表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/102

6.落ち着いて考えると結論が変わることもあるという教訓のススメ

 血まみれの肉片とうずくまる悪人面たちをみて俺は個々の中で叫ぶ。


『このアホ魔王。やりすぎだ!!』


『こ、こ、殺してはいないぞ。主殿よ』


 俺の非難の絶叫の勢いに、一瞬、エクスがたじろぐ。

 しかし、ヤツは直ぐに気分を立て直し、自分の魔法制御の速さを俺に誇りたくなったようだ。


『それにしても、見たかのう。この芸術的な、魔素の形質転換と状態変化の連続制御を。光の粒子を集合させ1 cm 程度の小塊を無数に出現させ、一瞬だけ物質化し、あ奴らの肉体にめり込ませてやったわ。しかも、すぐに物質化を解除し、証拠も残しておらぬ。約束通り、5体満足で無力化に成功したわ!おう、そうじゃ!技の名前をつけねばのう。うーむ。名付けて、「散光弾」というところかのう』


 技の名前なぞ、どうでもいいわ。


『死んではいないが、6人とも虫の息じゃねぇか!止血と回復魔法で話ができるくらいには回復させないと』


バカ魔王のせいで、こいつら直ぐにも死んでしまいそうだ。


 ん?でもよく考えたら、こいつらはここで見殺しにして、別の場所で、からんでくる別のアホどもを、もう少し手加減した虫の息、または、半殺しにして、話をきくのもありだな。

 確かに、今回はやりすぎたけど、まだアホどもは別にいる(はず)。特に焦る必要はないか。


 だいたい、いきなりからんできたこいつらが悪い。


 と思い直し、死んだら死んだでかまわないつもりで、適当に止血と回復魔法をかけて様子を見る。

 はじめは、6人ともピクピクしていたけど、そのうち、「うーうー」と声も出せるようになった。その後、なんとか、うつ伏せから仰向けに、自分で寝返りをうてるくらいには回復したようだ。


 ただ、欠損した耳、目、指などは、元には戻してやらなかった。そこまでの義理はないし、完全回復させると、また襲ってくるとも限らないし、なにより、動けないが、話はできる程度の、ちょうどよい具合に回復させるが、面倒くさい。


 「小役人のススメ」にも「恩には恩を、罰には倍の讐で報いるべし」とあるから、実害がまだなかったけど、一応は「倍の讐」の範囲内だよね。


 とりあえず、6人の中で、一番傷が浅そうな、おっさんAに話しかける。一番近くで壁際の俺にすごんでいたため、散光弾からは、一番離れた距離に立っていたのが幸いしたようだ。


「おい、おっさんA。話せるか?」


おっさんAの近くまでより、声をかける。


「てめぇ、、、、俺らを誰だと、、、、思っているん、、、だ」


 根性あるな。おっさんAよ。ようやく声を絞り出すくらいの状態なのにまだすごんでくる。

 このまま、放置してもよいが、せっかく回復魔法をかけてやったのだから、聞けるところまで聞こうか。

 

 おっさんAをなんとか自力で立ち上がることができるくらいまで、回復魔法をかけてやった。

 少し冷静になり、自分以外の5名の悲惨な様子を理解したのか、おっさんAは俺におびえたようにつぶやいた。


「お、おまえ、何者だ。いったい俺らになんの恨みがある」


 自分たちから絡んできておいて、何をいってやがる。お前らの事なぞしらんぞ。早く用件を終わらせようと思い、こちらからさっさっと聞きたいことを聞くことにした。


「どこかのアホウのせいで、俺は今機嫌が悪い。質問に5秒以内に応えろ。さもないと左目をいただく。その次は右目だ。この町の、特に犯罪組織について知っていることを話せ」


 右手をおっさんに向けかざして、問いかけると、


「わかった。わかったから、やめろ。やめろ」


「早く答えろ。あと2秒」


といったら、おっさんが早口でまくし立てて説明してくる。


 どうやら、俺の力を信じたらしい。


 この町は、「獅子の牙」という犯罪組織に牛耳られているとのことだ。獅子の牙は、町の御用商人とつながっており、御用商人から資金援助を受け、雇われる形で、ライバルの商会への襲撃、恐喝、町中の商品への価格統制、つまり物価を支配しており、脱税、違法取引に加えて、裏カジノなどで荒稼ぎをしていた。


 そのせいで、御用商人以外の商家は、町からいなくなり、治安も悪化。宿業などの客商売をしている人は、自衛のために、傭兵やハンター達を自ら雇うようになった。また、物価が上昇中で、生活が苦しくなった住民は、夜逃げ同然で、町を逃げて行ってしまい、人口も減ってきている。しかも、実情を隠すため、獅子の牙が、住民へ口を塞ぐよう強要し見張っているので、訪れる人々へは、まだ悪い噂は流れていないとのことでだった。


 代官所はなぜ取り締まらないと疑問を挟むと、おっさんAは、雇われ代官は、グルとのことだった。 

 代官は、御用商人から賄賂をもらっており、たまに、適当にでっちあげられた犯人を御用商人から引き渡され、逮捕した体をとり、検挙したことにしていた。エクリン家へも、偽の犯人を捕まえ、解決したことにして報告しているとのことだった。


「ところで、おっさんAは、なんでそんなに詳しいんだ?いい加減に言っているだけではないのか?」


とすごんで聞くと、


「俺は、獅子の牙の幹部の弟だ」


 幹部の弟のくせに、旅人の小僧に数人がかり絡んでカツアゲしているなんて、このおっさんの小者感に少し感心してしまった。


 小役人を目指している俺としては、少しおっさんAに親近感をもつ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