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閑話 アリアの引き止め大作戦 その1

 まずい。本当にまずいわ。


 アルフ君。今度は本気で参謀職を辞任するつもりみたい。


 前回は、辞任すると突然言われて頭が真っ白になってしまった。

 

 その場の勢いで、5歳も年下の少年に必死に組み付いて、皇族としてのプライドもかなぐり捨てた。私は、泣きわめいて、拝み倒して、アルフ君から呆れられてしまった。


 その時、彼は、私のことを痛いものをみるような目つきでみていたわ。でも、それでもやさしい彼は、ため息をつきながら、半年間任期を延長してくれた。粘ったかいがあるというものだわ。


 今回は、きっと同じ手は通じない。


 「ゲファルナ卿!!」


 私は、兄様に威嚇されて震えていた際、手をおもいっきり振って、大きな声で彼に助けを求めた。


 この名前の響きだけで、大っ嫌いな兄様やウルフォン公爵は及び腰になるの。


 先日、アリア派が、引き抜き工作をしかけていた第一王子派の貴族のパーティーで、不運にも、ばったり兄様に居合わせてしまった。兄様からは、「余計なことはせずに、せいぜい、うずくまって震えていろ!」と小声で脅しをかけられたの。私は、兄様が昔から、とてもとても怖くて、下を向いて何も言い返せなかった。傍にいた側近たちも不安そうな顔になったわ。


 なんとかしなきゃ!


 と勇気を出して顔をあげたら、その時、アルフ君、いえ、ゲファルナ卿の姿を遠くに認め、私が急いで大きく手を振り、助けを求めたの。


 そうしたら、兄様は、舌打ちをしながら、そそくさと退散していったわ。


 いい気味だったわ。ゲファルナ卿は、アルフ君は、私の味方なのよ。

 唯一無二の技術を持っていても、マジカ計画の立役者であっても、手柄の大部分を私のために、魔技閥とアリア派に譲ってくれるほど、私たちの仲は親密なのよ!


 そう、私たちはマブダチよ。


 そんな彼頼みの状況なのに、本当に10月になって辞められたらどうしよう。


 確かに、彼のおかげで、アリア派には、優秀な人材が多く集まり、ブラックストーンのおかげで、活動資金も潤沢にある。兄様や公爵も、きっと簡単には私に手は出せないはず,,,,,,なんだけど。







 侍女のメイサとリーズから、シルフェとアルフ君は、まだ清い交際みたいだと、世間話ついでに聞いたわ。チャンスよね!私が「はじめて」な状況にして、アルフ君の記憶に私のことを強く刷り込むのよ。

 

 アルフ君もすっかり思春期のお年頃だから、女の子に興味をもち始めているはず。ここは、年上のお姉さんとして、誘惑して、うまくいけば、そのままアリア派に永久就職してもらえるかもしれない。






 おかしいわね?アルフ君。私の色気に反応はしているはずなのに、全然食いついてこないわ。ひょっとしたら、婚約者になったシルフェに遠慮しているのかしら?私は気にしないから、素直に欲望を解放するばよいのに。我慢はよくないわよ。


 私は、もしそういう関係になっても、もちろんアルフ君の正妻はシルフェがなることに文句はないわ。シルフェは、直臣ではなくなったけど、大事な友人であることには変わらないのだし。それに、この国の皇族に生まれた以上、将来は、政略結婚させられるだろうから、婚姻に幻想ももっていないのよ。


 私は、アルフ君の「秘密の愛人」枠を受け入れるつもり。でもどうしたらよいのかしら?アルフ君を引き止めるのに悩みすぎて、またメイサとリーズに心配されてしまう。


 案の定、私がため息を何度もついていたら、侍女のメイサとリーズが心配してきてくれた。


 頼もしい部下達だわ。


 私は、ゲファルナ卿の正体について、「口外しない」というアルフ君との約束は破れない。もし破ったら彼は間違いなく姿を消してしまう。そういう性格なのはこれまでの付き合いでわかっているわ。なので、メイサとリーズへはアルフ君のことではなく、ゲファルナ卿として話を少し変えて相談してみたの。


 「ゲファルナ卿の弱点とか、好みとか、特殊な性癖とか、なにかないかしら?」と。


 「なんとか彼をこのままアリア派に引き止めたいの!」と私が真剣に言ったら、二人はいろいろと意見を出してくれた。


 その中で、メイサが、すばらしいヒントとアイデアを出してくれたわ!!


(その2へ続く)

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