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お茶のお代わりが注がれる。
両親は今しばらく私との時間を優先してくれるようだ。
どうしようか・・・
普通これだけの騒動を起こしてしまっては、何かしらの処罰を受けなくてはならないだろう。不可抗力(敢えて私はこう言いたい)だったとは言えど、何の咎めもないのは私が王の子故か。
自ら謹慎するべきか?そもそも私の謹慎とはなんだ?
「どうしたレオ 思案顔をしているぞ」
『はい 願い事がありまして』
しまった!心の声が漏れた!謹慎するべきかと悩んでいる時に、よりにもよって真逆のことを!
「珍しいな 言ってごらん」
ここは開き直るか。そういえばまだたったの九歳だったな。子供はあれこれと考えず、素直に欲望を口にしてもよいのかもしれない、そう思うことにする。
『剣を習いたいのです』
剣を佩いた騎士が当たり前のように存在する、憧れていた世界。私も触れてみたい、振るってみたい。
「習っているではないか」
・・・そ、そうだった。
昨日までの私は勉強の一環で既に剣術指南を受けている、週に一度だけだが。
『もっと本格的に学ばせてください お護り・・・母上をお護りできるくらい強くなりたいのです もちろん勉強も今まで以上に頑張ります!疎かにしないとお約束いたします』
瞳を輝かせる母上。
咄嗟に思いついたにしては充分すぎる理由となったようだ。
「ははは 頼もしいな よしわかった!父に任せておきなさい」
「頼りにしているわ レオ」
『ありがとうございます!』
あっけなくも願いは聞き届けてもらえたようだ。今初めてレオで良かったと思った。
「そんなに嬉しいのかい?お前がそこまで剣の稽古に夢中だったとは知らなかった」
『はい!とても嬉しいです父上 早く鍛錬したいです』
「うむ だがそろそろ時間のようだぞ?勉強も今まで以上に頑張るのだったな?」
午後の勉強の時間が迫っていた。飲み終えたカップを戻して立ち上がる。
『はい!しっかり学んで参ります』
昼食の時間は穏やかに終了を告げた。