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『ベンヤミン昨日は助かった 帰りに返すよ』

昨日届けられたノートの礼を言う。


「もう全部見たのか?一週間分だぞ」

『昨日の夜はそれしかしてないからな 明日からの授業に必要だろう?いつまでも借りているわけにはいかないからな』

「それはそうだけどさ・・・」


そこへアレクシーが割り込んできた。

「全く気にする必要ないぞベンヤミン 昨日の朝レオと鍛錬したけど全然落ちてなかったからな ぼこぼこにできるチャンスだと思ってたのに 先に一本取られたからな」


『酷いなアレクシー そんなこと考えてたのか』

「当然だろう?これ逃したら 二度とそんな機会ないんだからさ」

言いながらケラケラと笑っている。


「まあ良かったじゃないかレオが完治して 明日から来るんだろう?」

『ありがとうデニス ああ やっと行けるよ』



学園が再開して一週間が過ぎた。

『昨日ベンヤミンからも少し聞いたが 学園の様子はどうだ?アンナのクラスの令嬢はもう落ち着いていただろうか?』

ショックで泣き出した令嬢がいたと言っていた。あの時間の食堂は学園中の生徒が集まっていた場所だ。ほぼ全てのものが目撃していただろう。悪いことをした。


「初日は雰囲気も重く 静まり返っておりましたが 徐々に戻りつつありますわ レオ様にお会いしたことをお話ししましたら 皆様も安心なさったようでした」

『そうか ありがとうアンナ』


『イクセルのところはどうだ?』

「僕のクラスも平気だよ 大丈夫だよレオ 安心して戻って来ていいよ」



「ビョルケイ嬢というのはどうなんだ?レオがいなくては騒動も起こさないか?」

デニス・・・言いたいことはわかるが、私とセットのように扱うのはよしてほしい。


「そういや見かけないな 来てないのか?」

「いいえベンヤミン様 ビョルケイさんなら登校されておりますわ パルード語の時間にお見かけ致しました」

「そうかアンナとは授業で一緒になることもあるんだな けどあいつが大人しくしているのも意外だよな デニス兄が言うように レオがいないからかもしれないけどな」

ベンヤミン・・・今から憂鬱になるようなことを言わないでくれないか。



『そうだアンナ オーケストラ選抜はどうなった?延期になったのか?』

休んでいる間に月が替わり、十一月も既に半分以上が過ぎた。一週目と二週目の日曜日が選抜に充てられていたはずだ。

「はい 二週ずれましたので私は次の日曜日に受けることになりました」


『そうか アンナなら大丈夫だ コンサートを楽しみにしているよ』

「ありがとうございます 必ず合格しますわ!」

「うんうん待ってるからねー アンナちゃん!」

「はい!イクセル様」



『いい加減一人の令嬢に振り回される生活も終わりにしないとな』

「レオの言う通りだ 俺達の日常を取り戻そうぜ」






----------

『お早うアレクシー』

「お早うレオ」

うっすらと雪の積もった月曜の早朝、訓練場へ向かう廊下でアレクシーと合流した。


「レオ 俺薬学の勉強をすることにした」

『アレクシー・・・』


「卒業するまでには間に合わないけどさ 少しずつでも勉強しようと思う 剣の腕だけ磨いてもダメだってわかったからさ 気がついたからには身につけないとな」

『・・・ありがとう』

メルトルッカ語に薬学。アレクシーの人生を、ここまで私を中心にさせていることに強く責任を感じた。人生全てを私に賭けてくれたのだ。必ず結果を出さないといけない。



アレクシーは騎士団のことをどこまで知っているのだろう。父や兄が所属しているとはいえ守秘義務の多い仕事だ。ヨアヒムのことは知らないかもしれない。今迂闊に話すわけにはいかないだろう。

最近私が入手した資料についても同様だ。あれは稀覯書と同等に扱う必要がある。今のアレクシーに見せることは出来ない。


『私も無知なままではいられないと考えていたところだ アレクシーの卒業後は少し手助けが出来るかもしれない 共に学ばないか?』

「ありがとうレオ 遠慮なく頼らせてもらう 独学ではすぐに限界が来るからな」

『礼は不要だ こちらこそ感謝するよ』



「それはそうとさ」

カラッと笑いながら話を続ける。

「延期になっていた模擬戦が来月に決まったんだ 久しぶりに見に来ないか?」

『行く』


「即答だな」

『アレクシーが上級生になって初の模擬戦だからな 楽しみにしてるよ』

「じゃーそう言うことで 練習相手よろしく頼むぜ レオに勝てりゃ優勝間違いなしだ」

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