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仲間を求めて 3 ※トウマ視点






「…あれ。ここも行き止まりだ」

[先ほどから行き止まりが続きますね]

[やっぱりさっきの道を左だったんじゃないですか?]

「うーん。そうかも。…仕方ない、さっきんとこまで戻ろう」


 腕を組んでそう言うと、背後に居る妖精・プクプが"はーい"と手をあげる。俺たちは現在、東の国の最西端に位置している森の"迷宮区"という所で、もうかれこれ数時間ほど迷いに迷っていた。ここまでの経緯を軽く話しておくと、俺はチュウオウタワーという所から扉を通ってこの場所へと落ちてきた。しかしいつの間にか一緒に扉を通ってきた仲間であるアメリアとははぐれてしまったらしい。その代わり……なのかはわからないが落ちてきた際に傍にあったのが彼女がいつも耳に付けていた二つのイヤリングだった。


 そのイヤリングからは、精霊と妖精が一人ずつ出てきて、主が居なければどうしようもないとそれ以降はイヤリングに戻る事なく俺と共に行動している。ちなみに、俺の姿は元に戻っていた。で、現在に至るわけなんだけど…。


「うーん…」

[? どうかされましたか?]

「いや、ここに戻ってきたら繋がるかと思ったんだけど…」


 眉をひそめながら端末に触れる。真ん中の国では一切繋がる事のなかった端末。こっちに戻ってきたら無事に繋がるかと思っていたのだが相変わらず何の音沙汰もなく、指先でトントンと触っても起動すらしなかった。これではローデンさんに連絡が出来ない。


[それは、貴方たち番人の連絡手段である端末ですね。故障されたのですか?]

「故障はしてない…と思う。主さんが、この端末はどんなに大きな衝撃を与えても壊れないって言ってたし」


 顎に手を添えて考える。どうして起動しないのか。


[トウマさまー。ここに何かありますー!]


 その時、俺たちより少し先を進んでいたプクプが何かを見つけて俺を呼ぶ。端末については最優先で考えなければいけない事だけど、今はちょっと保留にしておいて俺はプクプのもとへ走った。


 プクプのもとへ行くと、そこには鳥居があった。とても大きくて真っ赤な鳥居。鳥居の奥には何処までも続く真っ直ぐな砂利道があり、俺はその鳥居を見て首を傾げる。


「鳥居?」

[とりいって何ですか?]

「…あー。俺も詳しくはわからないけど、簡単に言うと、神様の居る世界に続く門、みたいなものかな」


 間違っていたら御免だけど。プクプの問いに鳥居を見つめて答える。何故こんな所に鳥居があるのだろうか。顎に手を添えて考えてみるけど、考えれば考えるほどわからない。キョロキョロと辺りを見渡しても、特に気にするようなものはこの鳥居以外にはないみたいだ。


 鳥居を見つめて、このあとどうするかリヴィスたちと相談してみる。あーだこーだのやり取りを繰り広げた結果、"とりあえず気になる"という理由で俺たちはこの先に進んでみる事にした。


[この奥には何があるのでしょう? なんだかドキドキしますね!]

[貴方が楽しそうで何よりです、プクプ]

「……」


 そう言っているリヴィスもなんだか楽しそうだ。それを見て俺は口元を緩ませ、鳥居を(くぐ)るために足を動かした。


 すると、鳥居を潜った瞬間、全身に電気が走ったような衝撃を受ける。吃驚して足を止めると、リヴィスたちが不思議そうに俺の顔を見た。彼女たちの反応からどうやらこの衝撃は俺にしかやって来ていないようだ。


[どうかしましたか、トウマ?]

「…いや。ごめん、なんでもない」


 まったくなんでもなくないけど、リヴィスたちには何も起こっていないようなので黙っている事にする。鳥居を潜ってひたすら真っ直ぐの砂利道を歩き続けていくと、辿り着いた場所にあったのは小さな石造りの祠だった。祠の前には宝箱があって、プクプが宝箱の傍に降り立つ。


[行き止まりみたいですね]

[トウマさま、これは…?]

