8 僕
僕は飛行機を操縦している。左手を動かせば機体は上下左右、自由自在に動けるし、右手を動かせばミサイルだって撃てる。今僕はパイロットになっている。そして敵機を撃ち落とす。それがミッションだ。
しばらくするとお目当ての奴らが来た。機首を上げる。ぐるりと上から回って相手の背後につく作戦だ。まだ敵のレベルも低いからそれで十分だった。
計算通り僕は相手の背後についた。あとは親指を動かしてミサイルを撃つだけだ。タイミングを見計らい僕はカウントダウンを始める。
5、4。
敵は左右に機体を揺らす。照準をあわせないよう抵抗しているみたいだが、無意味だった。
3、2。
相手は懲りずに高度を上げ下げする。まだ序盤だから、コンピュータはかなり馬鹿だ。
1。
僕はボタンを押す。ミサイルが飛んでいく。僕の思っていた弾道に沿って。
胴体に突き刺さる。そしてほぼ同時に爆発が起きる。それに巻き込まれないように僕は左へ大きく逸れる。
爆発した敵機を探す。今まさに落ちているそれをすぐに発見した。この瞬間が一番好きだ。無力でただ小さくなっていくだけの相手を見るのが。最もこれができるのは最初の方だけだけど。後半でこんなことをしていたら、僕も落ちてしまう。高レベルの敵は一瞬の隙も見逃さない。
エンディングが流れて僕はようやくテレビの画面から目を離した。携帯の画面を開き、時刻を確認する。午前三時ちょうどだった。日付が一日進んでいた。