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地味に転生できました♪  作者: きゃる
第2章 私の人生地味じゃない!
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どっちにしようかな?

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

 研究所跡を見学できたことで、より一層<黒い陰>を何とかしないといけないという思いが高まった。

 私が捉われた『黒ちゃん』はたまたま良い子だったけれど、黒い陰に捕まって未だに帰らない人はたくさんいる。みんながみんな自分の心に折り合いをつけて、陰をやり過ごせるわけではないのだと思う。私も復活して目覚めるまでに4年もかかったし。

 それに、以前『黒ちゃん』に捕まっていた時、彼は気になる事を言っていた。


『僕は君で君は僕だからね……』


<黒い陰>に捕らえられた者は、自分の中にある心の闇と闘って打ち勝たないと戻ってこられないのだと思う。闇に呑みこまれたままでは、元に戻れない。幸い私は楽天的な性格で、『ありのままの自分を受け入れよう』って決めたから大丈夫だったけれど。


 研究所跡の重苦しいような息さえするのが苦しいようなあの嫌な感じは、それとはまた違って妙な圧迫感があった。実際、あの場に立っていたみんなも、研究所の跡地を離れた時は一様にホッとした顔をしていた。リンデル国の管理官達まで。だから、もし父が『時空魔法』にこだわって、未だに<黒い陰>を生み出し続けているのなら、再びあのような悲劇が起こる前に何としてでも止めないといけない。




「で、これからどうしようかな? 陸路? 海路?」


 宿に戻ると開口一番レイモンド様が聞いてきた。

 私達の住むこの<ラディオール大陸>は、北が温かく南が寒い。極寒の地である最南端のアンフェール国に向かうためには、途中、いくつもの国を経由しなくてはならない。

 陸路を行けば、これから中央の砂漠の国アズルを通ることになるし、海路を行けば大陸の西側を海岸線沿いに移動し、アズルより少し南のカダリアーナ国あたりで船を乗り継ぐ事になるのだろう。どちらも初めて行く国だし、どんな国だかとても気になる。


「そんな事を言ってますが、本当はもう次の目的地にロバートを向かわせているのでしょう?」


 ガイウス様が確認する。苦笑するお姿が今日もステキだ。


「うーん、そうなんだけどね? ロバートには細かい指示を出さずに『カダリアーナ辺りで待っていて』って言っただけだから、どちらを選んでも辿り着きさえすれば良いんだよね」


「そんな適当な。まあ、ロバートなら問題ないだろうが……」


 ヴォルフが請け合う。黒い髪に切れ長の瞳はますます冷酷な印象を与えるけれど、本当はとても温かいのを知っている。まあ、最近身の危険を感じるようになったから、うかうかと近付くことはできないけれど。


「それなら、レイモンド様ご自身がお好きなようにされたら良いのでは? 我々は土地に不慣れですので」 

 おおっっ! レオンったら大人びた口調が我が弟ながらカッコいい! 青い髪も良く似合っているし、お姉さんとしては弟の成長を嬉しく思うわよ?


「じゃあ、アリィちゃんに決めてもらおうかな? 君は陸路と海路どちらが好き?」


「……へ?」


「話を聞いていたのかな? 次の土地に向かうために、陸と海、君はどちらを選ぶ?」


 紅い髪が似合うレイモンド様に、残念な子を見るような目を向けられてしまった。

 いえ、ちょっと考えごとをしていただけで、陸路と海路という言葉ぐらいは知ってますがな。あ、でも予備知識が全然無いから、そこはちゃんと聞いておかないと。


「どちらが早く南に向かうことができるんですか?」


「船で行く海路の方かな? 天候にもよるだろうけれど、嵐や海獣達に邪魔さえされなければ、ひと月足らずでカダリアーナの先まで真っすぐ行ける」


 なんだ、そっか。じゃあ海路で……て、今、聞き捨てならない言葉を聞いたんですけど。

 嵐はわかるとして、海獣って? セイウチとかクジラのことじゃありませんよね?


「何だ、知らないのか? ゴルゴン大ヘビやシーアングラー、海竜の類だろう」


 いやいや、ヴォルフ。当然のように言うけれど、それってゲランの海にはいないから。あ、国旗にもあるから海竜だけはいるのかな? でも、名前だけでもかなり危険そうだっていうのはよーくわかった。


「じゃ、じゃあ陸路で」


「へえ? 君は一刻も早くアンフェールに向かいたいんだと思っていたけどね。海路よりも時間がかかるけど、いいの?」


「ええ。途中で命を失う危険を冒すよりも、安全で確実に目的地に着く方を選択したいんです。<黒い陰>を調査し、脅威を取り除くというのは必ず達成しなくてはならない任務ですから」


 忘れてはならない。私は必ず無事にアンフェールに辿り着いて、父を止めなくてはならないのだから。


「そう。早く帰ってリオンに会いたいのかと思っていたけど。まあ、それも良いかな? でも、陸路だって安全確実とは言えないし、旅にはいつだって危険が付き物だよ?」


「そうですね。気を付けないと」


「わかっているなら良いんだ。じゃあ、陸路を選択しようかな。砂漠は暑いし寒いから、準備をしっかりと。テントや水も忘れずにね? 必要な物はガイウスに聞くと良い」


 こうして、私たちの次の目的地は砂漠の国、アズルに決まった。




「ガイウス様、砂漠が暑いし寒いってどういう事ですか?」


 私は、レイモンド様の次に旅慣れているであろうガイウス様に聞いてみた。砂漠というからには砂だらけで、直接太陽が当たって暑いという事は知っているけれど、寒いとは? 


「ん? ああ、砂漠はね、さえぎるものが何も無いんだ。だから昼間は直射日光がまともに当たって暑いし、夜になって日が当たらなくなると、逆に昼の間に蓄えられていた地中の熱が全部放出されてどんどん冷えていくんだ。寒暖の差が激しく厳しい環境下で水場も少ないときているから、水と薬は必需品だな。リストを渡しておくから、アリィはレオンと一緒に食料と薬の調達をして欲しい」


「わかりました。任せて下さい!」


 みんなの足を引っ張っている自覚はあるので、雑用ぐらいはせめて頑張らないとね?


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