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レオ様

今日、無事卒業いたしました。

レオ様と過ごすことの出来た二年間はかけがえのない時間でした。毎日学園に行くのが待ち遠しくて、ずっとこのまま通えたらいいのに、と何度思ったことでしょう。


最後の一年は、この先にあるメルトルッカ留学だけを目標に頑張って参りました。

次の春には一緒に通えますね。レオ様ともう一度学生生活を送れることが嬉しくてたまりません。



朝のことから順番に書きますね。今日はとても長くなりそうです。あ!いつも長いかしら。


支度を済ませて部屋を出ると、レオ様からのお花が届いていると邸のものが運んできました。

赤やオレンジ、黄色など真夏らしい花でまとめられた大変独創的で、異国情緒あふれる素晴らしいお花です。初めて目にするお花がいくつも入っていました。中でも黒に近い紫色のカラーが特に目を引きます。貴重なお花をこんなにもたくさん贈って下さりありがとうございました。お部屋で大切に飾らせていただきますね。

このお花たちは温室で育てられているのかしら。またレオ様の温室にお邪魔したくなりました。真夏の温室は入ったことがありませんものね。


卒業式も順調に終わりました。

記章をいただくと、卒業を強く実感しますね。お父様お母様、そして兄様たちにようやく並ぶことができたのだと、成人した時以上の充実感を得ることができました。


式のあとは、毎年恒例のアレです。

過去二年もこの場所に来ましたが、卒業する立場から見るとまるで違いますね。去年はレオ様に近づくことも出来ず外でお待ちしていたことを思い出しました。


レオ様の助言に従って大正解でした。

馬車がむせかえるほど花の香りに包まれて。私も小さくなって乗り込みましたけれど、何度か頭の上にお花が降ってきそうになりました。ダールイベックで開かれる夜会の時ですら、これほどの量の花は用意していないと思います。


ヴェンラさんからもいただいたのですよ。ソフィア様やイクセル様の分もご用意いただいていました。

私にはピンクの花束でした。優しいピンク色をしたダリアに、数種類のバラや紫陽花が品よくまとめられていて、とても可愛いんです。ヴェンラさんの花束もお部屋に飾ることにしました。


ソフィア様には白い、そしてイクセル様にはオレンジ色の花束だったんです。どちらもお二人にとても合っていて、時間をかけて選んだことが感じられました。



お花の話をもっと続けていたいですが、次の話に移りますね。



パーティーも恙なく終了しました。

事前にソフィア様と相談しまして、私達一緒に入場したのですよ。

今年知ったことでしたが、お友達同士で入場される方は珍しくないみたいです。イクセル様もオーケストラのご友人と大勢で楽しそうに入場されておりました。(それでも会場内ではダントツの人気だったのですよ。ダンスをご一緒したい方がぐるぐると輪になっておりました。)


ドレスのお話しもさせてくださいね。

ドレスはお父様がプレゼントして下さったものを着ました。何色だと思いますか?


真っ赤なドレスです。普段あまり選ばない色だったかもしれません。きっと自分で決めていたら別の色にしていたと思います。


パリュールはお母様のものをお借りしました。

ルビーのネックレス、イヤリング、ブレスレットとヘッドアクセサリーです。これは結婚する時にお父様から贈られたものなのですって。

幼い頃から、私がこれを身につける年齢になったら最初に使ってほしいと、何度も言われてきた品なのですよ。


お母様とも笑い合ってしまったのですが、ルビーに合わせるのでしたら、ドレスは別の色の方がさらに美しく見えたと思いませんか?お父様は赤がお好きなのかしら。



ソフィア様は瞳の色と同じ、ペールブルーのドレスを着ていらっしゃいました。

大変お似合いで美しかったとベンヤミン様にお伝えくださいませ。あっ!これは皮肉ではなくって!

昨年の卒業パーティーで着ていらした黒のドレスもお似合いでしたよね?それは本当です!本心です!

淡いお色の方が見慣れているからだと思います。深い意味はないんです。


ソフィア様のパリュールもお母様からお借りしたそうで、代々ボレーリンに受け継がれているものだと伺いました。



五月に私も成人しましたし、卒業式も終えましたから、今後夜会の招待も届くようになるのでしょうね。夜会は昨年経験致しましたが、成人後のそれはまた別です!

今日は卒業パーティーですから参加しましたけれど、正式な夜会はレオ様がお戻りになるまでご遠慮しようと思っています。


レオ様とご一緒したいですから。

お待ちしていても構いませんよね?ソフィア様もベンヤミン様がお戻りになってから参加するつもりと仰っています。

お父様とお母様にも話しておいた方がいいかしら。


ですので、やっぱり大切なネックレスはその時まで残しておきたいのです。でもブローチはどこに出掛ける時もつけています。




**********

レオ様


今日は一年の中で最も大切な日。

お誕生日おめでとうございます。今年の七月二十八日も王都は快晴でした。今年は主役が不在のお祝いでしたが、王都中がレオ様のお誕生日のお祝いに沸いた一日だったのですよ。


王宮では正門前の広場が開放されて、大勢の方が訪れておりました。

王太子の生誕記念日の祝日は今年が初めてですから、皆さんそれは期待されていたようです。

レオ様の肖像画を求める方の行列をお見せしたかったです。きっと今レオ様がご想像なさった列の数倍はあります。本当に凄かったんですよ。

並ばずに手に入れられた私は、なんて幸運なのかしら。


でも実は私も並びました。だって他の方が手に入れているのに私が持っていないなんて悲しいじゃありませんか。今年限定のお衣装を着ている肖像画かもしれませんし。

けれど、すぐに見つかってしまって。


私はこのまま並んで手に入れますと申し上げたのですよ。苦労して手に入れたものでしか得られない栄養もありますから。



ごめんなさい。不正に入手させていただきました。

後ろめたい気持ちが数秒漂ったものの、新規画を目の前にするとその気持ちはどこへやら。

早速二枚目の肖像画も額に入れて、今目の前に飾らせていただいております。


やっぱり手に入れて正解でした。お衣装が違うんですもの。

これは毎年入手しなければなりませんね。来年と再来年の分を今から邸のものに託しておこうと思います。



夜は、王宮の晩餐にご招待いただき、参加して参りました。

ダールイベックからの参加は、お父様、お母様、そして私の三名です。

陛下のお言葉は、この度も一切の無駄を省いた簡潔なものでした。


レオ様がお誕生日をこうして迎えるのは三年後になるのですね。

今日レオ様はどのようにお過ごしでしたか?

今はボレーリンでの視察を終えて、直轄地を回っておられる頃ですね。ささやかながらお届け物を託しました。無事お手元に届いているとよいのですが。


大好きなレオ様へ

スイーリ

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