[363]*
レオ様
お変わりありませんか?王都は毎日爽やかな夏の日が続いています。
レオ様が今いらっしゃる北方の地は、雪があるのでしょうか。東部では温暖な方だと聞いているボレーリンの本邸から、北方までの間に季節が半周したかのようですね。体調を崩されていないとよいのですが。
今日はソフィア様、ヘルミ様、アンナ様が遊びに来て下さいまして、四人で一日おしゃべりしていました。ヘルミ様がアルヴェーン領でレオ様とお過ごしになった時の話も、たくさん聞かせていただいたのですよ。
レオ様に伺ったお城の話も聞かせていただきました。
ヘルミ様曰く「何度見てもため息が出るほど美しいお城」ですって。私もそう思いました。贈っていただいた絵を最初に見た時は、私もため息がこぼれてしまいましたから。
皆さんに絵もお見せしたんです。レオ様が仰る通り、誰もが幼い頃に憧れた童話に出てくるお城のようで、特に初めて目にしたソフィア様とアンナ様は歓声を上げていらっしゃいました。
レオ様といつかこのお城を見ることができますように。
**********
七月も終わりですね。
今日はデニス様にご招待いただいて、ノシュール家のお茶会に行ってきました。
イクセル様、ソフィア様、ヘルミ様にアンナ様。そしてシビラ様も参加して下さったのですよ。
デニス様とシビラ様は正式にご婚約されたそうです。今日のお茶会はそのお祝いとお別れを兼ねたものでした。
レオ様にはお手紙をお送りしたと聞きましたから、もうお読みになっていらっしゃる頃でしょうか。
デニス様とシビラ様は明日ノシュール領へ移られます。
長年親しくさせていただいていたデニス様が王都を離れる寂しさと、大切な友人であるお二人が、新しい一歩を踏み出すことへの喜びとが綯交ぜになっています。これからもこのような別れは何度も経験するのでしょうね。
デニス様は、レオ様のご帰還に合わせて一度王都へ戻ると仰っていました。今年のクリスマスは全員揃って迎える最後の年になりそうですね。思い出に残る楽しい素敵なパーティーにしましょうね。
少し気が早かったですね。半年近くも先の話でした。
結婚式のお話しも聞かせていただきました。来年の二月一日に決まったそうです。
ノシュールはどんな聖堂なのでしょうね。ノシュールのお城のように洗練された明るいものをイメージをしています。
シビラ様はピンクのドレスを仕立てている最中だと教えていただきました。ドレスの色が被ってはいけませんので、私は何色にしましょう。紫のサファイヤが一番美しく映える色がよいと思うのですが、レオ様はどう思いますか?
お二人の結婚式だと言いますのに、ちょっぴり浮かれてしまって恥ずかしいですね。お友達の式に参列するのは初めてですので、なんだかとてもワクワクしてしまって。
ソフィア様達ともドレスの相談はしてみますが、レオ様のご意見もいただけたら嬉しいです。
**********
デニス様とシビラ様のお見送りに行って参りました。
デニス様のご友人も大勢来られていて、とても賑やかで明るいお別れでした。これが最後ではありませんし、おめでたいことなのですもの。笑顔でお送りすることができてよかったです。
その後は、やっぱり皆さんと集まってお茶に。
クラスのお友達も全員来ていましたから、今日は大勢でカフェにお邪魔しました。
その前に、久しぶりに運河まで行きましたのでレオ様にもお伝えしたいことがあります。
マーケットの建物はすっかり完成していました。とても素敵ですね!今まで王都のどこにもなかった建物ですね。新しくて、そして何より目を引きます。オープンと共に人が押し寄せるに違いありません。
職人さんたちの姿は大勢見かけましたから、今は内装を手掛けているのかしら。
外観が素晴らしいので、建物の中も大変期待しております。
そういえばダールイベックのお店は入るのかしら。レオ様、ダールイベックのお借りできる場所は残っていますか?大切なことをすっかり忘れていました。お父様にも聞いてみますね。
**********
レオ様
早速お父様に聞きました。ダールイベックのお店に並べる品は今検討中だそうです。候補がたくさんあって絞り切れないのですって。ですので私もお手伝いさせていただこうと思いまして。
そば粉は必ず置きましょうと提案しました。そばを栽培しているのはダールイベック領だけですものね。初めて買って下さった方には、いくつかのレシピを書いた紙をお渡ししてはどうかと思うのです。文字が読めない方でもわかるように、絵をたくさん入れたらどうかなと考えています。
そば粉だけでは寂しいので、他のものもいくつか探してみます。
ダールイベックをより多くの方に知ってもらえるように、手に取りやすい品を並べたいと思うのです。貴族向けのお店は八番街に行けばたくさんありますものね。
どうでしょう?きっとレオ様は賛成してくださると思います。
スイーリ




