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地味に転生できました♪  作者: きゃる
第2章 私の人生地味じゃない!
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目の前にある危機

「さ、ここがわが国の領土最後の町で、明日には国境を越えてリンデルに入るよ。今日で最後だから、面割れている連中はきちんと変装の仕度をしておいてね。」



 昼過ぎに今日の宿に着くと開口一番、レイモンド様がおっしゃった。本当は宿にも泊まらず、直接野宿をしながら向かった方が早かったのだろうけれど、旅に出るのが初めてのレオンや私に気を遣って、道中何度か宿にも立ち寄ってくれた。


 最後の町、ブルーグは山に囲まれ何も無い田舎の町だった。その分のんびりしていて、人も優しい気がする。


 お店も点々としていたから、買い出しにも時間がかかりそうだ。私は既に男の子の服装だから、変装しなくても良いだろう。後から食料調達に行ってみよう!食べ物さえ充実していれば、旅は楽しい。


 ロバート様は先行してリンデルに入国し、内情を探っているらしい。だから今日は5人だけ。

 宿も、初日の酒場付きの豪華なものではなくて、民宿のようなアットホームな感じ。だから今日は旅一座の幌馬車も外に停めているし、厩も我々の馬だけでいっぱいになった。


 する事が無さそうだしみんなも疲れているだろうから、宿の人に伝言を残して、早速買い物に出かけることにする。




 宿を出てしばらく行った農場で、卵とハチミツを買った。麦の粉はまだあったから、これでパンケーキが焼ける。

 親切な老夫婦は、「遠回りになるけどここから山の近くに行けば、ブルリ(ブルーベリーのような甘い実)がある」と教えてくれた。


 今から行けば夕方までには戻れるはずなので、早速ブルーベリー(仮)の実を摘みに行く事にする。


 そのまま農場に荷物を預け、借りたカゴを持ってテクテクと教えられた道を歩いて行く。男の子が買い物をしてエライと思われたのか、

「今、鶏の燻製を作っているところだから、帰りに少し分けてあげる」

 と言われたので、とても楽しみだ。



 農場から1時間ほど歩くと、言われた通り山の近くの藪のような所が見えてきた。

 私は喜び勇んで目的地に向かった。




「ブルリ(ブルーベリーのことだ)の実は入って直ぐの所にあるから、奥まで行かないように気をつけてね。」と言われていたのに、何がどうしてこうなった???


 気がつくと、森の奥に入ってしまっている。

 宿に伝言を残して来たものの、農場で卵を買ってくるとだけしか言っていないので、ここで迷うと帰れなくなる可能性がある。

 藪の所にあったものより、奥の方が大粒だからと、どんどん摘んで奥まで来てしまった。


 焦れば焦るほど、元来た道がわからない。


 山で迷子になるなんて、小学校の遠足の時以来だ。あの時はイジメられていたから、わざとグループから外され、一番後ろを歩かされていた。

 先生が一番後ろを歩く場合が多いけれど、けが人が出た場合はその子に付き添いをしなければならないため、私が一番最後だった。

 その時の、迷って心細い気持ちが蘇る。


 あの時は、誰が迎えに来てくれたんだっけ?


 遠い記憶で、よく思い出せない。というより、今をどう切り抜けるか考えなくちゃ。

 切り株があれば方位がわかるんだけれど、あいにくそんな気の利いたものは、無いみたい。


 どんどん日が暮れていく。夕方になって、そのうち真っ暗になったらどうしよう?

 焦る気持ちとは裏腹に、来た道がなかなか見つからない。


 ガサガサ、と近くで音がする。

 鳥?それとも動物?




 振り向こうとした瞬間、後ろから口を塞がれ、喉に光るモノが当てられる。


「おとなしくしろ。金と食い物さえ寄越せば、悪いようにゃーしねぇ。」


 ガラガラの声がする。

 臭いがするから、何日も山を彷徨っていた人なのかもしれない。


「何だ、ガキか。エラいキレーな面だが、この国はみんなこんななのか?だとしたら、楽しめそうだ。」


 ボサボサの髪のその男は、私の顎を掴んで顔をグイっと無理やり自分の方に向けさせると、ニヤリと笑った。



 怖い………。

 ここに来て初めて、私は自分の軽率な行動を呪った。


 ここは、国境近くの町だった。国境を越えるために山抜けがあったとしてもおかしく無い。それなのに、私は油断して迂闊にも自分から危険に飛び込んだのだ。



 怖い………怖くて堪らない。


 食べる物がさっき摘んだブルリの実しか無いとわかると、今度はお金を欲したのか、勝手に私のポケットを探りだした。


 あ、そういえば!


 懐には護身用の短剣が入っている。


 思い出して取り出そうとした瞬間!

 男のナイフが再び首すじに当たる。


「おっと〜。変な気を起こすんじゃねーよ。何だ、お前、震えているのか?これだけの上玉だ、傷付ける気はねえよ。ただちょっとだけ、確認させてもらおうか?」


 そう言うと男は、私の襟に手をかけると下に引っ張り、ビリっと一気に服を引き裂いた!!カランと剣が落ちる。



「!!!!!」


 男と私、どちらがより驚いたのかはわからない。

 けれど、サラシに巻いた胸を、明らかに女性とわかるそれを、私は男の目の前に晒してしまった。

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