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大好きなレオ様


剣術大会が終わりました。

一年前はレオ様と並んで観戦しましたね。その時のことを思い出しながら、今日はイクセル様の応援をしておりました。イクセル様は今年も大人気で、勝ち進むたびに大歓声が巻き起こっていたのですよ。


そうなんです!レオ様の仰った通りでした。対戦前は毎回ブツブツと弱音を吐く、いつものイクセル様だったのですが、試合が始まるとお顔もキリッと引き締まったように見え、危なげなく勝ち進んで行きました。

でもやっぱり、対戦が終わるとヒーヒーと弱った声を出されるのですが。


午後からの五回戦に勝ち進んだイクセル様の対戦相手は、一年前と同じ方だったみたいです。騎士科志望の二年生で既に騎士科の訓練にも参加しているとのことです。イクセル様によると「去年の倍は背が伸びてる」のですって。

そんなに小柄な方だったかしら。レオ様は憶えていらっしゃいますか?


結果は残念ながら。

でもイクセル様は芸術科へ進学されるのですもの。五回戦まで勝ち進んだことが素晴らしいですよね。



**********

今日でレオ様がご出発されてから三ヵ月が経ちました。

一日の終わりにこうしてお手紙を書いておりますと、離れている時間や距離を感じなくなるような瞬間があります。不思議ですね。でも思い返してみると、以前にもこのような経験がありました。


レオ様が学園生になった最初の年です。

あの時は一週間と、今になって思えば短い期間でしたが、学園にお泊りになったことがありましたね。

あの時も今のように毎日お手紙を認め、交換させていただきました。

厚みのある封筒を手にした時の心躍る気持ちは、お会いする瞬間のそれと変わらないみたいです。


視察先で毎日お忙しくされているレオ様の息抜きの時間になることができたら、そう思いながら明日からもお手紙を書こうと思います。


今夜も大好きなレオ様の夢が見れますように。



**********

今日はレオ様にも是非お伝えしたいことがありました。


お昼休憩の時間に、借りていた本を返すため図書館へ行った時のことです。

窓際の席で自習なさっているヴェンラさんをお見かけしましたので、声をかけてみました。なかなかお姿を見かけなかったので気になっていたのです。


ヴェンラさんは前回のクラス替えでDクラスになったそうです。

レオ様とのお約束があるから頑張れると、少しはにかみながら仰っておられました。きっと三年で立派にご卒業されると私も信じております。


近いうちにお茶をご一緒する約束もしました。



**********

お手紙が届きました。

読んでびっくりしたことからお話ししますね。


今日ソフィア様やクラスのお友達とピーラッカさんに寄ってきたのです。私達のお目当ては苺のパイでした。先日ソフィア様とアンナ様、そしてヘルミ様とピーラッカさんでお会いしたばかりだったんです。もちろんその日も全員で苺のパイをいただきました。


ふふ、次の日曜日にレノーイ様のところへお邪魔致しますので、お土産に持っていこうかなと思います。


レオ様とピーラッカさんの苺のパイがいただけるのは、少し先になりますね。またご一緒できる日を楽しみに待っています。




書き忘れるところでした。

私の一番好きな季節は夏です。理由はお分かりいただけますよね。


**********

レオ様

お言葉に甘えて鳶尾宮へお邪魔してきました。春のお花が終わって、初夏の花が咲き始めたお庭はとても良い香りに包まれておりました。今はアザレアと藤が満開を迎えています。中庭のバラも大変美しく見ごろを迎えており、廊下を歩いていても香りが漂ってくるほどでした。


鳶尾宮の中を歩いていますと、そこここでレオ様を感じます。

サロンでお茶もいただきました。オルゴールをかけてもらって、そこでブルーノさんのスイーツを頂いたのですよ。苺のエクレアが大変美味しかったです。クリームが苺のように真っ赤なのです。濃厚な苺を食べているような味でした。レオ様にも召し上がっていただけたら、と思いつつ一人で平らげてしまってごめんなさい。



**********

ヴィルホ兄様の出発日が決まりました。

明日から三日休暇を頂いて、その後発つそうです。三年は戻ることがないと聞いておりますので、王都に戻ってくる頃には、ボルイェくんも随分と大きくなっていることでしょう。


お父様のメロメロぶりをレオ様にもお見せしたいです。すっかり爺バカになってしまいました。この分ですと、ボルイェくんは確実に爺っこになってしまいますね。


数日前からアーアーと言うようになりました。今日顔を見に行った時は、目が合ったような気がしたのです。私の顔がわかるのかしら?

産まれたての頃に比べ、頬がぷにっとしてきてさらに可愛くなりました。ふふ、私も叔母バカですね。



**********

明日の放課後にヘルミ様とお会いすることになりました。明後日領地に向けて出発なさるそうです。

ソフィア様と私のお手紙をお預かり頂けるとのことですので、今日までの分をまとめてお願いしようと思います。


ご卒業後は何度か領地へお戻りになっているヘルミ様ですが、毎回聞かせていただくアルヴェーン領のお土産話で、私もとても興味をそそられています。

レオ様からアルヴェーン領の話を聞かせていただくのを楽しみにしていますね。



スイーリ




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