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地味に転生できました♪  作者: きゃる
第2章 私の人生地味じゃない!
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仮装パーティー1

 着替え終わった私たちは、みんなで衣装を褒め合った。というより、みんな意外にノリノリで派手な衣装。何だ、自分だけがセクシーだと焦る必要なかったのね? それに、ここまでくれば仮面の意味はないような。


 ダイアン様は『2つの月を統べる女神』をイメージしたギリシャ風白のドレープ生地のドレス。アップにした髪型がよく似合い、うなじが麗しくてつい目が引き寄せられてしまう。


 イボンヌ様は婚約者と一緒にご参加。婚約者のギルバート様は茶色い髪に穏やかな青い目の方で、イボンヌ様を愛しそうに見ている。彼女も婚約者とベッタリくっついていて、二人は『国王と王妃』のコスプレなのか豪華な装いで頭にはそれぞれ王冠を被っている。


 ジュリア様は『火の女神』。胸の部分がカシュクールで裾にスリット入りの赤い衣装。白い肌と脚線美を惜しげもなく見せている。赤に金髪縦ロールがよく映えているから、他の人には決して真似はできない。


 ローザちゃんは『猫ちゃん』。ネコ耳としっぽとメイド服のようなチェックのふくらんだ短いスカートで、秋葉原に行けばNo. 1間違いなし! 他の人がしたら、あざといと思われそうなほど抜群に愛らしい。


 アイリス様は『花の妖精』。うちの母が用意していたそうで、ピンクとラベンダーのシフォンでふんわりした衣装に、薄緑の妖精の羽がついている。スカート部分には可愛らしい花々が縫い留めてある。細くて儚げなアイリス様にピッタリでよく似合っている。


 私もどちらかといえば、こっちが良かった。

 可憐な感じはしないから、アイリス様ほどは似合わないけれど。『人魚』でまさかのセクシー路線だとは思わなかった。でも、ダイアン様やジュリア様に比べれば胸も背中もレースで隠れているから、そこまで大胆ではないかも。


 仮装前に見せっこして、お互いに感想を言い合うのってスゴく楽しい! この世界にスマホがあれば、絶対記念撮影してSNSにアップしてたのに……

そろそろ会場となる大広間に行こうと、続く控えの間でそれぞれ仮面をつけた。

 すると、なぜか廊下に複数の足音が。

 あれ? 私まだ女友達いたっけ?


 談笑しながら部屋に入ってきたのは、『魔王』と『海賊』と『騎士』と『魔導士』と『吟遊詩人』。

 女の子だけだと思っていたのに………

 真っ赤になってカタカタ震える。

 やっぱり仮面を付けていて良かった。


「パーティーのスペシャルゲストをんでおいたわよ~」


 魔法使いの衣装を着けたお母様。それなら前もって言って欲しかった。

 私達は揃って大広間に案内され、仮装パーティーの幕が上がった。




 大広間ボールルームには、既に立食用のご馳走と楽団が用意されていた。マナーの復習で簡単なパーティーだと思いこんでいたから、こんなに手が込んでいたなんてビックリだ。

 人数もイボンヌ様と婚約者のギルバート様を除けばちゃんと5対5だし。さすがは、母親プロデューサー、細かいところまで手を抜かない。

 女性は仮面を被っているけれど『イケメンが顔を隠すのはもったいない』との母の判断からか、男性陣はそのまま。そのせいで余計に気恥ずかしい。


 初めてお会いする男性も含めて全員が美男美女だから、見ているだけならすごく楽しい。こんなパーティーは4年前の年末以来だし……。いけない! 浸るところだった。落ち込みそうな気分を無理に浮上させる。

 さっきからやたらと視線を感じる。私に『人魚』ってやっぱり似合ってなかったかな? 半魚人の方が良かったのかも。恥ずかしいから壁に引っ付く。仮面で顔を隠しているから、バレてないよね?


