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楽しい時が過ぎるのは早いもの。


今は朝の鍛錬を終えて部屋へ戻ってきたところだ。

周年祭から三日が過ぎ、今朝からロニーが復帰している。

「レオ様おはようございます 休暇をありがとうございました」

『おはようロニー 今日からまたよろしく頼むよ』


『早速で悪いが これを渡してきてもらえないか』

「かしこまりました

 ・・・直接お会いになった方が早いのではありませんか?」

宛先を見たロニーが言う。


『出来るならそうしたい』

「・・・そうおっしゃるお気持ちもわかります

 わかりました 今行って参ります」

『ありがとう』


浴室の扉を開ける。あの日以来サウナへは行っていない。

結局雪山へ投げ飛ばされたんだよな・・・想像していたより楽しかったと言うことは絶対言ってやらない。私は風呂派だ。


湯に浸かり身体を伸ばす。腕にはいくつかの青痣。

この四年傷一つついたことのなかった身体にできた真新しい痣に、なんとも言いようのない満足感を覚えていた。ロニーは驚くだろうか、それとも笑うか?


笑う・・・だろうな。




----------

「悪いなレオ 付き合ってもらって」

「最終日だっていうのにこの天気・・・飽きたら訓練場行ってもいいぞ」

今日はノシュール領で過ごす最後の日だ。

昨日から続く吹雪で、私たちは観光を諦め城の中で過ごしている。


周年祭の夜からノシュール一門もこの城に滞在しているのだが、今はその一門の令息令嬢たちも交えた茶会の最中だ。

『天気は確かに残念だったな・・・でも明日から当分デニスとベンヤミンには会えないし こうして過ごすのも悪くないよ』

デニスたちは領地でクリスマスと新年を過ごすことになっている。王都に戻るのは数週間先だろう。


「吹雪も夜までには止むだろうから 明日の出発には問題ないと思う」

『そうだな 止んでくれると助かるな』


令嬢たちは王都の話で盛り上がっている。アンナが話題の中心と言うことはスイーツの話をしているな。

スイーリの方を見ると目が合った。微笑み返してくれるのが嬉しい。


「見たぞ」

ベンヤミンが耳元で囁く。

「スイーリとアイコンタクト はぁーいいよなー」

『見るな』

「もう見ちゃった」

プッとお互い笑い出す。


『今回さ 来れてよかったよ 色々なものを見れたし体験できた 感謝してる』

「俺たちもレオに来てもらえてよかった レオとじゃなければ経験できなかったことがたくさんあったよ」

『熊は私とは無関係だけれどな』

「あーそれ!熊が立っている姿レオにも見せたかったよ 驚くほどデカい」

『遠慮する 長生きしたいし』

「なんだよそれ やられること前提なの?」

『・・・そうか 逃げ切れたらいいのか』

「倒すんだよ 騎士たちがどうにかするさ」

『凄いよな 巨大な熊に剣一本で立ち向かうなんてさ』

「うん 俺には無理だ レオは立ち向かいそうだけど」

『まさか 当然逃げるよ それしか考えてなかった』

「そういや逃げ切るって言ったな」

『言った』

「でも熊ってあれで足速いんだぜ」

『・・・・・』


『やはり出会わないのが一番だな』

「そうだな」


何故か後半は熊談義になってしまった。

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