「祠だな。それと、宝箱?」


 祠を見つめて首を傾げ、宝箱を手に取る。


 勝手に開けるのも申し訳ないと、一度祠に頭を下げてから俺はゆっくりと蓋を開けた。中にはオレンジ色のペンダントが二つ入っている。見覚えのあるペンダントだ。


[? なんですか、これ?]

[これは、精霊壺(ケージ)ですね]


 ペンダントを手に取る。


 これは、精霊ノームの精霊壺(ケージ)だ。なんでこんな所に。精霊壺って普通は柱の中にある物じゃないのか。


「そこで何をしている!!」

「!」


 ペンダントをまじまじと見つていると、そこで突然背後から声がした。ビクッと肩を震わせ、吃驚した拍子にペンダントを落としてしまう。


 声を聞いて振り向けば、そこに居たのは見覚えのある金色の髪の男性だった。その人の顔を見て、俺は更に驚く。


「トールさん!?」

「…なんだ、お前か」

「どうしてここに?」

「……」


 金色の髪の男性…トールさんは足を動かし、俺の足元に落ちたペンダントを拾う。拾ったペンダントを俺が持っている宝箱にしまって、蓋を閉じた。


「トールさん、どうしてここに?」

「…少し用があってな。お前こそこんな所で何をしている? ここは、精霊一匹と妖精一匹を引き連れて来る所じゃないぞ」

「え、えーと、…これには訳がありまして。何て言えばいいか」


 眉を下げて答える。


 うーん。ここまでの経緯をどうやって話したらトールさんに上手く伝わるだろうか。


[ワタシたちは、はぐれてしまった仲間を捜しにここへ来たのです]

「…なに?」


 どうしようかと考えていると、見かねたリヴィスが代わりに答えてくれた。彼女の言葉を聞いて、トールさんは眉をひそめて腕を組む。


[街での聞き込みの末、この森に"それらしい人影を見た"との情報を手に入れたのでここまでやって来ました。この場へ辿り着いたのはつい先ほどの事です]

「そうなのか?」

「え? あ、あー、はい。はい。そうです」

「…なるほど」


 腕を組んだまま、トールさんは顎に手を添える。


 はぐれた仲間を捜すというのは間違っていないので、嘘は言っていない。


[貴方は、ここまでの道中でワタシたちの仲間っぽい見た目をした人を見かけてはいないですか?]

「…残念だが見ていない。この森で人に会ったのはお前たちが初めてだ」

[そうですか。それは残念です。…トウマ、別の場所へ移動しましょう]

「…ああ。そうだね」


 リヴィスの言葉に頷いて、宝箱を祠に戻す。そして俺たちはトールさんに別れを告げて、この場を離れようとした。


 その時、地面が大きく揺れる。ゴゴゴゴゴという音が周囲に響き渡り、砂利道の砂利がカタカタと小さな音を立てた。俺たちは顔を見合わせて、何事かと頭の上に"?"を浮かべる。


[な、なんですか…?]

「地震?」

「…チッ。やはりバレたか」

[どういう意味です?]

「その宝箱には結界が張られていたんだ。あいつらから精霊壺を守るための結界がな」

「結界?」

「だが、その結界をあろうことかトウマが解除してしまった。…その結界は時の番人にしか解除出来ないようにと細工をしていたんだが、どうやら身内にも注意しておく必要があったみたいだな」


 息を吐いて、トールさんは宝箱を見つめる。


[あいつら、とは誰の事です?]

「…入っていた精霊壺で察しはつくだろう。知らなかったとはいえ、とんでもない事をしでかしたな、トウマ」

「…、えと、すみません?」

「謝らなくても別に構わん。言っていなかった俺にも責任はあるからな。…その代わり、お前にも手伝ってもらうぞ」

「?」

「"精霊退治"の時間だ」


 そう言って、トールさんは懐からクリスタル・ウェポンを取り出した。



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