 ワインの入ったグラスを片手に早速『海賊』がやって来て、少し屈んで耳元で囁いた。


「アリィ、やはりとてもよく似合っているよ。母が『海賊と人魚』だって楽しみにしていたから。こんなに可愛い人魚がいたら、永遠に陸に戻れなくなりそうだ」


 お兄様、実の妹に何という赤面ものの口説き文句を! ヴォルフこそ、黒い海賊帽トライコーンに後ろで結んだ銀の髪が映えていて、黒い眼帯が素敵です。暗めの赤と黒を組み合わせた海賊用のコートもよくお似合いで。何なら今すぐハリウッドデビューできそう。


「お兄様こそとっても素敵ですわ。世の女性が放っておかないのも納得ですわね」


 笑顔で言う。母から話を聞いていたのなら、私の正体がバレていても仕方がない。


「今日はリオネル王子と一緒にいらしたの?」


「ああ、王子も母から招待状をもらったようだ。全力で集中して仕事を終わらせていたよ。あんなに早く片付くのなら、これからもちょくちょくうちでパーティーをした方が良いかも知れないな」


 ヴォルフの冷たい瞳は笑うとスゴく優しい。家族でなければ、吸い込まれてしまいそう。

 ちょうど近くにいらしたダイアン様も思わず見惚れていらっしゃいます。




 私達を見て、ツカツカ近づいて来たのは『騎士』。その後ろから付いてきた『魔導士』は初めて見る顔だ。


「アリィ、何て格好してるんだよ。肌出し過ぎだろ? もうちょっと上に羽織れるもん無いのかよ」


 レオン、会うなり罵倒は酷いよ?

 いきなり怒られたら、お姉さん自信無くしちゃう。

 褒め言葉は期待していなかったけど、似合ってなくてももう少し優しく話して。せっかく仮面で顔を隠しているのに、大声出したらみんなにバレバレで余計に恥ずかしいから。


「なあ、お前の姉ちゃん綺麗過ぎだろ。すぐに紹介してくれ」


『魔導士』さん、会話の内容まる聞こえ。照れるけど、お世辞でも嬉しい。

 

「お初にお目にかかります。アレキサンドラと申します。弟のレオンがいつもお世話になっております」


 ピッタリしたドレスでスカートを摘めないから、少し膝を曲げてご挨拶。


「あ、俺ザック=ロマーノって言います。同じ騎士見習いで、レオンの2コ上。騎士団では半年ほど先輩で大親友です!」


「いつ大親友になったんだ?」


「こら、レオン失礼よ! 弟がいつもすみません。これからもよろしくお願い致しますね」


 レオンにも、騎士団で素の自分が出せる友達がいたんだ。それが自分の事のように嬉しくて、心が温かくなる。だけど、当のレオンはぶすっとしている。近衛の制服は白い上下に青が入り、ダブルの金ボタンと金の飾緒で意匠を凝らしてカッコいいのに。レオンの金髪と深く青い瞳にもよく似合っていると思う。

 隣のザック様も魔導士のローブを羽織っていらっしゃるけれど、下は制服を着ていらっしゃる模様。ローブのフードを後ろに落としているために、アッシュブラウンの短髪がシャンデリアの明かりでキラキラしている。




『吟遊詩人』が近付いて来ると、2人とも礼をして横に避けた。今日はみんなお忍びの王子のために、護衛として来ているのかもしれない。


「アレキサンドラちゃん、回復おめでとう。元気そうだし、前に会った時より大きくなって美しくなっていたからびっくりしたよ。その衣装もとても良く似合っているね」


「ガイウス様、先日は急なお願いにも関わらず、弟に休暇をいただきありがとうございました。また、兄も日頃からお世話になっております」


「レイモンド様も来たがっておられたけどね? 急な調べ物が入ったとかで、この格好を押し付けられたんだ。彼には似合うけど、俺には似合わないからひどいよね?」


 自嘲気味におっしゃるガイウス様。

 竪琴を持ってはいるものの、赤い髪で健康そうなために『吟遊詩人』というより『太陽と音楽の神アポロン』に近い。でもこの世界って多分アポロンいないから、吟遊詩人では確かに無理があるのかも。


「ガイウス様は元々が素敵ですから。吟遊詩人に見えなくても十分かっこ良いですわ」


「やっぱり見えないか……でも、そう言ってもらえて元気が出たよ」


 爽やかに応じる彼は、さすがだ。

 女性に大人気の近衛騎士団団長のことだけはある。



 一番人気の『魔王』様。

 ジュリア様やアイリス様、ローザ様に囲まれているからなかなかお話できない。でもまあ、この格好を彼に見られるのは恥ずかしいから、そっとしておこう。

 

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