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これが現実ってやつですよ。

ふむ、プロローグだけ見ると私が異世界転生し、この世界の不便さに耐えきれず魔道ぴーしーを開発したっぽい。


だが残念。私にそんな才覚はなかった。

まぁ、当初はヒャッハー人生イージーモードだぜぃ☆とか調子のってた。

転生特典で俺tueeeeとかいう要素か、愛されまくりの溺愛されまくりなモテモテルートとか、はたまた成り上がり系とか、それとも知識無双かと何かしら持ってると信じてた。

今なら言える。

ま、あんなの小説の中だけっすよね(笑)

って。

信じてた自分の馬鹿さ加減に絶望しそうだ。

まぁ、わかるように人生イージーモードとかなく、割と普通の人生だった。

生まれはそこら辺の村だったし、顔も普通だった。

健康だけが取り柄。父はムキムキ、母はモチモチの間に生まれた標準体型。ただし肝っ玉な母にこき使われて朝から晩まで畑耕し、雑草抜き取り、害虫駆除しとお日様の下で働いてたからガングロだがな。

そんな農民な私は前世が教育のしっかりした国出身だったおかげで計算はできるが、こっちの文字は読み書きできなかったし、教えられる人も近くにはいなかった。名前すらかけねぇぜ。

こちらは魔法がある世界だけれど、私は魔法を使う際に必要な魔力も人並みしかなく、魔法は小説のようにイメージが大事っていうモノでもないから前世のゲーム知識は役に立たなかった。武器類とも相性は悪く、周りにはお前の武器はスコップで十分だと言われた。どういう意味かと問えばお前は下手に武器なんぞ持たずに土ほじくっとけと言われた。成り上がりなんてできそうになかった。ていうかこの世界モンスターなるものはいない。ポケットに入るモンスター的なかわいいペットくらい欲しかったがいなかった。

じゃあ知識無双だ!とか思ったが、無理だった。

例えばだ。

うちは小麦とか作ってる。で、貧相な私の頭は小麦と言えば水車小屋だ!と考えた。たしか小麦の脱穀を水車の力でしてたはずだと思ったのだ。

だがしかし。

ここは魔法のある世界。しかも使えない人はいないほど魔法が普通にある世界だ。水車なんてカラクリの力に頼らずとも魔法で脱穀していた。

水車、お呼びでない。

ついでに言えば水車のカラクリを詳細知っているわけでもないのだからなんとなくの説明しかできないのだ。それではただの世迷言じゃあないか。

とまぁ、他にもあげればきりがないが、貧相な頭では発想にも知識にもたいした期待はできなかったし、貧相な頭で思いつく程度のことはこの魔法世界ではすでに誰かが魔法を使った解決法を考案してあった。それに、この世界になくて前世の世界にあった便利な道具類を作りたくても私はそれらの詳細な仕組みを知らず、到底再現できそうになかった。


とっても欲しい道具があったが、私では作れなかったのだ。



それがかの魔道ぴーしーである。

開発者はこの国の魔道具技術を飛躍させた稀代の天才発明家、我らがダレスティア王国第三王子アーベルト・ティ・ネア・ダレスティア殿下だ。(もうすぐ王太子が戴冠して王になるから時機に王弟殿下となられる)

彼はきっと私と同じ世界からの転生者で知識無双に成功している人だろうと睨んでいる。

妬ましいような気がするが、魔道ぴーしー作ってくれたから許そうと思う。むしろ神と呼びたい。

まぁ、これまでの説明からわかるように私は前世PC前でネットでオンラインゲームやWEB小説、SNS、某動画サイトなどに夢中になっていたしがない一般人だった。いや、一ニートだった。

PCは娯楽と知識が詰まっている。

バイトがない日はオンラインゲーム。

金がない日は株取引。

失敗したら新しいバイト増やして、暇なときにはSNS。

そんなだらしのない前世を持つ私がPCなしで鍬やスコップもってひたすら畑を耕す人生を謳歌できるはずがない。っていうかこえぇ母ちゃんいなかったらぜってぇ無理。ちょっと暇な時間があればネットで暇つぶししたい。夜寝る前に更新状況とか最新ニュースとかチェックしたい。つい、朝枕元にスマートなフォンを探してしまわずにはおれない。そんな風に馬鹿みたいにPCが、ネットが欲しくて欲しくてたまらなかった。


だが、ここにはない。

魔法はあるけどPCがない。

よく剣と魔法の世界に転生したら主人公が魔法に夢中になってたりするじゃん?

あれ、私には理解不能。

だって、こっちじゃ魔法は電気みたいなものだ。

魔法を使うには理論をしっかり知っていなければ不可能だ。

例えば着火魔法。

使うにはエネルギー変換や、空気濃度やら、とにかくいろんな知識がいる。

魔法でポッとはならない。魔力は理論に基づいて形成された魔法回路を作動させるエネルギーであって、イメージを実現させる便利なエネルギーではないのだ。

そんな使い勝手の悪い魔法を使いやすくするのが魔道具だ。

魔道具には専門家の類が作った立派な魔法回路が埋め込まれていてあとは軌道エネルギーになる魔力を流すだけなまでにしてある。

前の世界で言えば電化製品だ。あとはコンセント繋ぐだけってね。

で、どこの世界だって人間は楽するための進歩に全力だ。

おかげで暮らしに関してはPCがないこと以外は特に不自由はない。

トイレだって魔力で起動する水洗トイレだし。

台所には魔道コンロ、魔道オーブン、魔道レンジに魔道冷蔵庫、魔道冷凍庫がある。

他にも魔道湯沸かし器、魔道洗濯機と家の中は魔道具がいっぱいだ。

外では道は石畳だが、その上を魔道車が走る。この魔道車、車輪が付いた箱だ。前世の車を想定してはいけない。安っぽいのは車輪が付いた籠だ。つまり屋根がない。まあ、こんなんで、魔力を流せば決まったルートを走る公共交通魔道具だ。基本的に物品運搬用に使われていて決まったルートを走るだけだからよほどのことがない限り轢かれはしない。


あらゆるところに魔道具が存在し、生活を助けてくれる。だが、それに夢中になれるかというと否。だって家電類の代わりだし。


そのくせPCだけがなかった。

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