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4.新住民を文化的融合させることのススメ

 「はー」


 面倒な謁見が終わり、開放感からため息がもれた。


 今日は、海賊に襲われ使節団の人たちも疲れているだろうから、特に歓迎式典と言う名の夕食会も控えさせた。俺は早々にくつろぎタイムに入る,,,,,,訳でもなく、拘束した海賊たちをどうするかを考えていた。海賊船4隻で、どうやら150名近くはいるようだ。


 使える人材は余すことなく、使い、生活の保障をする代わり、労働の対価を払ってもらうことには変わらない。


 心配性の俺は、いつも通り、全員に全能草で洗脳を行い、俺、エクス・ゲファルナート魔法王国への忠誠と勤労を誓わせる。仕上げに、左目の悪意センサーで敵意や悪意のあるものがいないを注意深く確認した。


 素直になった元海賊たちに話を聞くと、どうやら、30年前に滅んだゲルーダ神聖王国の王室の流れをくむ残党一味ということだった。どうりで海賊船のクセにやけに統制が取れていたわけだ。元王国の海軍やら騎士たちが食い扶持に困り、海賊に成り果て、略奪で資金を稼ぎながら、国を再興させることを夢見ていたということか、と想像した。


 『品がなかったのは、貧すれば鈍するというやつかのう』


 『でも、操帆技術や魔法師のレベルをみると意外に使えるやつらじゃないか』


 俺が反論すると、エクスは『そうだとよいがな』と言ってこの会話に蓋をする。


 ゲルーダ神聖王国は、国教であるアスレン教が腐敗し、結局シスプチン王国の傀儡となった国民民主派によって王族全員が公開処刑されたはずだ。王室の流れを組む一派ということは、縁戚か、なにか、だろうか?


 それと、アスレン教などの宗教が政治にからむと厄介だなと、そんなことを考えていた。


 どうするかは、奴らの話を聞いてから考えよう。理想は、全員エクス・ゲファルナート魔法王国へ組み込む事だが、いくら洗脳したとしても、信教や生活様式が大きく違っていたら、将来、国内に分断の種を蒔いてしまうことになるため、文化的融合ができるか、注意が必要だな。






 深夜に、ハンスベーダ王国の外交使節団にばれないよう、元海賊のトップを含めた海賊連中と港近くの広場で謁見した。念のため、音がもれないよう結界を張ることも忘れずにした。宰相のシンバがその場を取り仕切る。


 「国王陛下であらせられるプロト・ゲファルナート陛下だ」


 150名近くの海賊たちが、膝をつき、頭を下げている。


 「お前たちの中で代表者は前に出ろ!」


 シンバが力強く言うと、一人の初老の男が前に出て、膝をつき頭を下げる。シンバが名を名乗るようにいうと、元ゲルーダ神聖王国公爵のエンゲ・ルートイン・ゲルーダと名乗る。「ゲルーダ」という名があるということは、王家の血を引いているのだろう。今は小汚いひげ面の爺さんだけど。


 頭を下げている者たちを見回すと、30年前に滅んだ国の残党なのに、10代、20代の若者が意外に多いことに驚いた。エンゲ爺さんに詳しく聞くと、その者たちは、2世、3世ということみたいだ。エンゲ爺さんを中心に、海賊組織をつくり、ハンスベーダ王国の領海にある小島に隠れ住んでいるらしい。


 女子供の非戦闘員全部入れると、なんと、ゲルーダ神聖王国の残党で400名ほどいるとのことだ。ここにいる戦闘員全員、俺と魔法王国に忠誠を誓うため、どうか集落の人間も助けてほしいと懇願してきた。


 『どうするな?主殿よ。信教を固く信じている人間を新しい生活環境に入れ込むのは難しいぞ。我は長い年月争っている人間たちを1000年以上も見てきているからな』


 『国教だった、アスレン教を捨てさせるのは難しいだろうな。元々ゲルーダ神聖王国は宗教国家だったみたいだし。それならば、新しく、エクス教を作って、アスレン教は元々エクス教の分派かローカル信教だったことにすればよいんじゃないか』


 『我の信者たちか。なかなか主殿は冴えているではないか』


 俺は、元ゲルーダ神聖王国公爵のエンゲ・ルートイン・ゲルーダ爺さんに、国は滅んだが、いまだにアスレン教を信仰しているのか確認する。


 一応、信仰はしているが、アスレン教が争いの火種となり、国が滅んだため、この30年で信仰はすっかり形骸化してしまった、とのことだった。祝いの時にアスレン教の神へ祈りをささげる程度ということだ。


 俺は、これはチャンスとばかりに、わが国はエクス教が国教となっていること(これからすること)を説明する。エクス教は、神のであるエクスを崇め、労働の尊さと国への奉仕を説いていること、俺をはじめこの国の王家は、エクスの意思をこの世界で実現するために、存在していること、そして、アスレン教も歴史を紐解けば、エクス教の分派となっていること、など適当に説明した。


 エクス教の教えの元に、勤労に努め、国を発展させるならば、400名全員受けいれること、そして、安全な生活を保障することを約束する。ただし、ゲルーダ神聖王国時代の爵位や役職などはこの国では通用しないこと、この国では、政府内、公社での公職のみが地位であることを理解させた。


 さらに、この国の文化とエクス教の習慣(特別なことはなにもないけど)を護ること、移住する際は、元ゲルーダ神聖王国住民で固まらないように、家族ごと、点在することになる予定であること、を理解させた、全員、その上で、一国民として忠誠を誓うとのことだった。


 文化を浸透させるには、第一期の住民達との交流が大事だからな。


 これで一気に人口が、700名規模になる。


 『首都エクスを町から街へ規模を大きくしないとじゃな』


 俺は、エクスのやる気に感謝した。

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