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グランディスタは貴殿を歓迎する

アンカネブラとは街に入ってすぐに別れた。


「なにかありましたら神殿をお尋ねください。我ら一同お力にならせて頂きます」


むしろ訪ねて下さい!みたいな勢いで言われて正直困ったのは間違いない。

なにしろこっちは旅人だ。神様に助けて貰うようなケースは無い方が絶対に良い。平和が一番なのである。


「まあその時はよろしくお願いします。しばらくは本当に海外旅行のつもりで楽しみますから」

「そうなさってください。セルシスさまには無理を言ってこちらにお越し頂いたのですから」


そういうとアンカネブラは神妙な顔になって俺を見た。

それは神々しく凛々しい、路傍の石像に描かれた神の顔だ。


「稀人よ、グランディスタは貴殿を歓迎する。新たなる風が世界の隅々まで吹き渡らん事を願う。悠久の歩みが止まることなく、グランディスタの民と稀人の心が交わる事を願う。別れとさらなる出会いを。後悔を超える喜びを。敗北を覆す勝利を。諸神こぞりて、貴殿の旅の無事を祈る」


そういうとアンカネブラは服の裾をつまんで優雅に一礼する。


「我は商いと旅人を守護する女神アンカネブラ。貴殿の旅に一握の加護を」


その女神の美しさに俺は完全に呑まれてしまって、すぐに返礼することができなかった。

すうっと影が薄くなるように消えていくアンカネブラに、一言だけ、ありがとうと伝えると、女神はほほ笑んでいたような気がする。


彼女がいなくなってから辺りを見回したが誰もこっちを見ていなかった。いきなり人が消えたら騒ぎになりそうなものだが何もない。

こっそり魔法か何かで見つからないようにしてくれていたのだろうか?

わからないことだらけだが、なんとなく、そこで頭を下げた。

ドドラガリには良い印象が無いけれど、神様にもいろんな人がいるんだろう。

多分ね。


ゼラが言ってた商業ギルド近くの宿は一泊食事つきで銅貨30枚と確かに高価だったが、銀貨2枚で7泊にしてくれるらしい。躊躇なく銀貨を2枚払う。

宿屋のおばちゃんは宮崎智栄子みたいな声だった。バリっとしたおばちゃん声。こんな感じ好きだなー。



一週間後。



夕方のダンブランをブラブラと串焼きを食べつつ歩く。銀ブラならぬダンブラブラ。ダメなおっさんか。

露天商のおっさんたちがいろんな種類の串焼きを売っているのだけど、こいつは鶏のせせりみたいで非常に美味かった。

ぐにっと噛むとじゅわっと肉汁が溢れる。もっと買っとけばよかったかな。


汚れた手は生活魔法の浄化を唱えると一瞬で綺麗になる。

こちらの世界ではみんな魔法を使えるらしく、簡単な浄化魔法のおかげで衛生面はかなり良い。これは日本人である俺にとってはとてもありがたい。


衛生的な環境が整っているって事は疫病の発生率とか乳幼児の死亡率とか、俺の想像より低いのもしれないなあ。なにしろ中世でしょ?ペストとかコレラとか言われた瞬間死ねる。まあ多分感染しにくい身体になってるとは思うんだけれども。


一週間の食べ歩きでもって、なんとなくだが、ようやく飯屋の味とか価格とか、その街の暮らしが実感として身についてきた感じがする。


あと1時間もしないうちに日が暮れてきそうだったので目についたカフェに入る。

ジョッキでエール。それから店員おすすめだと言う鶏脚とブルーベリーのパイを頼んだ。

初めて入った店だったが雰囲気は悪くない。ここは夜はバーになるタイプのカフェだな!なんてわかるくらいには馴染んできた。ふふ、もはや地元民だぜ。


注文から提供までも早い。給仕の猫耳ちゃんはロリ可愛い。おやおや良い店じゃあないかー。

魔石で冷やされたエールはキンキンに冷やした日本の辛口ビールには負けるが、それでもぬるいビールよりは美味い。ぜんぜんいける味だ。

パイは・・・・・・うん。さすが外人さんオススメなだけある!異国の味だね!!

エールじゃんじゃん飲もう。流し込むように飲もう。これ一口齧るのにエール一杯必要なんじゃない?

地元民?すんませんなんでもないですー。



夜になると仕事帰りの客が増えてきて猫耳ちゃんは店の中を目が回るような速さで動いている。

身長140センチくらいの猫耳ちゃんはこの店のマスコット的な存在なのか、いろんなお客さんからチップを貰っていた。

猫耳ちゃんみたいな亜人は排斥の対象になる事が多い。それでもこの街では比較的平和に過ごせているのだから、やはりグランディスタの中でも良い街なのだろう。


亜人なんて言っても耳の形が違うってことくらいであとは人間と一緒なんだけどなぁ・・・まあ、現代人も容姿で印象を決めるから、この問題は変わらない異世界も日本も変わらないのかもしれん。

俺?宿屋で鏡を借りて確認した限りでは普通の容姿だったねえ。少し童顔なのは元が日本人だったからなのか。割と幼く見えるのでハイスクールミュージカルとかにギリギリ出られないかもしれない。いや、背格好は負けてないんだけれども。


忙しく動いてる猫耳ちゃんが近くに来たので豆と肉の煮込みを頼む。

エールの飲みすぎでお腹が一杯になってきたけど、正直パイだけを夕飯にするのは嫌だった。

ダンブランの豆と肉の煮込みは非常に美味い。腸詰、骨付きの羊肉、鴨やガチョウみたいな味の強い美味い肉と豆を合わせて土鍋で煮込んである。マズイ理由がどこにもねぇ。

この一週間ですでに3回食べた。店は違えどこれで4回目の注文である。それくらい美味し。

猫耳ちゃんへのチップもかかさずあげる。ふふ、上客でしょ?サービスしてくれても良いんだぜ?


驚きつつも喜んでくれたようで猫耳がピクピクしている。

ところで猫耳幼女ちゃんにはお姉さんはいないのかな?できればキリッとした美女系だと良いんだけれども。


ロリ属性?ねえよ!そういうミニ可愛い系の女の子は同業者で見飽きてますから必要ありません。

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