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卒業式

作者: 綾鷹

綾鷹です。初投稿です。ノンフィクションのようなフィクションでございます。拙い文ですが、どうか読んでいただけたら幸いです。

今日は卒業式であった。私ではなく、私の一つ上の先輩方の。私の学校の卒業式は、全学年が必ず参加するきまりなので中学二年生である私も当然そこに参加した。

同級生らは、皆口々に全員参加への不満を言い合っていた。

だが私は不満の念を別に抱いておらず、彼らがそう言っている事を多少残念に思った。別に、先輩への思い入れがあったわけではない。寧ろ関わりは全くと言っていい程無かったが、先輩を送り出す時なのだから、相応しい態度で望まねばならんだろうと思った。渋々参加している在校生に送り出されるのだ。可哀相だなぁと、私は先輩方に同情した。だが、よくよく考えてみれば、上から目線に先輩方に同情する私のような人に送り出される方が、よっぽど不名誉である。私はもうそれ以降は何も考えないようにした。


式はアクシデントが続けざまに起こった。予行では上手くいっていたマイクの調子が悪く、酷いノイズがし、それでいて声がぶつ切れになった。その為、式が中々始められなかった。また、あまりの酷いノイズに在校生が総じて笑ってしまい、厳格に送り出す雰囲気など無くなってしまった。

その他にも、卒業証書授与の際に日本国旗が剥がれたり、保護者で参列していた方の子供が喚き暴れたりしていた。その上、物音の度に子供の方を皆が向くものだから、私は更に痛々しく思った。

私は私自身でも気持ち悪いほど、第三者の目線から式を眺めていた。さっき述べたように、先輩方に思い入れが無いからだろうか。先輩方をしっかり送り出さなきゃ、という後輩の面の私と、ただただ卒業式の群像を見ている第三者の面の私が心の中に共存していることは気持ち悪くも面白いことでもあり、私はそれを止めようとしなかった。


アクシデントはあったものの、卒業生の言葉や合唱には胸を揺さぶられた。特に、合唱の際のピアノには、私は強く感動させられた。音の数は多くないのだが、一つの鍵盤を押す度に、一つ音を奏でる度に、優しく心に音色が響いた。まるで心に、涙のような水色の雫が落ちるような、そんなイメージがした。

そのイメージは、目に見えない。それは音も然りで、触れることも掴むことも出来ない。それが一層、私を切なく、儚い気持ちにさせた。私達は、時を掴むことも出来ない。今を切り取ることも、時間を止めることも叶わないのだ。卒業生を目の前にし、私はそれを改めて感じるのであった。


やがて式も終わりを迎える。かなりの卒業生、特に女性は殆ど、耐えられず泣いていた。もうここに戻らない事、仲間に会えない事を悲しんでいるのだろう。

そんな中、卒業生の一人に、泣いておらず、退場の際も一切真顔を崩さない女性がいた。ある意味、卒業式の模範のような方ではあるのだが、小気味が悪かった。私にはその顔が、酷く無機質な物に見えた。私はもっと悲しくなってしまった。


卒業生を送る花道に、私が卒業生に渡す花を持って立っていたら、一人の同級生の女に

「なんだか、葬式みたいだ」

と言われた。そうか、葬式か、と私はなんだか腑に落ちた。

明日になれば、卒業生はこの限られた世界からいなくなるのだ。そう考えれば、確かに卒業式は葬式と似ている。式の間、様々な事により、いたたまれない気持ちになったのも頷けた。私も、あと一年もしないうちにここからいなくなるのだ。私がここから出るときは、もう少し晴れやかだと良いなぁと思う。




私は卒業式から帰ってきた今、自宅でこれを書いている。今という時間はここにしか存在しない。今日の自分は、明日にはもういない。だからこそ、今いる場所を、今思ったことを、私はこうして忘れないように記録するのだ。今は切り取る事ができないが、少しでも何かに残すことが出来れば……。と考えている。

こう綴ったところで、私は筆を置くこととする。

読んでくださり、ありがとうございました。添削も推敲も今のところ恥ずかしながらしておりません。勢いで書き上げたので…。

なのでよろしければ、コメントやアドバイスお願いします!私が喜びます!w

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