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道具屋は何処?





[さぁ、着いたよ。ここがウォーロだ]


 リネアさんの生み出したポータルを使い、私たちはお爺さんの小屋から南の国・シャーレにある小さな町・ウォーロへとやって来た。


 この町の何処かにお爺さんの友人であるファーベルさんという人が住んでいるという話だけれど、一体何処に居るのだろうか。見渡しても道具屋らしき建物は見つからない。


「地図によると、町の外れに住んでるって事だけど…」


 町の地図を見つめながら、トウマくんは言う。お爺さんから借りたウォーロの地図は棒と線だけの簡単な地図だった。


 地図の中心に描かれた大きな丸の中には三角屋根の家が何個かあり、そのうちの一件には紫色の旗が刺さっている。この家がおそらくファーベルさんの住む道具屋なのだろう。


「えっと、ここまで行くには、今居るとこがここだから…真っ直ぐ行って右に曲がって左に行って真っ直ぐ行って左だ」

「地図の道と現実の道が違い過ぎていてまったくわかりませんわね」

「町の人に話を聞きたいところだけど、人っ子一人歩いてないな」

「ここは静かな町だからな。少し先まで歩いていけば広場がある。そこまで行けば、一人くらいは居るだろう」

[よし。じゃあ行こうか]


 そして、私たちは歩き始める。リヴィスを含めた精霊たちは、目立つといけないからいう理由で精霊壺(ケージ)の中に戻っていた。私の持つ二つの耳飾りの精霊壺にはリヴィスとプクプ、シャスティアの持つ指輪の精霊壺にはシェル、トウマくんの持つペンダントの精霊壺にはノルン、そしてブレイズさんはアイシクルの中に入っている。


 まさかブレイズさんの入るべき精霊壺がアイシクル自身だとは思わなくて、それを知った時は吃驚した。リネアさん曰く、人間を精霊壺化するのは炎の精霊あるあるなんだそうです。


+


「ところでトールさん。さっき言ってた、その…今は使われていない闘技場って何処にあるんですか?」


 トールさんの言った通り、少し先を歩くとそこには広場があった。大所帯でぞろぞろと一人の人に聞き込みをするのは如何なものかと言うシャスティアの言葉により、じゃんけんで負けたトウマくんが現在広場を歩いている人に事情を話しながら聞き込みを行っている。


 その間、待機組の私たちはお腹も空いていたという事もあって、広場の近くにあった飲食店にてお饅頭を食べていた。味は色々あって、あんこや味噌だれ、醤油、カスタード、きなことどれも美味しそうだった。その中で私が選んだのは、あんこのお饅頭だ。ほんのりと甘くてほかほかしていてとても美味しい。


「ここから10キロ西に行った場所に洞窟がある。その先だ」

「洞窟?」

「昔は鉱山として機能していた洞窟だ。ここも、今は使われていない」

「聞いた事がありますわ。その昔、このシャーレには鉱山の町として有名な所があったと。まさかその闘技場があるのって」

「ああ。その鉱山の町にあった闘技場だ」

「鉱山の町に闘技場…?」


 トールさんとシャスティアの話を聞いて、アイシクルと顔を見合わせる。


 そこで、トウマくんが戻ってきた。


「戻りました」

「話は聞けたのか?」

「はい。道具屋の場所はわかりました。…ただ、一つ気になった事が」

[気になった事とは?]

「確かにこの町には道具屋はあります。だけど、そこにファーベルさんという方は住んでいないと」

[?]

「どういう事ですの? あのお爺さんが私たちに嘘をおっしゃったと?」

「いや、あの爺さんが俺たちに嘘を吐くはずがない」

「違う道具屋の場所を教えて貰ったとか?」

「それはないよ。ちゃんと地図を見せて確認したから」

[うーん。…よくわからないけど、とりあえず道具屋の場所はわかったんだ。地図とその聞いた話を頼りに向かってみよう]


 リネアさんは言う。


 頷いて、私は残りのお饅頭を口に含んだ。もぐもぐとお饅頭を食べる私を見て、トウマくんは首を傾げる。


「…で、何食べてたんだ?」

「お饅頭だよ。トウマくんも食べる? ウォーロ名物なんだって」

「お饅頭? …へぇ、ちょっと久しぶり。何味があるんだ?」

「えと、あと残っているのは…味噌だれとカスタードだね」

「あ。カスタードは私が頂きますわ」

「え? シャスティア、まだ食べるの?」

「お菓子は別腹というではありませんか。こういうのは何個頂いても構わないんですのよ」

「…じゃあ、味噌だれ貰おうかな」


 そう言って、トウマくんはテーブルに手を伸ばして味噌だれのお饅頭を手に取る。パクッと一口食べれば、彼は口元を緩ませた。美味しいらしい。


 ううむ。確かに、シャスティアの言う通り"お菓子は別腹"だ。私も、時間があったらまたここでお饅頭を買って食べよう。そして私たちは、お饅頭を堪能し、地図とトウマくんが聞いてきた情報を頼りに道具屋へと向かう。地図と情報の通り、道具屋は町の外れにあった。道具屋の前までやって来て、私たちは足を止める。


「ここがそうなの?」

「うん。ここで間違いないみたい」

「随分とこじんまりしたお店ですのね」

[入ってみようか]


 リネアさんのあとに続いて道具屋の中に入ってみる。中に入ると、そこには物がたくさん置いてあった。


 扉に付いていた鐘がカランカランと音を鳴らす。その音に気付いてカウンターの奥の部屋から女の人が歩いてきた。エプロン姿の女の人。女の人は私たちの姿を見て、柔らかい声で"いらっしゃい"と口にする。


「あら、初めて見る顔ね。新顔さんのお客さんは久しぶりだわ」


 ふふ。と、口元を緩ませる。


 聞いてみると、彼女はこの道具屋の店主でエスティールさんというらしい。私はエスティールさんにファーベルさんの事について聞いてみた。


「あの、ここにファーベルさんという人は居ませんか? 私たち、その人に会いにここへ来たんですが…」

「ファーベル?」

「私たち、そのファーベルという方から黒龍の羽というものを受け取りに来たのですわ。もしここに居るのなら、会わせて貰ってもよろしくて?」

「黒龍の羽? …んん? …ファーベル…、黒龍の羽…。あ、もしかしてアレの事かしら。ちょっと待っててね」


 私たちの言葉を聞いて何か思い出したのか、エスティールさんは踵を返して奥の部屋へ戻っていく。少し経って帰ってくると、彼女の手には二枚の紙が握られていた。


「貴女たちが探してる黒龍の羽って、これの事かしら?」


 エスティールさんはその二枚の紙を私たちに見せる。一枚目の紙には絵が描かれていた。黒い羽と、黒い羽の生えた女の人の絵。二枚目の紙には文章が書かれている。手紙みたいだ。


「これは?」

「その手紙は、ファーベル…私のひいおじいちゃんが残した手紙よ」

「!」


 エスティールさんは言う。


 彼女の言葉に私たちは目を見開いた。



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