シャスティアの夢の話 ※シャスティア視点
突然で申し訳ありませんが、私の話を聞いてくださいませ。
私の名前はシャスティア・アール。南の国・シャーレの出身で、中位貴族の中でも名の知れた由緒正しきアール家の娘ですわ。趣味はロマンス小説を読む事で、特技は剣術と魔術。シャイデルいう2つ下の生意気盛りのうっとうしい弟が居まして、それはそれはもう充実した人生を送っていると自負しております。
幼少の頃より母様から厳しく育てられた私は、それはもう見ればわかるように美しく可憐な風貌を持ち合わせておりまして、外を歩けば必ず殿方に声を掛けられてしまって大変なのです。まぁ、大半は無視していますから気には止めていないのですが。
……おほん。さて。では、本題に入りますが。私、この間から妙な夢を見るのです。そこは鬱蒼とした森の中で、私はそこにぽつんと1人立っていますの。太陽なんて見えませんから、果たして今が昼なのか夜なのかもわかりません。方角なんてもってのほかですわ。
動けないわけではありませんのよ? 動こうと思えば動けますが、私の直感が"動くな"と言っていたんです。そこから動いたら終わると何故かその時そう思ったのですわ。何が終わるのかはわかりませんが。
そして、しばらくの間そうしていると、少し離れた所から音がしてきますの。"ひたっひたっ"って。怖い話をしているんじゃありませんわ。まぁ、聞く方によってはこれは怖い話なのかもしれませんけれど。
その音を聞いて、私は首を傾げましたわ。何の音だろうと思いました。すると音は一旦止み、そして突然猛スピードで迫ってきましたの。"ひたひたひたひたひた"って。もう1度言いますけれど、これは決して怖い話ではありませんわ。
吃驚しましたわ。急に音が大きくなるのですもの。音の正体が何か気になります? 気になりますわよね。ですが、それにお答えする事はできませんわ。私にもわからないんですもの。いつもそこで目が覚めてしまうのです。その夢を見たあとは、私の身体はいつもぐっしょりと濡れていますの。汗をかいているのです。それはそうですわ。わけもわからない夢ですし、半分気色悪さもありましたし。おかげで、朝の日課にシャワーが追加されてしまいました。
え? どうしてこの話をするのかって? それは、誰かに聞いて貰いたかったんですの、この話を。こんなおかしな夢を一人占めしておくなんて勿体なくてできませんでしょう? ええ。今日もまた、私はこの夢を見るのでしょうね。何故この夢を見るようになったのかはわかりませんけれど、毎日毎日飽きもせずに見るのですから、何か意味があるのでしょうね。
おかげで授業の時間は眠くて仕方ありませんわ。アメリアさんの後ろの席で良かったです。何処かに夢の内容を聞いて色々診断してくれる方とかが居れば、ご相談に伺うのですけれど……。
……と、これで私の話はおしまいですわ。これは、アール家の不思議な話として後世にまで遺しておきます。ふふ。今夜もあの夢を見る事になるとなると、なんだか憂鬱ですわね。
あの夢を見たら、またアメリアさんたちにご報告いたしますわね。




