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12.フェチといえども、好き嫌いがあるのだと理解することのススメ

 俺は、学校の寮で寝そべりながら、なんとなく政治関連の本を読んでいた。

 

 いきなり、左目に一瞬「ピキッ」と鈍痛を感じた。


 『主殿。感じたか?』


 『あぁ。この強大な魔素は一体なんだ?魔獣狩りの予定区域の方角だよね?』


 『この魔素の感覚に覚えがあるのう。上級悪魔の一人、アモンじゃな。やつは確か、狼の胴体にしっぽが蛇型の姿じゃ。我の美的感覚からするとゲテモノの部類じゃな』


 『冗談を言っている場合じゃないよ!!シルフェさんがやばいかもしれない』


 アモンという悪魔の強大な魔素を感知し、俺はシルフェさんの身を案じて焦る。


 『どうするな。主殿よ。魔女っ娘を助けにいくか?今回介入すれば、間違いなく主人殿の魔法がバレるぞ』


 『そんなこと言っていられる場合じゃない!!バレたらバレた時に考える。マジでシルフェさんがやばい。どうするか。子爵領は少し遠いから、魔素を温存するため、シンバは呼べない。パルスキーにいるトビアスをピックアップして、急ぎ魔獣狩りの第三王女の陣立ての近くへ転移する。それで、エクスはそのアモンというのに勝てるのか?』


 『あ奴に勝つには、今の我では、本気を出さざるをえまいな』


 『本気をだしたら勝てるか?』


 『7:3で我の勝利じゃ。あ奴の動きは熟知しておる。それと主殿にも全力を出してもらわないとならんじゃろうな。魔法や力を隠す余裕なぞないからな』


 『アモンの撃破が最優先だ。頼むぞ。相棒』


 『大船に乗ったつもりでおるがよい。だが、ちと今回はしんどいな。だから、わかっておるじゃろうな。主殿よ』


  暗にエクスが甘味を要求してくる。


 これは、しばらく俺の小遣いは、エクスへの貢物に消えることを覚悟する。


 俺は、まずパルスキーに移動し、自室でくつろいでいたトビアスを、有無を言わさず拉致をして、第三王女の陣立てと発表されていた地点の近くへ転移した。






 「ひどい有様だ」


 第三王女を指揮官としていた備隊はほぼ全滅しているのではないかと思うほどの死骸が落ちていた。死体が転がっているのではなく、元死体の残骸と肉片が、あちらこちらに散らばっている。


 転移地点から少し歩いてみても、やはり、そこら中に肉片が散らばっており、きれいな形を残している死体はほぼない。引きちぎられてミンチ肉の状態で地面に落ちている。


 赤の惨状と生臭いニオイ。


 さすがにニオイフェチの俺もこの血まみれのニオイは好きになれない。


 かろうじて原型をとどめている装備品から推測すると、歩兵隊、騎馬隊(騎士団)の死骸のようだ。


 遠くの方で、数十人からなる魔法師隊の魔法攻撃を行っているであろう魔素を感知したが、それもすぐに沈黙した。


 「シルフェさんを急いで探さないと」


 急ぎ探知魔法を広範囲に展開させる。


 記憶の中にある、魔技研の幹部たちが事前調査後に作成した最前列の陣立ての中心から、時計でいうと、10時の方向へ逃走している第三王女とシルフェさんの魔素を感じ、違和感を覚える。


 なぜ、最前列の位置から、真後ろの中央の師団長の陣(6時方向)や左後方の第二王女の陣の方角(8時方向)へ逃げないのだろう。


 自分たちがアモンの囮になって味方を逃すつもりなのか?


 『主殿よ。よくよく探知魔法の感覚を研ぎ澄ましてみるのじゃ。どうやら、4時の方角から、娘っ子たちに迫る追手がいるようじゃ。人間みたいじゃな』


 集中して感覚を研ぎ澄ますと、エクスの言っている通りだった。


 第三王女、シルフェさんと専属護衛騎士は、追手に追い込まれているようだ。


 一先ずアモンは放置して、シルフェさんたちを助けようと思った矢先、強力な魔素が近づいてくるのを感じて、思わず、舌打ちをする。


 「トビアス、俺はここで悪魔を引きつける。お前は10時の方向のシルフェさんと第三王女の救援に向かえ。手練れの追手が5名いるようだ」


 俺の命令を受け、トビアスは急ぎ駆け出す。


 アモン相手では、トビアスがいると正直、足手まといだからな。


 人外には人外で相手をしないと止められない。


 それに、追手の5名がシルフェさんたちを追い詰めていたので、そちらも急ぎ増援が必要だった。


 『間に合ってくれよ』


 と心の中で祈る。


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