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閑話 第一王子とウルフォン公爵との密談 その2

 「インフォ家の倅は大馬鹿か!」


 シーザー・ブランドは財務閥インフォ家の軽率な対応に激昂する。


 自分や公爵が、この時、別国の外交問題の対応に苦慮しており、シスプチン王国の侵攻に深く関われなかったのが悔やまれる。


 「殿下。お怒りはご尤もです。私も余人をもって代えがたい参謀兼魔法師を2名も失ってしまいました。我が公爵家にとっては、大打撃です。インフォ家の子倅の軽率な行動に憤りを覚えます。しかし、今は、今後、ジョーカーをどうするかを考えませんとなりません」


 公爵家の参謀兼魔法師たちは、暇乞いをして屋敷を去る際、最後の置き土産として公爵へ進言していった。


 ジョーカーが魔法師として隔絶した力を持っており、宮廷魔法師レベルであっても、ジョーカーには赤子扱いされるほどの力の差がある。正面切って敵対することは絶対に控えるべきである、と。


 参謀だった魔法師2名は公爵とともに「魔獣狩り」に参加していたが、突如、強大で禍々しい魔素の出現を感じとった。隣国の策略があることは知っていたが、まさか、あれほどの強大な悪魔を召喚するとは夢にも思っていなかった。魔法師2名の緊急の進言により、何をおいても一目散にその魔素の反応から遠ざかるよう動き、公爵は事なきを得ていた。


 しばらくして、激しい光を探知魔法で感じ、その直後、禍々しい強大な魔素が急に消失した。不思議な力で探知魔法が妨害され詳しくはわからなかったが、辛うじて探知できた周囲の微量魔素の痕跡から、どうやら、激しい光で悪魔が倒されたことが推測できた。しかも、先日のゲファルナ卿と名乗った、底の見えない魔法師は、その光及び悪魔の魔素の消失とおそらく無関係でないであろうと。


 「公爵。そんな化け物と考えもなしに敵対するのは、阿呆のすることであるな」


 「はい。殿下。私も同感です。まだジョーカーとアリア殿下とのつながりも1年ほどと短いものです。いずれ、こちらに引き込む機会も出てきましょう。それと、正体を隠していることから、こちらから、アルフレッド・プライセンとして行政大学校にて、無理に接触を図ると、怒りをかう恐れがあります」


 「我との交渉の際に、奴は「アリアとアンダーソンとの友誼のために動いた」と言っていたな。それほどの力を持ちながら、アリアとの友誼を想い、また、魔法を極めるでもなく、あえて内官の学校に行くとは酔狂なことだな、アルフレッド・プライセンという人物は」


 「殿下。ジョーカーは約定を守り、暴発したりはしない人物ですかな?」


 公爵は第一王子の人物眼に信頼をおいていた。


 「おそらくは、な。当面は様子見以外の手はない。公爵。アリアとアンダーソンには約定通り手を出すなよ。忌々しいだろうが、シルフェ・アンダーソンにも、だ。アリアがキャリソンを救出するために動き出すならば、ジョーカーへアリア側の約定違反行動を突きつけられる。そして、それを理由にジョーカーとアリアとの離間を謀ることができる。我らとアリアで、しびれを切らし、先に動いた方が、最強のカードを失うこととなる」


 「確かに。当面は様子見ですな。しかし、魔技閥を中心に、アリア殿下と近い勢力の力は引き続き削いでおきませんとな。公共事業の分担増やし、蓄えているカネを吐き出させるなどいかがでしょうかな」


 「さすがはフランド王国一の策士だ。見事な仕置きだな。ジョーカーが内官の真似事をしている限り、我らも中央政府内のルールを守り続ける必要がある。ゲームのルールを守りながらならば、アリアたちやその後援組織の力を削ごうとも、ジョーカーも文句は言えんだろうからな」


 シーザー・フランド第一王子とベルグ・ウルフォン公爵は、アリアとシルフェへの手出しはしないという約定を守りつつ、アリアに近い勢力の力を削いでいく戦略をとっていくことを決めた。






 数日後、ベルグ・ウルフォン公爵と王宮で顔を合わせた、財務次官モルハ・インフォは、第一王子派の筆頭の重鎮に、息子ハーベル・インフォの財務研究会の運営方法について、長時間叱責をうける。


 たが、なぜ将来の国王陛下の岳父と噂されている公爵が、詳細な調査結果とともに、財務閥内、財務研究会内の人物眼の育成について、特に注文をつけてきたのか、その理由については、モルハには、皆目見当がつかなかった。


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