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城へ戻り倉庫で約束をした手紙を認める。宛先は王宮の食料管理人も務めている総料理長だ。
アボカドに関して知りうる情報を全て記し、封をする。調理に関しては口を挟む必要ないだろう。
それとは別にもう一通、こちらにも似たようなことを記す。
『これを先程の商人に届けてほしい。こちらはこの城の料理人へ』
「かしこまりました」
『あ、そうだ』
手紙を渡しに向かうロニーを止める。
『地図は持ってきていたかな』
「ございます。ただいまご用意いたします」
ロニーが戻るまでの間、地図を広げる。予想していた通りだ。
ほどなくしてロニーが戻ってきた。
『ロニーここ座って』
向かいの席を勧め、地図をそちらへ向ける。
「では失礼いたします」
ロニーが座ったところで、私は今立てていた予想を順を追って話して聞かせた。
『ここは初日に世話になった代官の邸がある場所だ。そしてここがノシュールの港』
地図の上にピンを置く。
『あの町でこの港町と変わらない食材が揃っていたのは、これを使ったからだと思ったんだ』
指の先にあるのは一本の河。
「なるほど。水路でしたら早くそして衝撃も少なく運べますね」
『うん、だが残念なことにこの河はこの町から先は大きく東へ向かっている』
今度は地図の上に紐を1本伸ばす。
『そこで、ここに運河を作ることは可能だと思う?』
紐は王都に向けて真っすぐに置いた。
ここに来る道中でこの辺りが平地なことは確認済みだ。幸いにも直轄地であるため、領地の絡む問題も発生しない。
「これは王都に戻り次第陛下へご報告差し上げた方がよろしいのでは」
その返答で充分だった。ロニーは可能だと判断したと言うことだ。
『そうだな。時間はかかるだろうが検討していただく価値はあるだろう』
その後も市場での視察の話をロニーと続けた。笑い上戸で毒舌なだけがロニーではない。大変優秀な従者なのだ。
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先に結果から言おう。
アボカドは大変好評だった。先にサーモンとの相性の話をしていたからか、サーモンの料理が目を惹いた。特に前菜で出されたタルタルは初めて目にしてから数時間とは思えぬ程に、アボカドの魅力を引き出した絶品だった。
「今世紀最大の発見はこのアボカドだな」
デニスがとんでもなく壮大な賛辞を贈っている。少し乗ってみるか。
『この大発見をいち早くノシュールの町から広めようと思うのだが』
「そうだな、早急に広める必要性があるな」
いや、そこまで深刻に考えることではないんだデニス。
私は市場でアボカドの存在と処遇を見てから考えていたことを、皆に聞いてもらうことにした。
『クリスマスマーケットに出さないか?まずは無料で振舞って認知させるのはどうだ?』
「いい!それいいよー!それで人気が高まれば町のレストランでも食べられるようになるね」
真っ先に手を挙げて賛成してくれたのはイクセルだ。そう、その通りなんだ。私たちはそのきっかけ作りさえできれば、後は自然に広がっていくはずだから。
「このタルタルを是非知らしめたいところだが、マーケットで出すには少し食べにくいな」
デニスは名残惜しそうに自分の目の前の皿を見つめている。焦るなデニス。きっとその料理もアボカドの認知が高まればノシュールの隅々に広まるさ。
『今日食べたブリトーはどうだろう。あれなら歩きながら食べるのにも適しているだろう』
「それがいいな。それにしてもレオに食べ歩きについて解説される日が来るとは思わなかったよ」
アレクシーも認めてはいるらしい。
『ブリトーの宣伝にもなるだろうから、あの店に任せてみるのがいいかもしれないな』
「明日アボカドを持ってレストランへ行ってくる。その前に今から手紙を出しておくか」
話はとんとんと進んだ。恐らくレストランは引き受けてくれるだろう、人手が足りないようなら邸の厨房で下働きのものを借りてもいい。
「じゃー俺たちはマーケットを見に行くか 。いい場所も探しておかなきゃいけないだろう?」
レストランへはデニスとベンヤミンが、それ以外はマーケットへ向かうと言うことで話は決まった。




