閑話 第三王女と臣下たちとシルフェの恋の○騒ぎ
「アルフレッド・プライセン。直感だけど、確かに、なにかを「持っている」かもしれないわね。魔素は感じなかったけど、なにか私の魔素がざわつく感じがしたのよね」
俺が帰ったのち、第三王女アリア・フランドと専属魔法師と専属護衛騎士そして侍女たちが俺の評価を話し合っていることなど俺はつゆ知らず。
「アルフレッド・プライセンについて思ったことを自由に発言なさい」
とアリアが、いつも通り、自分の「身内」と呼ぶ股肱之臣4名に意見を求める。
自分の部下達に本音の意見を求める姿勢は王族しては珍しい。そのことを部下達もわかっており、自分たちはこの高貴な生まれの主に信頼されていることを肌に感じている。
そのため、4名の身内同然の部下達は、第三王女のために命をかけることを全員が誓っている。
アリアの命令に従い、すかさず、侍女の二名が言葉を発する。
「礼儀作法は貴族式の武骨なモノで華やかさがありませんでした。しかし、そつがなく嫌な印象はありませんでした」
「王宮の正式な謁見の場だとしても、十分通用するレベルと思います。ただ、あの歳で、しかもパンの無駄といわれる田舎貴族の三男であることを考えると、大したものだと思います」
続いて、護衛騎士も印象を口にする。
「私が殺気を向けても受け流し、まったく隙がありませんでした。服の中に暗器、おそらくナイフを仕込んでいたと思われます。もし何か不測の事態があれば、すぐにでも反撃・逃走できるように、常に半身を浮かせており、油断ならないという印象でした」
「そういえば、左手の薬指に少し力がはいっていたように見えたわね」
とアリアも、気がついたことを口にする。
護衛が、主の言葉と同じ意見とばかりに、左薬指に力が入っていたように見えた理由を推測する。
「おそらくですが、私が万が一切りかかった時は、牽制するため、左手でナイフを投擲するつもりだったのでしょう。それに備えて、いつでも動けるような心構えをして、左手に力をいれていたのでしょう」
「殿下の御前でなんとも不敬な行動。許せません」
「同じく、殿下への不敬、許せません」
侍女たちが護衛騎士の話をきき、怒りをあらわにする。
「落ち着きなさい。彼は私を害するつもりはなく、逃げの一手のため備えていただけよ。そこまで無礼という訳でもなかったわ。それに、あたなたちが不敬、不敬とあまり言うものだからシルフェが心配そうな顔をしているわ」
とアリアが侍女たちをなだめ、軽い冗談をいって部下達を和ませ続ける。
「正直、ここまで興味をそそられるとは思わなかったわ。頭もだいぶ回るようだしね。子供のくせに、皇族から出された高級紅茶にも、緊張したふりして手を付けないという徹底した警戒ぶりとは、なかなかの曲者ね。でも、その子供らしからぬ、そつのなさすぎる行動で、まさか自分が警戒されるということまでは、まだ気が回らないようね」
アリアが少し嫌味を込めて発言する。
シルフェはアルフを庇いたいが、主君のアリアに何と言おうか考えがまとまらず、発言できないでいる。そんなシルフェに対してアリアが助け舟を出す。
「シルフェ。安心なさい。別にあなたの将来の旦那様候補をけなすつもりはないのよ。敵になった場合に少し末恐ろしいと思っただけよ。そういう意味では、懐に入れておきたいというのは本心よ。先ほどアルフ君の前で、あなたに言ったけれども、卒業までに彼を懐柔なさい。直臣にならなくとも、少なくとも、私たちに、、、、いえ、あなたのために好意的に動くように、あなたがあの子を教育なさい」
シルフェは、王女のアリアがアルフのことを敵視していないことがわかり胸をなでおろすとともに、自分の敬愛する主が、意図はあっても自分の恋路を応援してくれているのに感謝する。もっとアルフと接点をつくらねばならないと強く思った。
「承知しました。必ずやアルフ君が殿下に忠誠を誓うように説得します」
そして、アリアは、すこし意地悪な顔して、さらに注文をつける。
「それと、アルフ君と記念すべきファーストキスをした場合も、ちゃんと報告を忘れないようにね」
「で、殿下。そ、そ、そんなご報告はできません。からかわないでください!!」
護衛騎士と侍女たちの笑いをこらえている姿がシルフェの視界にはいり、シルフェは顔だけでなく首まで真っ赤になっていた。
これで第三章が終わりです。
次回から違う展開となります。
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