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仲間を求めて 6 ※トウマ視点





 地面が揺れる。

 足元の地面が割れる。

 周辺の木が襲い掛かってくる。

 足元にあった大量の石がものすごい勢いで飛んでくる。


 これらの現象はすべて、精霊ノームの仕業だった。


+


[グオオオオッ!!]


 精霊壺(ケージ)のあった祠から離れ、俺たちはトールさんと一緒に迷宮区の中をひたすらに走り続ける。後ろからは精霊ノームが作り出した土人形のゴーレムが二体ほど追いかけてきていた。


 ゴーレムの傍には精霊ノームの姿があり、ノームは黒い衣服をなびかせながらゴーレムを操り、その周りを蝶のように飛び回っている。


[もう! ちょこまかと動きすぎ!! 攻撃が全然当たらないじゃない!!]


 甲高い声をあげて、ノームが叫ぶ。


 精霊ノームは二人で一つの双子の精霊だ。けれどここにはどういう訳か一人だけ、片割れ(姉の方)しか居ない。姉の方のノームの(あざな)は確か"ノルン"だったか。リヴィスやシェルの時と同じく彼女もいつもと様子が違っていた。


[こうなったら! ゴーレム!]


 ノルンが指示すると、二体のうち一体のゴーレムが地面を蹴って空へと飛び上がる。圧倒的な跳躍力で俺たちの頭上を通り越し、ゴーレムはドスンと音を立てて俺たちの前に立ち塞がった。道を塞がれて、俺たちは足を止める。


 前方に一体、後方に一体。挟み撃ちにされてしまった。


[さぁ。もう逃げ場は無くなったよ。おとなしくその精霊壺を渡して!]


 ゴーレムの肩に乗っかり、ノルンは言う。言う通りにしないとゴーレムの拳でぺしゃんこにするという脅し付きだ。


 それを聞いて、トールさんは腰に手を当てる。前と後ろに臨戦態勢のゴーレムが居るというのに、その表情は涼しげだった。


「…嫌だ。と、言ったら?」

[ゴーレムの拳でぺしゃんこにしたあと、鶴にして海に投げてあげる。そしてそのままあんたたちは水浸しで死ぬのよ!]

「まさか、こいつらごときで俺たちに勝つつもりか? 舐められたものだな」

[あたしの造ったゴーレムを甘く見ないで! あたしの可愛いゴーレムちゃんたちは、そこら辺にいる野良ゴーレムとは違うんだから! 力を見せてやって! ゴーレムパンチ!]


 そう言って、ノルンはゴーレムに指示する。


 ゴーレムは拳を振り上げて俺たちに攻撃してきた。大きさと重さがあるため、ゴーレムの動きはちょっとゆっくりだ。


「っ、シヴァリウス!」


 だけど、ゴーレムの拳は硬くて頑丈。いくら動きがゆっくりと言っても当たってしまうと大ダメージは必須。風を切りながら振り下ろされる拳を見つめて、俺はシヴァリウスを使って俺とトールさんの前に氷の壁を作った。


 氷の壁を作ったと同時にゴーレムの拳が壁にドシンと音を立てて激突する。その瞬間、壁から放たれていた絶対零度の冷気がゴーレムの拳を凍らせた。


[グオオオオッ!]


 凍ってしまった拳は数秒も立たずに粉々に砕けて跡形もなくなる。氷の壁も拳の威力でバラバラと崩れ、氷の欠片が足元に落ちた。


 ゴーレムは痛みで地団駄を踏む。どうやらこのゴーレムには痛覚があったらしい。


「そこら辺にいる野良ゴーレムとは違う、と言ったな。…俺たちにしてみれば、こいつらもそこら辺にいる野良ゴーレムと同じ、雑魚敵に過ぎん」


 そして、間髪容れずトールさんが武器(鉤爪)を構えてゴーレムに攻撃する。


 3本の爪から勢いよく放たれた青白い衝撃波が、土で出来たゴーレムの身体を引き裂いた。ドスンと大きな音を立てて、ただの土の塊となったゴーレムの身体が地面に落ちる。


[ゴーレム!]


 それを見たノルンは、眉をひそめて声をあげた。表情を歪ませながら俺たちを睨み付け、ギリギリと奥歯を噛み締める。


[っ、あんたらよくもやってくれたわね! 絶対に許さないんだから!]

[グオオオオッ!!]


 ノルンが叫ぶと、後方に居るゴーレムも雄叫びをあげて俺たちを威嚇する。


 雄叫びをあげた事で振動が起こり、地面と周囲の草木が揺れた。


[ゴーレム! 最大パワーで連続ゴーレムパンチ!!]

[グオオオオッ!!]


 ゴーレムの拳が素早い動きで俺たちに向かって飛んでくる。先ほどのものとは比べ物にならないくらいのそれに俺たちは驚いて、その場から慌てて離れた。


 素早く振り下ろされた拳は地面に埋もれ、穴を作る。それを見た俺はシヴァリウスを構えて、次の攻撃が来る前に氷の刃を放った。


「氷結一閃!」

[無駄だよ! ゴーレム! 防いで!]

[ガアアアッ!!]

「!?」


 しかしその氷の刃は、地面に埋もれた拳を無理やり振り上げられて跡形もなく砕かれてしまう。


[アクアブレード!]


 リヴィスも攻撃に加わり、水の魔法でゴーレムを攻撃する。けれどそれも振り下ろされた拳によって打ち消されてしまった。


 その他にも色々と攻撃を試みるけれど、すべてゴーレムには通じず。俺は眉を下げて小さく息を吐いた。全然駄目だ。どうしよう。


[うぅ、全然効いていません…。どうするんですか、トウマさまぁ]

「……、」


 眉を下げて、プクプが不安そうに口を開く。トールさんも俺たちと同じようにゴーレムに攻撃しているが、結果は同じだった。


[これは、…どうやら片方のゴーレムを倒してしまった事によりパワーが上がってしまったようですね。これでは、ワタシたちに勝ち目があるかどうか]

「どうすればいいんだ」

[…、手がないわけではありません]

「?」

[ウンディーネさま、何か思い付いたんですか?]

[ええ。ですが、この方法を用いるには、……?]

「…リヴィス?」

[いえ。どうやらその心配は必要なかったようですね]


 口元を緩ませて、リヴィスは言う。突然笑い出した彼女を見つめて、俺とプクプは顔を見合わせた。


 その時、ゴーレムの背後から激しい炎と風の刃が勢いよく飛んでくる。ノーマークだった背後からの攻撃により、ゴーレムは雄叫びをあげ、ノルンは目を見開いた。



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