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「今朝はいないかもなと思いながら来たが 甘かったな」

アレクシーが苦笑いを浮かべている。


ここは早朝の訓練場。昨夜はぐっすり眠ったため今朝は普段以上に気分よく目が覚めた。

『何の話だ?』

惚けて返事を返す。

『お早うアレクシー いい朝だ』

「ああ お早うレオ」


『今日から休暇だ 思い切り鍛錬と行こう!』

「そこで休息しようとならないのがレオだよな」

『当然だろう?』

ニヤリと笑う。

「まあな」

笑い返すアレクシー。



剣を交える。キンと冷えた空気の中鋭い金属音だけが響き渡る。


『あっ!』


「・・・・・やった

 初めてレオから一本取った」

しゃー--っ!と両拳を握りしめて喜ぶアレクシー。

『見事だったよ 完敗だ』


私の飛ばした剣を拾い上げたアレクシーが、胸に手を当て片膝をつく。

「これで殿下をお守りする騎士に名乗り出ることができます」

『アレクシー・・・』


『まずは立って』

アレクシーを立たせて剣を受け取る。


『もしかして ヴィルホに何か言われていたのか?』

「殿下から一本も取れなくて どうしてお守りできる?ってな その通りだからさ」


「これで堂々とヴィル兄に宣言できる デカい土産ができたよ」

『ありがとうアレクシー』

「逆だよレオ 俺必ず騎士になってレオの専属になる それが俺の目標だからさ」

『ああ アレクシーがいてくれたら私も心強い』


「よし!じゃあもう一本取りに行くか!」

『簡単に取らせると思ってもらっては困るな』






「あ やっぱここにいたわ」

「二人ともーいつまで鍛錬してるのさー」

扉の前でベンヤミンとイクセルが呼んでいる。


「おう!おはよう!」

「おう!じゃないよアレクシー 朝食の時間になっても二人が来ないからさ 探しに来たんだよ」


「『えっ?』」

窓の外を見たら明るくなっていた。いつの間に・・・


「すまん!先に済ませてくれないか レオとサウナ入ってから行く」

えっ・・・それ私も確定?部屋に湯の準備できてるはずなんだけど。


「わかったよー先行ってるね」


「最後にもう一本 いいだろう?勝ち逃げは許さないぜ」

『いいや 勝ちで締めくくるまでさ』





結局サウナで今、二人汗を流している。

「俺さ あの家に生まれたこと恨んだことあったんだよ」

『そう・・・なのか』

「父上はあんな怪物みたいだし ヴィル兄だって俺が生まれたときには既に剣を握っていただろう?その上・・・いや 乗り越えなくてはならない壁が高すぎてさ 超えられる気がしなかった」

『うん』

兄弟と比較される辛さの経験はないが、求められるものの高さにプレッシャーを感じる気持ちは痛いほどに解る。


「今日さ 前に進めた気がするよ レオのおかげだ」

『役に立てたのなら嬉しいよ 光栄だ』

「まだまださ 壁を超えるまでかかるだろうけど見ててよ 必ず超えてみせるからさ」

『それでこそダールイベック だな』

「これでこそダールイベック だろ?」


「まずはレオとの勝負 五割を目指す!」

『私も鍛錬しておかないとな』

「止めろよ・・・護衛が必要なくなるだろ・・・」

『そんなことはないさ』


立ち上がり扉に向かう。

『どれだけ


 どれだけ鍛錬を重ねても私が騎士になることはない

 これだけは願っても叶うことは決してない』


「レオ・・・・・」


後ろからガバリと肩を組まれてたたらを踏む。

『おい・・・』

「今だけさ 騎士らしく行こうぜ 雪山に突っ込むぞ」


『いや!遠慮する 絶対にだ!』

「遠慮するなよ やってみたかったんだろう?」

『絶対に違う!離せ!私はやらない!』

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