扉を開けて部屋を出る俺を見て、エーデリアさんは兄さんの方に顔を向けた。


「あらら。…行ってしまったな。まるで、昔のお前を見ているみたいだ」

「…、それで、調べた結果はどうだったんだ?」

「…ああ。十分なサンプルは取れた。これならば少し時間をくれれば問題はない。…これから私は籠るから、お前は弟を追え。一人では心配だろう?」

「……」


 兄さんは息を吐く。

 そして、兄さんも部屋を出た。兄さんとは屋敷の正門前で合流し、俺と兄さんは一緒に地下道の入り口へと向かう。


 部屋から出ていく兄さんを、エーデリアさんは笑顔で見送っていた。



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